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初代勇者を腕に  作者: 雪羅
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王妃

エルミールさんが言った名前に、俺が知らない名前が混ざっている。


「すみませんエルミールさん。ティアリス様とコレット様は知ってますが、ヴァレッド様とティシール様って方は?」

「はい?何を言っているのですか貴方は…。この国の王と王妃様ではないですか」


エルミールさんが呆れた声で俺にそう言ってくる。

王様と王妃様か…。

王様とは、初めにこの世界に召喚された時以来会った事無かったから完全に名前を忘れていた。

王妃様に限っては一度も姿を見た事がない。

そう思っているうちに、大きな扉の前に着いた。


「着きました。良いですか?くれぐれも粗相が無い様にお願いします。それとティアリス様とコレット様に気づかれない様にお願いします」

「…わかりました」


エルミールさんが再度、俺に忠告してから扉を開ける。


「失礼します。ヴァレッド様、ティシール様、ティアリス様、コレット様、臨時ではありますが新しい執事をご紹介しに参りました。今、お時間はよろしいでしょうか?」


先に部屋に入っていったエルミールさんがそう言うと、


「せっかくの家族団欒だというのに…」


おじさんの声が聞こえた。

この声はヴァレッド様、つまり王様の声だ。


「そう言わずにお父様。良いですよエルミール」

「最悪…また男が増えるの?」


ティアとコレットさんの声がした。

優しく諭すように王様に話しているのがティアで、嫌そうな声を出したのがコレットさんだ。

そして、


「エルミール、いい男か?」


男の様な話し方をする人がティシール様、つまり王妃様の声なのだろう。

王妃様の発言にエルミールさんは、


「好みによります」


そう答える。

すると、


「お前はどうだ、エルミール?」


王妃様が更にエルミールさんにそう言った。


「私は好みではありません」


エルミールさんがそう言うと、盛大な笑い声が聞こえる。


「お母様!エルミールも!そういう事は言ってはいけませんよ!」


ティアが大きな声を出して2人にそう言う。

俺はいつ入ればいいんだ?

そう思っていると、


「どうぞ」


エルミールさんが声を掛けてくれた。

俺は、扉を通り部屋の中に入る。

中に入ると、豪華な装飾をされている部屋に、これまた高そうな敷物が敷かれていてそこに、サンレアン王国の王様、王妃様、王女2人が座っている。

何というか、少しイメージと違う。

俺が持っていたイメージは、何かしらの遊戯をしていたり、椅子に座って話しているものだと思っていた。

少し固まってしまったが、挨拶をしないと!

そう思い、


「本日から執事として働かせてもらいます。レスティンと申します」


俺が4人にそう言うと、


「ふむ、精進せよ」

「よろしくお願いします」

「…最悪」


王様、ティア、コレットさんの順番で俺にそう言ってくる。

すると王妃様が立ち上がり、俺に近づいてくる。


「…ふ~ん」


ティシール様もやはり、ティアやコレットさんのお母さんなだけあって美しい容姿をしている。

ただ、目つきが凄く悪い…。

この目つきだけで人、1人くらいなら殺せそうな程怖い…。


『大丈夫シュウ?』

『大丈夫だよ…多分』


リーシャが本気で俺を心配している。

ティシール様がようやく俺から離れて、元の家族と一緒にいた所へ戻り座る。

俺は密かにホッとしていると、


「私も好みじゃねぇな」


俺に向かってそう言った。

凄く酷い…。


『何言ってるのかしらこの子…』

『リーシャ?怒らなくていいから!後、王妃様を子供扱いにしちゃダメだから!』

『だって…』

『リーシャにだけ好かれていれば俺は良いから』


俺がリーシャにそう言うと、


『えへへ…ずっと愛してるわ』


リーシャは機嫌が良さそうにそう言ってくる。

すると、


「おいレスティン」


ティシール様が俺を呼ぶ。


「は、はい!」


慌てて返事をすると、こっちに来いと手で合図をしてくる。

俺は速やかにティシール様に近づくと、


「止まれ」


後、数歩の距離で止められた。


「お前、何者だ?」


ティシール様が俺に向かってそう言い放った。

どういう事だ?

俺が答えを考えていると、


「王族に会って、そこまでしっかりと立っている者など、貴族…いやそれこそ他国の王族ぐらいだろう」


俺を見ながら、そう言ってくる。

そうか、ただの平民が王族に会って立っている方が違和感がある…。

マズい…。

ここには、ティアやコレットさんがいるからそこまで緊張していなかったのが、ティシール様には違和感がありまくりという事だ。

どうすれば…。

俺がそう思っていると、


「ティシール様、レスティンはそういう事に疎いのです。レスティンに一般的な考えは通用しないかと」


後ろからエルミールさんが援護してくれる。


「エルミール、信用できるのかコイツは?」


ティシール様がエルミールさんにそう質問する。


「はい。馬鹿ですので、深く考えたりとかは出来ないと思います」


エルミールさんがそう言う。

何気なく酷い気がするが、今の失態の所為で反論できない…。


「レスティンは誰の執事にする予定だ?」


ティシール様が更にエルミールさんに質問する。

すると、


「私は絶対嫌よ!」


コレットさんが大きな声で言う。


「コレット様には男の人をなるべく近づけません。私はティアリス様の元に就かせようと思っていました」

「私ですか?」


エルミールさんがティシール様の質問に答えると、ティアがそう聞いてくる。


「はい。私が見る限り、ティアリス様の元が1番良いかと思いまして」

「自分ではわかりませんけど、エルミールがそう言うなら、よろしくお願…」

「待ちな」


ティアの言葉に遮って発言したのは、ティシール様だ。


「レスティンは私に就かせろ」


エルミールさんを見てから、俺を見てそう言った。


「ティシール?」

「お母様?」

「ママ?」


ティシール様の発言に、家族の皆様がありえないモノを見るような顔をしている。

そんなに変な事言ったのかな?


「お言葉ですが、ティシール様に執事は…」

「私が預かる」


エルミールさんの言葉を遮って、ティシール様が言い放つ。


「…わかりました。それでは明日、ティシール様のお部屋に案内します」

「あぁ」


そうして話は終わりだと言う様に、ティシール様に追い出されてしまった。

今は、俺が過ごす部屋に案内するために、廊下を歩いている。


「…マズいですね」

「どうしたんですか?」


エルミールさんが歩きながら呟く。

俺はエルミールさんの呟きを聞いて質問する。


「ティアリス様が1番執事に寛容で、執事に自由を与えてくれます。ですから、私はティアリス様の元に貴方を行かせようとしたんですが…」

「ティシール様は違うんですか?」

「ティシール様は…私の口からは言えませんが、すぐにわかるでしょう」


エルミールさんはそう言った。

ティシール様は執事をどうする気だろう…。

明日に恐怖していると、


「それに、ティシール様に執事を迎えること自体が珍しいです。とても、貴方は目立ってしまいます」

「それって…」


エルミールさんがそう言ってくる。

そして、立ち止まり振り返る。


「依頼に対して…、とても難しい状況になってしまいました」


エルミールさんが、最悪な事を俺に向かって言い放った…。


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