変化する剣
握る部分も刀身の剣…。
これはどういう事だ?
俺はそう思って、右手で握っている剣をまじまじと見る。
どんな剣なんだろう?
これは全知のスキルを持っているアルに聞こう。
そう思って一回剣をしまう。
3人が料理しているであろう家の台所へ行くが、そこではなんと…。
「これは匂いがキツイお肉やお魚の臭い消しに効果があるんですよ」
「そうなのね…」
「この葉っぱにそんな効果があるのか~」
ルリィがリーシャとアルに何やら教えているようだ。
料理に関してはルリィが強いようで、それからも2人が質問する事にルリィが丁寧に説明していた。
俺はそんな仲良くしている3人の後姿を見て、邪魔しちゃいけないな…、と思い俺は3人に気づかれない様に俺は3人を眺め続けた。
それからしばらくして3人が作った料理を堪能した。
ルリィは完全にメイドとしての能力が高い。
ちなみにルリィは肉が好物なのか、食卓には肉物が多くなった気がする。
食事が終わり、それぞれが自由にしてる時に俺はアルがいる、例の部屋の前にやって来た。
コンコン
「あ~い」
俺が扉をノックすると、部屋の中からアルの声が聞こえて扉が開く。
「ん?どうしたんだシュウ?」
「ごめんアル、少し聞きたい事があって…」
「別に良いぜ、入れよ」
俺は部屋に入ると、アルに自分に起こった事を説明する。
「なるほどな。シュウ、魂の剣がどういうモノか知ってるか?」
俺の話を聞いたアルが、俺にそう聞いてくる。
こう思うと、魂の剣は自分自身の剣と説明されただけで、他の事は知らない。
「自分自身の剣って説明されただけだね」
俺がアルにそう言うと、
「まぁ、そうだな」
と言って、アルは短剣を手に出現させる。
「シュウ、魂の剣は自分自身の剣だ。それは、オレやシュウが変化したら剣も変わっていくんだよ。特に心の変化がな」
「俺が変われば、剣も変わる?」
「そうだ。元々オレの剣はこんな短い剣じゃなかった。だが、オレは戦う力は要らないと思った故に、こんなに小さい剣になったんだ。シュウの剣もそうだと思うぜ」
「俺の剣…」
俺はアルに言われて考えながら、自分の剣を右腕を作ってから出してみる。
俺はどういう心の変化でこの形の剣になったのか…。
するとアルが、俺の剣を見て、
「シュウの剣は、ある意味ではシュウらしいと思うな。だが、これは使っちゃいけねぇと思う」
アルが俺が持っている剣の刀身を撫でながら、そう言った。
「どういう事?」
「今見たら、この剣はシュウの自分を軽く見ている所為でこうなったんだな…。この剣は、一振りで王国1つぐらいなら余裕で消し飛ばす威力があるな。だが、その代わりに剣を振ると、シュウにも代償があるようだな」
「代償?」
「あぁ。だが、これは…」
アルは何か言い難そうだ。
「この剣を振れば、シュウは何かを失う…」
アルは俺の目を見て、そう言った。
「何かって?」
「感情、四肢、大切なものだ」
「そうなんだ…」
「シュウ、もっと自分を大切にしろよな。お前にはリーシャにルリィ、オレだっているんだからな!」
アルは俺にそう言って、俺の胸の中心を軽く殴る。
「約束だぞ?」
「うん。わかった」
そう言って、俺は右腕に持っていた剣を消す。
その後は、もう寝ることにして、布を被った。
翌朝、ルリィに起こされて目が覚めた。
その時に、
「おはようございます、ご主人様。起きて下さい」
と言われて、起きた。
まさか人生で、狐耳の可愛いメイドに起こされる日が来るとは思わなかった…。
それから4人でルリィの作ってくれた朝食を食べる。
食べている最中にリーシャが、
「ルリィの服とか買いに行った方がいいんじゃない?」
と言う一言で俺とルリィの今日の予定が決まった。
それから、俺はあることを思い出して防具を買いに行く時にリーシャに渡されていた袋から、買った篭手を取り出した。
「これ、買ったんだけど…」
それをリーシャに見せると、
「あら?これって昔に私が使ってた篭手じゃない!」
そう言って篭手を手に取る。
「でもこれって…前に住んでた家に置いてき…あっ!」
リーシャは何かに気がついて声を出すが、すぐに頭を抱えて落ち込み始める。
どうしたのかと思っていると、
「家賃払うの忘れてたわ…」
と呟いた。
初代勇者が家賃…。
食卓に気まずい空気が広がるが、アルが俺の方を見てリーシャに何とか言えって合図をしてくる。
「リーシャ、家に何か大切な物とか置いてあったの?」
俺がそう言うとリーシャは、
「そういう訳じゃないけど、たまに帰るあの家が好きだったのよ…」
俺の質問の所為で、更に落ち込むリーシャ。
アルが、もっと頑張れ!と目線を送ってくる。
「り、リーシャ!俺頑張るから今度家買おうよ!もしくは頑張って建てちゃう!?」
俺がそう言うと、リーシャは頭を上げる。
その目は、キラキラとしている。
というか、俺何言ってるんだ?
俺がそう思っていると、
「シュウとのお家…。今すぐに買いに行きましょう!」
リーシャは思いっきり立ち上がり、大きな声でそう言った。
突然のリーシャの言葉に、俺とルリィとアルは呆然としてしまう。
だが、俺にはまだ家を買えるだけのお金がない…。
「リーシャ、将来の話だから。まだ俺にそんなお金はないから!」
「大丈夫よシュウ!私がいっぱい持ってるわ!貯めておいて良かったわ!」
それから俺はリーシャに、リーシャの為に自分でお金が出したい事を伝えて、何とか落ち着いてくれた。
それから俺とルリィは買い物に行くことになり、リーシャとアルは扉の調査を再開することになり、それぞれ今日のやる事の為に行動した。
リーシャとアルは例の部屋に入っていき、俺とルリィは出掛ける為に掃除や朝食の後片付けをした。
家でやる事が終わり、俺とルリィはリーシャとアルに行ってくると言って、家を出た。
「あっ…帰り道が…」
俺がそう呟くと、
「大丈夫ですご主人様!私が道を覚えています!」
ルリィが膨らんでいる胸を張って、俺に言ってくる。
もしかして俺って、方向音痴なのか?
そう思いながら、ルリィに引っ張られて歩き出す。
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