メイド?
ルリィの姿は、とても可愛い。
俺はルリィの姿を見ていると、
「シュウ…今の…この子の家族になるってどういうこと?」
後ろから低い声が聞こえてきた。
肩を掴まれて、無理矢理体を後ろに振り向かされる。
目の前には、涙目のリーシャ…。
「ち、違うんだリーシャ!ルリィが小さかったから、養子として2人で育てていこうと思って言ったんだ!確かにリーシャに相談しなかったのは悪いと思ってるけど、ルリィの事を助けたくて!」
俺がそう言うと、リーシャは涙目のまま、
「私の事嫌いになってない?」
そう聞いてくる。
「当たり前だよ!今でもリーシャを愛してるよ!!」
俺がそう大声で叫ぶと、リーシャは俺に抱き付いてくる。
俺もリーシャを抱きしめ返すが、すると後ろから、
「私との事は…嘘だったんですか…」
寂しそうな声が聞こえてくる。
首を回して後ろを見ると、地面を見つめているルリィの姿が見える。
これは…マズい…。
俺がそう思っていると、
「とりあえず、家に帰らないか?」
アルが俺の事をジトーとした目で見ながら、そう言ってきた。
その後、ルリィの案内で屋敷の裏からこっそりと抜け出した俺達。
今まで気づかなかったが、兵士や騎士達が屋敷に集まってきていた。
あのまま屋敷にいたり、屋敷の前から出たら捕まっていただろう。
それから町に逃げていき、今度はアルの案内で例の家に戻る事が出来た。
家に入って、4人で家の床に座る。
「じゃあこれから、シュウの処遇について話し合おうと思うぞ」
「!?」
「わかったわ」
「えっと…どういうことですか?」
俺の処遇…、流石に死にはしないよね?
はい死刑ー、になんてならないよね…。
俺がそう思っていると、アルが、
「シュウはリーシャがいるのに他の女を口説くという大罪を犯したんだ」
「あの、アル?口説いた訳では無いんだけど…」
「でも、家族になって欲しいって言ったんだろ?」
「それはそうだけど…」
俺がそう言うと、アルはため息をつく。
「…少…羨ま…い…」
アルが小声で何かを言っているが、俺には聞き取れない。
するとルリィは、
「その、私はシュウさんの家族と言うよりも奴隷やメイドをしたいのですが…」
そう言う。
リーシャがルリィに話し掛ける。
「奴隷にされて嫌な思いしてるのに、まだ人に支配される事を望むの?」
「シュウさんなら、私に嫌な命令をする事も無さそうですし、シュウさんに仕えたいと心から思っています」
ルリィはそう言うが、俺は人を従わせるような事を出来ればしたくない…。
するとアルが、
「じゃあ、シュウの事は何とも思ってないのか?」
ルリィにそう聞く。
「いえ、シュウさんの事は好きです。私に美味しいものを食べさせてくれたり、助けてくれました。シュウさんに押し倒されれば喜んで受け入れますし、シュウさんとの子供も欲しいです」
ルリィ…、君の発言でリーシャとアルの顔が怖いんだ…。
だが、ルリィは2人の顔に気づいていないのか、更に話す。
「でも、シュウさんにはリリアーナ様が本妻なんですよね?ですから、私はシュウさんの愛人、奴隷、メイドになりたいと思っています」
「本妻…うふふ…」
「この狐…ヤバいな…」
ルリィの言葉にリーシャやアルが嬉しそうにしたり、恐ろしいモノを見ている様な表情をする。
「そう言えば、リーシャとアルはどうして俺の居場所がわかったの?」
俺は話を逸らそうとして、リーシャとアルに質問する。
そう言うと、2人は俺の方を見て、
「シュウの魔力を感じたの。それで外に出たら、シュウが前にやった爆発の振動が肌に当たったの。それで…」
リーシャはそう言って、アルの方へ向く。
するとアルが、
「俺がシュウの居場所を見て、シュウの居場所をリーシャに教えて転移してきたんだ」
そう言った。
「そうだったんだ…。2人ともありがとう。おかげで皆を救う事が出来たよ」
俺がお礼を言うと、ルリィも頭を下げる。
「私も、助けてくださってありがとうございます」
ルリィの姿を見て、リーシャとアルは微笑みながら、
「良いのよ」
「全然かまわないぜ」
そう言った。
それからしばらくは、4人で今後の事とルリィの事を話し合った。
リーシャとアルは未だにあの扉の謎を解き明かせずに四苦八苦しているようで、今後もしばらくはここに留まる事になった。
その間、俺はこの国の冒険者ギルドで依頼を受ける事にした。
ルリィは俺達と一緒にいたいという事でルリィはメイドという事になった。
だが、何故かルリィは、
「ご主人様、私に契約印を刻んで欲しいです」
と俺に言ってくる。
リーシャに相談すると、
「私がシュウの本妻なら少しぐらいなら良いわよ」
と言って、ルリィの右手首に契約印を刻んだ。
その内容は、俺に仕える事を契約したようだ。
ちなみに、命令すると従うらしい。
奴隷と一緒じゃないか?
そう思ったが、命令に逆らっても苦痛は感じない様にしているらしい。
そして、ルリィは…。
「ふんっふふんっふっふ~ん♪」
鼻歌を口ずさみながら、この家の掃除をしている。
ちなみに、ルリィは料理も掃除も出来るらしい。
後できることは、屋敷で見せた変化というスキルで、自分の姿を変幻自在らしい。
戦闘に関しては完全に素人らしいのだが、俺が冒険者ギルドで依頼を受けることを話したら、自分も付いて行きますと言ってくれた。
だが、俺には戦いながらルリィを護ることは自信がないからここで待っていて欲しいと言ったら、
「置いて行かないで下さい」
涙目で訴えられてしまった…。
だが、こればかりは俺も無理な事を伝えると、納得はしていなそうだが引き下がってくれた。
その後、ルリィが料理をしようとしたらアルが、
「オレがする!」
そう言って、ルリィと料理対決が始まったり、それを見ていたリーシャが、
「私もやるわ!」
と言いだして、3人で料理をし始めてしまった。
俺は自分のやる事がなかったため、どうしようかと悩んでいたら、あることを思い出して、俺は1人で空いている部屋に入って魂の剣を出すと、また掌をパックリと切ってしまった…。
どうしようかと思ったが、ある方法を思いついて、俺は右腕を作り出す。
そしてそこに剣を出すと、出てきたのは今までの普通の剣ではなかった。
それは、銀色の刀身。
これだけなら普通だ。
だが、何より握る柄の部分も刀身になっていた。
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