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初代勇者を腕に  作者: 雪羅
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和解

アルベールさんの言葉に、完全に油断していた。

そうだよな…。

完全にさっきのは風魔法には見えないよな。


「…はい」


流石に、これ以上嘘をつく事は出来ないと思い、アルベールさんの質問に答える。

すると、


「アルベール、よせ」

「ザール?」


ザールさんがアルベールさんの肩に手を置く。


「誰にでも人に話せない事がある。俺にもあるし、アルベールにもあるだろう?」

「…そうですね。すみませんでした。シュウさん許して下さい」


アルベールさんが頭を下げる。


「いやいや!アルベールさん!頭を上げてください!」


俺がアルベールさんにそう言うと、アルベールさんがゆっくりと頭を上げる。

それからしばらく、ヤニックの目が覚めるまで俺達は、魔物の対処方法などの情報交換をしていると、


「ん…ここは…」


そう声が聞こえてヤニックの方を見ると、顔面を触りながら起き上がっていた。

ザールさんとアルベールさんがヤニックの所へ行く。


「どうですかヤニック?自分から仕掛けた勝負に負けた感じは?」


アルベールさんがキツイ言い方をする。


「俺は…あいつに負けたんすか?」

「これに懲りたら、彼に喧嘩を売るのは止めましょうね?」

「…うす」


アルベールさんがヤニックに手を伸ばして、ヤニックは伸ばされた手を掴んで立ち上がる。

すると、立ち上がったヤニックが俺の所へ歩いてくる。


「また、勝負してくんねぇか?」


俺にそう言ってくるヤニック。

見ると、ザールさんもアルベールさんも驚いている表情をしている。


「そんなに俺が気に入らないのか?」


俺がそう言うと、ヤニックは険しい表情をしながら、


「俺は、早く強くならないといけないんだ」


そう言った。

ヤニック…、彼にも何か過去にあったのかもしれない。

そう思ってしまうと、どうしてか断りづらい…。

俺がそう思っていると、


『良いんじゃないシュウ?』

『リーシャ、どうして?』

『この男は嫌いだけど、戦い方は上手な方よ。この男と戦って経験を得るには互いに良いんじゃないかしら?』


リーシャが俺に助言をしてくれる。

そうだな…、リーシャの言う通り、俺はもっと強くなりたい。

だが、魔物と人の戦い方は違う。

魔物は依頼を受ければ戦えるが、人と戦う機会なんてそうそう無い。


「わかった。これから互いに時間があったら、また勝負しよう」


俺はヤニックにそう言って、ヤニックに手を伸ばす。


「すまねぇな」


ヤニックはそう言って、俺の手を掴む。

ヤニックと握手をしてから、皆で冒険者ギルドに戻ってきた。


「今日はすまなかった」

「いえ、俺も勉強になりました」


俺はザールさんと話していた。


「俺達3人はそれぞれ目標があって冒険者をしている。俺は前にも言ったが、故郷の皆を探している。アルベールに、あんなんだがヤニックにも、色々問題を抱えている」

「そうだったんですか…」

「もしかしたら、長期間ヴェルーズを離れる事もあるかもしれない」

「長期間って事はヴェルーズに戻ってくるって事ですか?」

「ギルド長には色々と世話になったからな。死なない限りここに戻ってくるつもりだ」

「死なないで下さいね」

「そのつもりだ。だが、もしもの時は頼んだぞ」

「わかりました」


それからザールさんと話した後、俺達は宿を取って部屋に入る。


「久しぶりにシュウと、くっついた気がするわ~」


リーシャが部屋に入った瞬間、人の姿に戻る。


「どうやってご主人様の腕になっているのですかリリアーナ様?」


ルリィがリーシャに聞いている。


「シュウとは契約しているのよ」

「では、私もご主人様と契約すればできますか?」

「それは無理よ。私が珍しいスキルを持っているからこそ出来る事よ」

「そんな…私もご主人様とくっ付いていたいです」

「これは私だけの特権よ」

「うぅ~…ご主人様~!」


リーシャとルリィが話していると思っていたら、ルリィが俺に抱き付いてくる。


「あぁ~!!」

「うおっ、どうしたのルリィ?」

「リリアーナ様が!私にはご主人様の腕にはなれないと言うんです!」

「あ~…」

「シュウから離れなさい!私だってシュウに抱きしめてもらいたいの!」


リーシャがルリィの尻尾を引っ張っている。


「痛いですリリアーナ様!ご主人様に撫でてもらう尻尾を引っ張らないで下さい!」

「ならそこを退きなさい!」


リーシャとルリィが言い争っているが、リーシャが本気でルリィの尻尾を引っ張っていないのはわかる。

リーシャが本気を出していたら、ルリィのモフモフの尻尾は体から離れているだろう。

結局、俺の両隣にリーシャとルリィが座る。


「シュウ…」

「ご主人様~」


両隣から声が聞こえる。

リーシャが左隣にいて、俺の腕を抱きしめる。

ルリィが右隣で、俺の肘を撫でている。

俺はどうすればいいのかわからず、2人に挟まれているしか出来ない…。

それから宿で夕食を食べて、後は寝るだけになったのだが…。

ここでは3つのベッドを置いてある部屋が無く、2つのベッドが置いてある部屋にしたのが問題だった…。


「シュウは私と寝るのよ!」

「私だってご主人様と一緒に寝たいです!」


また、2人が言い争いを始まってしまった…。


「ねぇリーシャ?ルリィにリーシャの事、全部話そうよ」


仕方なく、俺はリーシャの事をルリィに話そうとリーシャに言う。

実は、ルリィにある程度の事はルリィに話したが、リーシャの事は全部話していないのだ。


「まぁ、仕方ないけど…。少し不安なの」

「リーシャの言う事はわかるけど、このままじゃダメだと思うな」

「…そうよね…」


俺がリーシャにそう言うと、リーシャはルリィの所へ行く。

そして、ルリィの顔を見ながら、


「このことは、これからシュウと一緒に生きていくと言ったルリィの事を信じて話すことよ。他言無用で良いわね?」


そう言っている。

そのリーシャの言葉にルリィも姿勢を正して、


「…はい」


とリーシャの目を見て返事をした。

それからしばらく、リーシャとルリィは話をしていた。

リーシャの本当の事を知ったルリィは凄く驚いていたが、リーシャが今まで通りに接して欲しいという言葉に力強く返事をした。


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