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初代勇者を腕に  作者: 雪羅
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名付け

第一、名前を付けるような事がなかった。

ペットを飼ったこともなかったし…。

そう思っていると、


「そんなに難しく考えることねぇよ」


アルがそう言ってくれた。

だが、今俺が使える技なんて魔素を圧縮して作った腕で殴るのと、魔素を圧縮して作った剣の刃を飛ばすの。

あと、技か分からないが魔素を圧縮して作った大きな塊を爆発させて、俺が瀕死になったアレだけだ…。

結局、今日は何も思い浮かばず、寝ることになった。

翌朝、いつも通り出かけようとしたら、リーシャとアルが話があると言われた。

昨日の事かと思ったら、今日で練習は終わりにして明日はこの森から出発するという事だった。

理由は、俺が十分戦える様になったからだ。

その話を聞いてから、俺は昨日の破壊をしてしまった所へ。

改めて見ると、凄い事になっている…。

だが、俺の力じゃ直す事が出来ない…。

リーシャに悪いが、直してもらうしかない。

俺はそれから、今までやっていた事をくり返していく。

そして、技を使っているうちにパッと思いついた名前を付ける。

まず、右腕の形に魔素を圧縮することを「魔拳」

そして、魔素を圧縮して作った剣の刃を飛ばす遠距離攻撃を「魔翔剣」

最後に、ここを破壊した爆発を「魔震」

魔震については、あれは爆発というよりも、震動に近いと思ったからだ。

適当に見えるが、これでも頑張って考えた。

それから俺は、


「魔拳!」


そう言って、右腕を形成して木を殴る。


「魔翔剣!」


同時に、即座に刃を作り出して枝を刈り取る。

ここまで同時に出来る様になれば十分なのかな?

やっぱり俺は魔震を使いこなしてみたい…。

2人には悪いが、俺は昨日よりは遥かに小さい塊を作り出す。


ここからが問題だ…。

昨日の眠る前に、この魔素で作った右腕を塊にぶつければ、昨日と同じ事が出来るはず。

だが、それに巻き込まれない様にする方法が思いつかない…。

魔素を纏って頑丈にするだけでは簡単に掻き消える…。

魔素を圧縮して俺に纏わせてみると、


「か、硬い…」


体が動かなくなる…。

仕方がない、今は解決方法が思いつかないから保留にしておこう。

旅をしている間に、解決策を見つける事が出来れば良いが…。

そう思いながら、俺は魔素の塊を霧散させる。

その後は、俺は魔拳と魔翔剣の技術を磨く。

今日の訓練はそれで終了した。

これからの旅で様々な魔法や技、戦闘の技術を見る事になるだろう。

そうすれば、俺はもっと強くなれるかもしれない。

俺は今後の事に期待しながら、テントに戻った。

テントに戻ると、リーシャとアルが明日の準備をしている。


「お~!おかえりシュウ!」


アルが俺に気づいて声を掛けてくる。


「おかえりなさい、シュウ」

「ただいま。俺も何か手伝うことある?」

「じゃあ、この荷物をまとめて欲しいわ」

「わかった。任せて」


リーシャがやっていた事を任される。

荷物の整理も終わり、次にやることを聞こうとしたら、リーシャが出かけようとしていた。


「どうしたのリーシャ?」

「シュウが破壊した森を直しに行くの」

「俺も行くよ」


俺がそう言うとリーシャが、


「大丈夫よ、すぐ戻ってくるから」


そう言って行ってしまった。

仕方なく、俺はアルにやることがないか聞く。


「アル、何か俺にやることは無い?」

「ん?あぁ、リーシャを慰めてやってくれ」

「リーシャを?何かあったの?」

「ま、まぁな。女には色々とあるんだよ」

「…そうなんだ」


俺がそう言うと、アルが口を開く。


「まさかあそこまでなんてな…」


アルが呟くが、俺にはあまり聞こえなかった。

仕方なく、俺はリーシャの所へ向かおうと、アルに声を掛ける。


「アル、リーシャの所へ行ってくるね」

「おう!ここは任せておけ!」


アルの言葉を聞いて俺はリーシャの所へ向かう。

すると、森が直っていた。

まだ、魔素の影響が無い普通の木が生えている。

すると、普通の木に寄りかかっているリーシャを見つけた。


「リーシャ!どうしたの?体調が悪いの?」


俺がそう言ってリーシャの傍に駆け寄る。


「…シュウ」

「大丈夫?どうしたの?」


俺がそう言うと、突然リーシャが抱き付いてくる!


「どうしたのリーシャ?」

「その…我慢ができなくて…」

「我慢?」


俺がそう聞くと、リーシャの両手が伸びてきて俺の頬に触れる。


「リーシャ?」

「その…シュウに触れあえていなかった所為で、禁断症状が…」

「俺は危険薬物かな?」

「私からしたらそうかも…」


リーシャが顔を近づけてくる。

既にリーシャは目を閉じている。

俺も目を閉じて、リーシャの唇に自分の唇を重ねる。


「ん…」


リーシャが吐息を漏らす。

それからしばらく、お互いの感触を確かめるように抱きしめ合ったり、キスをし続けた。

それからリーシャが離れる。


「すぅ~…はぁ~…シュウの匂い…」


リーシャの呟きに俺は慌てる。


「リーシャ!俺今、汗かいてるから匂いは!!」

「私は好きよ…シュウの匂い…汗も…」


リーシャはそう言うと、俺の首元に顔を近づけて、


「ちゅっ…」


首元にキスをしてきた。

更に吸ってくる。


「はぁ…」


俺の首元から顔を上げたリーシャの顔は恍惚な表情をしている。

すると、今度は俺を座らせて来る。

リーシャに従って俺は地面に座ると、座っている俺の上に俺の方を向いてリーシャが座ってくる。

俺の目の前にはリーシャの胸…。

すると、リーシャが俺の頭を抱き寄せる。

リーシャの甘い匂いと、顔面に伝わるリーシャの柔らかさに興奮してきてしまう…。


「ぁ…ン…」


リーシャの声に余計にだ…。

無心になれ!無心になれ!

それからしばらく、リーシャは俺を抱きしめ、俺はリーシャの感触に包まれていた。

やがて、俺達は離れてアルの所へ帰ろうということになり、森を進み、テントの所へ戻って来た。


「「ただいま」」


俺とリーシャが揃ってアルに言うと、


「お、おう…おかえり2人共」


アルは俺達にそう言ってくるが、顔を見るとアルの顔が真っ赤になっている。

もしかして…。


「アル?」

「オ、オレは何も知らないし見てねぇぞ」


完全に見てたな…。


「…アルネウス??」


隣から暗い声が聞こえる…。

だが、


「はぁ…アルがシュウを私の所に来させてくれたんでしょ?お礼を言うわ」


リーシャは、一度ため息をついてから声が穏やかにしてアルにそう言う。


「お、おう!喜んでもらって良かったぜ!」


アルは慌ててそう言う。

するとリーシャが、


「アルも男が気になって仕方ないんでしょ?」


と、アルに言う。


「な!それじゃあオレが変態に聞こえるじゃねぇか!」


アルはまた顔を赤くして大声を出して、リーシャに抗議した。

それからしばらくリーシャとアルの争いはあったが、3人で夕食を食べて、この森最後の夜を過ごした。


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