また逢う日まで
ルリィと城下町を歩いて、ルリィの服を買ったり、食材を買ったりと買い物が忙しかったがルリィが目を輝かせながら商品を見ている姿を見て、良かったと思いながら今日1日を過ごした。
ルリィが道を覚えていてくれたおかげで、無事に家に帰る事もできた。
それから俺達は、グリニオン帝国でそれぞれの事をしていた。
俺はギルドで無理をしない程度の依頼を1日に2、3件受けてお金を稼いでいた。
リーシャはアルと一緒に扉の調査をして、色々な所へ転移をしていき、文献を持ってきたり、読んで来たりして情報を集めていた。
アルは、リーシャが情報を集めている間に、スキルを使用して様々な情報を見ていた。
ルリィは、この家の家事以外にもこれから旅に出る時のためにと、保存できる食料を作ったりと、様々な事をしていた。
それからルリィを救出してから数日が経過して、俺も1人でここまで帰って来れるようになった頃、俺は今日の依頼で稼いできたお金を数えて計算していた。
すると、リーシャとアルが2階から下りてきた。
「どうしたの2人共?」
俺が下りてきた2人に声を掛けると、
「これ以上ここにいても進展が無いなという事になったのよ」
「とりあえず、一旦オレは気になることができたから、そっちに行くことにするわ」
2人はそう言って、椅子に座る。
「アルはまた旅に出るの?」
「あぁ、オレはこの謎が解けるまで旅を続けるつもりだ」
「アルは昔からそうだったものね」
「オレは自分の知らない事を知りたいからな。根気よく探し続けるさ」
という事は、アルと過ごせるのは今日が最後という事か…。
寂しいな…。
俺がそう思っていると、
「一生の別れじゃないんだ。また必ずオレから会いに行くさ」
アルは俺を見ながらそう言ってくる。
すると、
「どうせまた、手伝ってくれ~!って泣きついてくるんでしょ?」
「泣きついてないぞ!」
アルの言葉に、リーシャがツッコむ。
それから俺達はアルとの最後の夜を過ごした。
そして翌日、俺達はグリニオン帝国に入って来た壁から出国した。
グリニオン帝国から少し離れた所まで4人で歩いていき、俺とリーシャとルリィはヴェルーズに戻る事にし、アルは更にあの扉に関係しそうな場所に行くことにしたらしい。
「じゃあまたな」
「うん…」
「また会いましょう」
「アルネウス様、お世話になりました」
アルは、リーシャとルリィと握手をする。
次は俺の番になり、俺は握手をしようと手を伸ばすと、アルが突然俺を抱きしめてきた!
「アル!!」
「アルネウス様ズルいです!!」
後ろからリーシャとルリィの怒った声が聞こえる。
すると、
「シュウ、また会うまで頑張れよ」
「う、うん」
「それと、もう少ししたら魔波が起きる。気をつけろよ」
「…え?」
そう言って、アルは俺から離れて歩き始める。
俺達の方へ振り返って、
「またな~!」
手を振りながら歩いて行ってしまった。
アルの背中を見ていると、
「シュウ、行きましょう」
「ご主人様、私も後で抱きしめて欲しいです」
リーシャとルリィが、それぞれ俺の両腕を抱きついてくる。
それから俺達は、リーシャの転移魔法でヴェルーズまで一瞬で辿り着いた。
ルリィは、リーシャが転移すること自体は一緒に過ごしているうちに知って驚いていたが、自分が体験して更に驚いていた。
そして何より、リーシャが久しぶりに俺の右腕になったのだが、ルリィはそのことに凄い驚いていた。
だが、何故か俺の右腕になっているリーシャを羨ましそうに見ている。
ヴェルーズの町を歩いていると、帰ってきたんだ…と思ってしまうぐらいこの町に慣れてしまったようだ。
ちなみに、ルリィは俺の左腕に抱きつきながら歩いている。
『この感じも懐かしいわね』
『そうだね。意外に俺が1人で戦える様になってから、こうしなかったしリーシャも忙しそうだったもんね』
『シュウの右腕になっていると落ち着いてくるのよね』
リーシャの言う事に笑っていると、あることを思い出す。
『リーシャ、聞きたい事があるんだけど…』
『どうしたの?』
『アルが別れる時に、もう少ししたら魔波?が起きるって言ってたんだけど、魔波って何?』
『魔波は、魔物が活発に動いて違う土地に移動する事よ。その動き方が魔物の波だったから、略して魔波と呼ばれるようになったのよ』
『魔物の大移動って事か…。原因は?』
『繁殖期で、子を生すために伴侶を探したりするためと言われているわ』
『アルが気をつけろって言ってたんだけど、何で?』
『シュウ、魔物が大移動すればそこら辺の町なんて踏み潰されて壊滅しちゃうわ。だから、魔波が起きる前兆があると、村や町で冒険者や兵士、騎士が守るために戦うのよ』
『なるほどね。だから、アルは俺に気をつけろって言ったのか』
リーシャと話して、アルが言った事の意味を理解する。
これから、大きな戦いがあるから気をつけろってことなのだろう。
アルは全知のスキルで魔波の起きる事を知ったのだろう。
俺はそう思いながら、ヴェルーズの冒険者ギルドへ入る。
すると…。
「ん?あ~!お前!また…ブッ!!」
あ、殴られた。
相変わらず俺を見ると突っかかってくるヤニックが声を出すが、全部言い切る前にザールさんに殴られて沈黙した。
「いつもいつもすまない」
「いえ、慣れてきましたよ」
ザールさんが頭を下げてくるが、俺がそう言うと頭を上げる。
「師匠!痛いですよ!」
「ヤニック、貴方が悪いんですから、謝りなさい」
「アルベールさん!?俺はあいつの事が気に入らないんですよ!」
「ヤニックはただ、美しい女性と一緒にいるシュウさんに嫉妬してるだけでしょう?」
「ちちち、違いますよ!」
俺は騒いでいるヤニックはほっといて、ザールさんにコソコソと話し掛ける。
「ヴァランス帝国ではありがとうございました」
「いや、気にするな。困っている者を助けるのが冒険者という者だろう…」
「ザールさんの方はどうでした?」
「駄目だった。だが諦めたりはしない」
「俺も協力出来る事があれば協力しますから、言って下さい」
俺がそう言うと、ザールさんは少し考える様な顔をすると、俺の肩を掴んで、
「俺達と狩りに行かないか?」
と言ってきた。
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