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異世界チートを期待したはずが【世界崩壊前】  作者: 中一モクハ
第1章:ベルセリウス帝国(トパズ村編)
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第4話:異世界生活スタート

引っ越しでしばらくインターネットが使えませんでした。

本日から再スタート。

不定期ですが、マイペースに投稿していきます。

「のわぁああああああああーーー!!」

「「きゃぁああああああああーーー!!」」


 神具の爆風により飛ばされた僕達は、その勢いのまま森へと突っ込む。

 地面に衝突する瞬間、緑色の光に包まれ、僕達は地面に叩きつけられた。


「イタタ……あっ、でも上手く脱出できたみたい」

「上手くいった―――じゃないでしょう!」


 戸成さんに思いっきり、頭をはたかれた。


「なに、勝手に行き当たりばったりで行動するの!」

「いや、でも逃げるならあのタイミングしかなかったと思うけど。戸成さんもあの王様見て、思わなかった!? あの人、かなり危なそうだったよ」

「いや、まあ、剛田君の言う通りなんだけど……ああ、でも何かムカムカするから、取りあえずもう一発殴らせて」

「んな、理不尽な!」


 僕に向かってくる暴れん坊将軍(となりさん)のパンチを必死に避ける。

 異世界に来てから思っていたのだが、なんだか戸成さんの学校でのイメージが違ってきている。

 もっとおしとやかで優等生のイメージだったんだけど。


「ちょっと待ってください! 落ち着いて、飛鳥さん。剛田くんも!」


 そんな二人を美優が止めようとする。

 優しい波多野さんに諭されて、戸成さんが少しずつ落ち着き始めた。

 話が進まないので戸成さんに謝ってほしいと波多野さんに言われ、取りあえず謝る。

 

 ……あれ? 結局、僕が悪いのか?


「あの、まず確認したいんですけど、これってやっぱり夢じゃないんですよね?」

「みたいね。さっきの着地、とても痛かったし。あの痛みで目覚めないっていうなら、やっぱり、ここは現実ってことでしょうね」

「……そうですよね」


 改めて今自分達が別の世界へ転移したのだという現実を僕達は痛感した。

 幸いなことに、女神アンネムの恩恵なのか分からないが、僕達の身体能力はかなり強化されており、皆、擦り傷程度で済んでいた。

 普通の身体なら、間違いなく死んでいた。


「で、これからどうする?」

「戸成さんはどうしたほうが良いと思う?」

「……さっきから、気になってたんだけど、その呼び方止めましょう。私のことは下の名前で呼んでよ。その代わり、私もアンタのことは(ココロ)って呼ぶから」

「わかった。飛鳥(アスカ)でいいかな?」

「あのあの、できたら私もお願いします!」

「了解。じゃあこれからよろしく。美優(ミユ)

「はい! 志くん」


 呼び方が決まり、嬉しそうにする美優。

 飛鳥と美優は同じクラスメートだが、クラスではあまり話をしたことはなかった。

 そのため、どう接すればいいのか正直わからなかったのだが、飛鳥の提案のおかげで少し距離が縮まった気がした。


「取りあえずは情報取集ね。正直、この世界のことが全然わからないから、何したらいいのかアイディアなんて出ないわ」

「私もそう思います。まずは、自分達の現状をしっかり把握したほうが良いと思います」


 飛鳥の提案に美優が同意する。


「ただ、気になるのはさっきの王様! あれ、何なの。皇帝とか言ってたけど、威圧感が半端なかったわよ!」

「それを言うなら、私はあのピエロの仮面を被ってた人が怖かったです。それに、あんな危険な生き物を私達に向けてくるなんて」


 先ほどの恐怖がよぎったのか、飛鳥と美優の身体が少し震える。


「あのまま、あの場所にいたら、僕達は使いつぶされていたと思う。あの人達は僕達の安全というものを考えていない感じだったから」

「それは同感ね」

「私もそう思います」


 取りあえず、あの場を逃げたことに関しては、飛鳥も美優も納得した。

 というか、それなら僕がさっき謝ったのはおかしいのでは?

 乙女心はまったく複雑だ。


「でも、アイツらが一番情報を持っていたのも間違いないのよね」

「それはそうですけど……やっぱり、危険だと思います」

「わかってるわよ。ちょっと言ってみただけよ」


 美優に諭され、飛鳥はぷいっと顔を横に向ける。

 参ったなと思う。こんなとき、勇也ならどうするだろうと、そう思った僕は、


「まず、現状を確認しようか。僕達は修学旅行中、バスの事故で死亡した。その際、女神アンネムの力により、バスにいた二十八人が勇者としてこの世界に転移した。そして、僕達三人は、ベルセリウス帝国に転移させられた。帝国の目的は、恐らく僕達の力―――〝神具創造“を狙っているみたいだけど、危険人物のため信用できない……こんなところかな」


 取りあえず、現状を整理するため、僕は思いつくままに話してみた。


「そうだ! 飛鳥、美優も〝神具“を使うことはできる?」


 僕は神具を使うことができたが、飛鳥と美優はまだ確認していなかった。


「志が出した大剣ね……あの剣もすごかったわね。剣で、壁を焼き払うなんて、どんなファンタジーよ」

「志くん。とてもカッコよかったです!」

「あ、ありがとう」


 二人に褒められ、少し照れくさくなった僕は二人の言葉を軽くスルーした。

 取りあえず、飛鳥と美優に〝神具“が使えるかどうか確認してもらった。


 しばらくして、


「むむむぅ……やっぱり、出てこないわ」

「うーん、私もです」


 ガッカリした様子で落ち込む二人。

 取り掛かる前は、「魔法!!」と、張り切っていたのに、この落差はすごい。


「二人とも、アクションゲームとかしたことある? 例えば、モン○ンとか?」

「私はないわね」

「私はあります。弟が持っているので、たまに素材集めとかで手伝っていました」

「じゃあ、美優はモン○ンで使っていた武器をイメージするといいよ。飛鳥も、ゲームやアニメとかで憧れた武器ってない? それをイメージすると作りやすいと思うよ」


 美優は「わかりました」と言い、再び目をつぶり集中する。

 飛鳥は「うーん。アニメか……あっ、あれなら。でも、あれは私の黒歴史なんだけど……ええい、この際仕方ない!」と悩んだ末、神具創りを再開した。


 結果、美優は〝弓“の神具、飛鳥は〝杖”の神具を創り出すことに成功した。

 美優が弓というのは予想していたが、飛鳥はどうして杖なのか聞いてみたところ、「……昔、魔法少女のアニメにはまってて、密かにコスプレしたりしてたからよ……」と、何とも返事に困る理由だった。


「小学校六年生のとき、魔法少女のコスプレで登校したときのクラスメートの冷たい視線は忘れられないわ」とボソリと呟き、当時のことを思い出したのか落ち込む飛鳥。


 ……本当、外見はどこからどう見ても大和撫子の美少女なんだけど。なんかずれてる子だなぁ。


 落ち込んでいる飛鳥は美優に任せて、これからのことについて僕達は話し合う。

 

「まず、初めに衣・食・住をどうにかしよう。魔王を倒せば願いを叶えてくれる話だけど、まずは生活環境を整えることが最優先だと思う」

「あとは、帝国の人に捕まらないようにする」

「クラスの人達も探しましょう。皆、強力な力を持っているはずですから。力を合わせれば楽になると思います」

「まあ、色々課題は山積みだけど、きっと何とかなるよ。なんてたって僕達は勇者様だからね」

「……改めて言われると、少し恥ずかしいわね」

「そうですね」


 お互いの顔を見て笑いあう。


「よし! じゃあ、これから頑張っていこう!」

「「おうー!」」


 こうして、異世界での僕達の生活がスタートした。


※2018/6/30:誤字脱字等を修正。

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