メイド
結局、リーシャとルリィと一緒にベッドに入って眠る事になった。
だが、普通に入ってはいない。
設置されていたベッドは、元々1人用のが2つなのだ…。
1つのベッドに2人で寝るのもキツキツだ。
そこで3人で寝るには、どうしてもこうなる…。
俺とルリィがベッドで寝ることにして、リーシャは剣の姿になってもらい、俺の上にいる。
「どうしてかしら?不公平な気がするわ…」
「ご主人様に抱き締めてもらいながら眠れるんですよ?良いじゃないですか!私は変化をしても剣の姿にはなれないんですから!」
俺の上でリーシャが声を出すと、隣で俺に抱きつきながら横になっているルリィがそう言う。
ルリィの言葉にリーシャはまだ納得してはいなそうだ…。
仕方なく、剣になっているリーシャの柄を撫でると、
「ちょっとシュウ!?どこ触ってるの!?
「え?俺柄を撫でてたんだけど…」
「そこは胸よ!」
「そうだったの!?ごめんなさい…」
「ご主人様、私の胸も揉んでくださ~い」
「そんなのダメよ!」
そんな感じで3人でワイワイしていると、やがてルリィは先に寝てしまった。
「すぅ~…すぅ~…」
「ルリィは寝ちゃったかしら?」
「うん。気持ち良さそうに寝てるよ」
リーシャはルリィが寝ていることを確認すると、
「ねぇシュウ?」
「何?」
「これからも宿生活が続くと、こんな事になるわよね?」
「…たぶんね」
「…家を買いましょう?もしくは私が建てようかしら?」
「俺も頑張るから、リーシャがそこまでする必要は無いよ」
リーシャが俺に聞いてくる。
だが、旦那として俺も男の意地と言うものを見せたい。
リーシャに指輪だって渡していない…。
というか、この世界では結婚指輪を渡すものなのだろうか?
俺はそう思って、
「ねぇリーシャ。結婚する時って指輪を渡すものなの?」
リーシャに聞いてみる。
すると、
「そういう人もいるみたいね。私が知っているのは、指輪を渡す人とか花束を渡す人とかいたわね…。後は、浮気を互いにしないように互いの体に契約印を刻んだ人達もいたわ」
リーシャがそう答える。
リーシャの言葉を聞いて、俺はしっかりと形に見える指輪を渡したいと思った。
とりあえずまずは、依頼を受けてお金を稼いでいき、指輪と家を買えるように頑張ろう。
そう思いながら、俺はリーシャの重みを感じながら眠りについた。
翌日、俺はルリィに宿に残ってもらい、冒険者ギルドに向かっていた。
ルリィは、自分も一緒に行きたいと言っていたが、これからはガンガン依頼を受けていこうと思っているから、ルリィにはまだ危険だと言っても聞いてくれなかったが、ルリィが大切だから待っていて欲しいんだと言ったら、引き下がってくれた。
『シュウも女の子を誑かすのが上手くなったわね…』
リーシャの低い声が聞こえてくる。
『誑かしてないよ!本当にそう思ったから言ったんだよ』
『ふ~ん…』
『それに、俺が強かったらリーシャにだって残ってもらいたいんだ。でも俺もまだまだだから、リーシャに頼っちゃうんだ…』
『私はシュウの傍から絶対に離れないから、何を言っても無駄よ』
リーシャとそんな話をしていると、冒険者ギルドに着いた。
中に入って、受付嬢の所へ行く。
「おはようございます。シュウさん」
「おはようございます。今日の依頼は稼げる依頼入ってますか?」
「それが…実はシュウさんに依頼がありまして…」
「俺に?」
どういう事だろう?
そう思った瞬間、
「お久しぶりです。特に変わりもないようですね」
後ろから、久しぶりに聞く冷たい声が聞こえた。
この声って…。
そう思って振り返ると、そこにはエルミールさんが立っていた。
「え、エルミールさん?」
「そうです。サンレアン王国第二王女コレット・サンレアン様のメイドであり、騎士でもある完璧の存在のエルミールです」
「は、はぁ…」
いきなりのエルミールさんとの再会に頭が追い付かず、変な返事をしてしまった…。
すると、
「なんですかその返事は?私に会えて嬉しくはないのですか?」
エルミールさんが睨んでくる。
「そんな事ないですよ!嬉しいです!」
俺は慌ててそう言うと、
「なるほど。つまり、私に求婚しているのですか?申し訳ありませんがお断りします。冒険者と婚姻…ハッ」
エルミールさんはとんでもない事を言いだして鼻で笑った。
「違いますよ!エルミールさんと結婚なんてしませんよ!」
「冒険者風情がよくも言ってくれましたね…。覚悟はできましたか?」
エルミールさんはそう言って、メイド服のスカートから短剣を取り出してくる!
「どこから出してるんですか!?仕舞って下さい!」
その後、エルミールさんがいきなり斬りかかってきて冒険者ギルドの中にいる他の冒険者が逃げ出していき、俺はエルミールさんの斬撃を避けていった。
そんなことがあったが、今はエルミールさんも落ち着き、俺の向かいに座っている。
「それで、どうしたんですか?コレット様の護衛をしているエルミールさんがヴェルーズにいるなんて」
俺がそう言うと、エルミールさんはまたもやスカートの中に手を入れると、袋を取り出した。
そのメイド服のスカートはどうなってるんですか…。
俺がそう思っていると、
「貴方に依頼があります。これはその前金です」
「え?エルミールさんが依頼?」
俺はエルミールさんにそう言うが、こう思うと、俺に依頼が入っていると受付嬢が言っていたな。
そう思っていると、
「今回の依頼も護衛です」
エルミールさんがそう言った。
「護衛ですか…」
「はい。ですが、今回の依頼は癖があります」
「癖…ですか?」
「はい。今回はサンレアン王国の城での護衛です」
「それって、エルミールさんや他の騎士がしてますよね」
「当然です。ですが、今回の依頼での護衛は私のような城にいる者達から護る事なのです」
エルミールさんのような城にいる人達から護る?
どういう事だろう…。
俺がそう思っていると、
「城の中に、ヴァランス帝国と内通している者がいるようなのです。狙いは…、ティアリス様とコレット様、そして…勇者様達です」
エルミールさんがそう言った。
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