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初代勇者を腕に  作者: 雪羅
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執事生活

エルミールさんが俺に絶望を叩き付けた後、部屋に案内された。

今は、案内された部屋に設置されたベッドの上に座っている。

明日が不安だ…。

そう思っていると、右腕になっていたリーシャが人の姿に戻る。


「大丈夫シュウ?」

「マズいね。ティシール様が、どんな事を言ってくるかが分からないから対策の仕様がない」


リーシャが俺の隣に座る。


「とにかく、あの女の命令とかを済ませながら、怪しい動きをする人を探さないとね」

「うん」


リーシャと2人で話し合い、リーシャも出来る事があったら手伝ってくれると言ってくれた。

それからリーシャと2人でベッドに入り、手を繋ぎながら眠りについた。

翌日、エルミールさんが起こしに来る前に起きてリーシャに右腕になってもらう。

そうしている内に、扉がノックされてエルミールさんが俺を呼びに来る。

その後、軽く朝食を食べた後、エルミールさんに案内されて廊下を歩いている。


「これからティシール様のお部屋に行きますが、そこからは貴方に任せます」

「わかりました」

「依頼の方も…難しいと思いますが、頑張って下さい」

「頑張ります」


エルミールさんとそう話しながら、歩いているとある部屋の前で止まる。


「ここです」

「…ゴク」


つい生唾を飲んでしまった。


「それでは、レスティンさん。よろしくお願いします。頑張って下さい」


エルミールさんは、俺にそう言って廊下を歩いて行ってしまった。

ここで、立ってても仕方がない。

俺はそう思い、扉をノックする。


コンコン


「入れ」


俺がノックすると、中からティシール様の声が聞こえた。

俺は扉を開けて室内に入る。


「失礼します」


俺がそう言うと、ベッドがもぞもぞ動く。


「おはようございます。ティシール様」


俺は部屋に入ってから一歩も動かず、ベッドに向かって声を掛ける。


「あ~」


ティシール様が呻き声を上げながら起き上がる。


「何やってんだレスティン。こっちに来い」


ティシール様がそう言ってくる。

俺は言われた通りにティシール様の所へ行く。


「どうしました?」


俺がそう言うと、


「そこに置いてある着替えを取れ」


ティシール様が指差す所を見ると、ベッドの脇にある台の上に着替えの様な物を見つけた。

俺はそれを持ち、ティシール様に渡す。

すると、


「…目を瞑ってろ」


ティシール様が、俺を睨みつけながら低い声でそう言ってくる。

そうだよな、着替えるんだもんな。


「すみません」


俺はそう言って目を瞑る。

すると、


「ちゃんと瞑ってるか?」


ティシール様が聞いてくる。


「瞑ってますよ」


俺がそう言った瞬間、


『シュウ!左に頭を動かして!』


リーシャが突然俺に話しかけてきて、反射的に頭を言われた通り左に動かす。

すると、右頬に風が当たる。


「…おい」

「何ですか?」


ティシール様のドスが効いた声が聞こえる。


「何で目を閉じてるのに、今のが避けられるんだ?」


低い声で俺に聞いてくるが、俺は本当に目を瞑っている。

反応できたのはリーシャが合図してくれたからだ。


「感覚…ですかね?」


本当は違うけど、リーシャの事は言えないし…。


「レスティン、武術を齧ってるのか?」

「そうですね」


ティシール様の質問に答えると、布が擦れる音が聞こえる。

しばらく布が擦れる音がして、やがて音が聞こえなくなる。


「もう目を開けていいぞ」


ティシール様の許しが出たので、目を開ける。

豪華な装飾がされた服を着ているティシール様が目の前に見える。


「何か言う事は?」

「えーと…、とても綺麗です?」

「何で疑問系なんだよ」


ティシール様は綺麗なんだが、目つきが本当に悪い…。

それから俺とティシール様は移動をして、ティシール様の私室に来ている。

どうやら、ティシール様も色々と大変なのか、うんうん唸りながら書類を見て、判を押したりしている。

すると、メイドの人が入ってくる。

彼女が持っているのは、俺が食べた物より更に豪華な食べ物だ。

すると、ティシール様は、礼儀作法など知った事かというような態度で、書類を見ながら片手で食べ物を口に詰め込んでいく。

俺はそれを眺めている。

この部屋に来てから、俺は何もやる事がない…。

これじゃ本来の目的が達成できない…。

仕方なく、今俺に出来る事をしよう。

そう思ってリーシャに話しかける。


『ねえリーシャ。遠くの相手と話す事が出来る魔法とかある?』

『話すというか、自分の思っていることが対象者に伝わるようにする魔法はあるわ。ただし、条件が厳しくて凄く稀にしか使える人は現れないけれど』

『それは何魔法なの?』

『雷魔法と闇魔法が使える事が前提で、更にスキル、念話が必要になるわ』

『以外に厳しそうだね。そんな人がいるのかな?』

『なかなか難しいわ。ただ潜入していると考えていると、簡単な方法があるわ』

『それって?』

『闇魔法である潜影という魔法よ。影の中に潜る事ができるから、潜入に適しているわ』


リーシャの説明を聞いて、俺はある考えが頭に浮かぶ。


『リーシャ、その魔法で影に潜んでいる時って魔法を使用している状態なの?』


俺がリーシャに確認すると、


『そうよ』


リーシャが答えてくれる。

魔法を使用している状態なら!

俺はそう思って、目を凝らす。

すると、魔素が見えて、魔法を使用している人間を見つける事が…。


『マジですか…』

『どうしたのシュウ?』


俺の呟きにリーシャが反応するが、俺はそれに答えられなかった。

壁があっても多少なら魔素の色の変化はわかる。

だが、多すぎるのだ…。

以外にも、魔法を使用している人が多すぎる所為で、色が混ざってしまっている。

これでは、誰が闇魔法を使っているのかわからない。

特に、魔法を使っている人は意外によく動いている。

おそらくだが、騎士が魔法を使っているんだろう。

どうすればいい…。

そう思っていると、


「おい、何考えているんだ?」


いつの間にか俺の事を見ていたティシール様が、俺に質問してくる。


「その…、俺は何をすれば良いんですか?」


俺は、少しだけでも自由に動ける時間が欲しくてそう聞くと、


「レスティン、お前はそこで私の護衛をしていろ」


ティシール様が俺にそう言う。


「ここで…ですか?」

「ここでだよ。私は基本ここから外に出ない」


つまり、俺もここから出れないって事だよな…。


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