目覚め
うーん…………久々に書くからやり方がわかりません。ですから明日改稿したいと思います(´・ω・`)
……いつもの頭痛で目が覚めた。……この言いようの無い気持ち悪さにも少し慣れてきた。このまま天井のシミでも数えていようかと考えたが、そんな事をしていたらこの貴重な自由時間が無くなってしまうだろう。
割れそうな頭を押さえつつ布団から起き上がり、リビングに薬を取りに向かおうと一歩踏み出すと、足元から「うぎゅっ!」と呻く声が聞こえた。……恐る恐る見てみると隣で寝ていた弟、翔一が痛そうに肩を押さえていた。
「イタタタッ……兄さん?……もう、気を付けてよね」
黒い宝石のような瞳を潤ませながら微笑みかけてくる翔一……。元々声が高いのだが、まだ十歳という事もあって声が女の子のようで可愛らしい。身長が同年代に比べて小さい事や、顔つきが俺と違って母さんに似ているのも可愛らしさを助長させる。……さすがに言いすぎか?
「……あぁ悪い。また頭が痛くてさ」
「そうなの?だったら僕が取りに行くから、兄さんはここで待っててよ」
そう言って部屋から出ていくと、廊下にどたどたと大きな足音を響かせながらリビングへと走っていった。このマンションに引っ越してからもう半年も経つ。……少しして、コップと薬をトレーに乗せて戻ってきた。
「お薬ってこれだよね?もうだいぶ少なくなってきたけど、大丈夫なの?」
大丈夫……薬が少ないことに対してなのか、薬を飲んでいる自分に対してなのかは分からないが、こんな風に不安げな声で聞いてくる翔一に対し、少し罪悪感のようなものを感じた。
「大丈夫だぜ。また貰ってくるから」
ゆっくりと右手を伸ばそうとすると、左耳のすぐ近くでまた《・・》囁くような声が聞こえた。
――どんなに耳を塞いでも、どんなに遠くに離れたとしても、あの忌々しいサイレンの音はお前の中で鳴り止む事はない。全てが始まった二年前のあの日から……ずっと、ずっとだ……―-
「……兄さん?」
「あっ、ああ……」
こんな風_に、頭痛以外にも時折誰かが語りかけてくるような幻聴に悩まされていた。こんなもの……弟にはとても言えない。言えばきっとあの子は必ず心配して世話を焼こうとするだろう。兄として、それだけは嫌だった。……おっと、あの子が心配そうに俺を見ている。さっさと受け取ってあげなくちゃな。
「……ねぇ、今日は僕が朝ごはんを作っていい?僕ね、紫苑姉さんから教えてもらって綺麗に卵焼きができるようになったんだ。兄さんにも食べて欲しいんだ」
雰囲気を変えるつもりなのか、俺の目を見て翔一が小さな声で聞いてくる。今までは俺が作ったり幼馴染に作ってもらったりしていたが、最近になってから翔一が自分で料理を作りたいと言うようになった。……でも俺は可愛い弟の朝食が食べられない。
「別に良いけど……。今日も用事があるから一緒には食べられないんだ」
「……ノーヴァディと戦って怪我とかしないの?」
……ノーヴァディ。二年前に東京の中心に母胎と共に突然現れ、辺り一帯を火の海に変えた事件を引き起こした異形の怪物達。俺の仕事は魔術士として奴らを駆除する事だ。……当然怪我をすることはあるが、俺達の故郷を取り戻すためには泣き言なんて言ってられない。
「……しないよ。そうだ、俺の分まで残しておいてくれないか?夕飯に食べてみるから」
「わかった。……できるだけ早く帰ってきてね?」
駆除が始まるのはいつも七時前後、流し目で時計を見ると今はもう六時半だ。さっさと支度をして行かなければ。俺は翔一の頭を優しく撫でて、前の日に用意していた服を着ながら自分のマンションから出た。
弟君を可愛く書きたい。