ステータスと自身の剣
魔法の詠唱を考えるの大変です
ティアリスさんとレデリックさんに案内され、大きな部屋に入ると広いがさっきの部屋よりかは豪華さがない。
「これを皆様にお配りして下さい」
そう言ってティアリスさんはメイドさん達に、名刺より少し大きいサイズの紙のような物を手渡す。
それを手渡された感想は、大きさはやはり名刺より少し大きいくらいで触った感じは紙の感触なんだが、プラスチックぐらいの硬さがある。どんな素材を使っているんだ?
「これは?」
「それはステータスカードです。皆さんのステータスが記される物で身分証明にもなるので失くさないようにお願いします」
「わかりました。気を付けます」
「それではこれからステータスを表示するための魔法を詠唱します。勇者様方も私と同じように言って下さい」
「「「はい」」」
「我が力の全てをここに記し、魂の剣よ、姿を現せ」
「「「我が力の全てをここに記し、魂の剣よ、姿を現せ」」」
そう言うと手に持っているカードに変化がある。
「「「おぉ!カードに文字が出た!」」」
皆も驚いているみたいだ、もちろん俺も驚いている。
これって俺が魔法を使ったってことだよね!
どれどれ?なんて書いてあるんだ?というか何でこの世界の言葉がわかるんだ?
そう考えると転移された時にあった激しい頭痛が可能性がある。あの瞬間に俺たちの体に何かこの世界の言葉がわかるように体を改造されたのかも…、そう考えるとなかなか怖いな…。
まぁ、過ぎたことを考えても意味ないか…、今は自分のステータスを確認しよう。
俺は自分のステータスカードを見る。
<ステータス>
名前:シュウ・ハヤマ
Lv:5
職業:平民
年齢:17
MP:100
スキル:火魔法Ⅰ
これはやばい。職業が平民なのは良いんだが,全体的に能力値が普通すぎる…。
もしかしたら普通より低いかもしれない…。
「皆様、ご自身のステータスを確認出来ましたか?」
「出来ました」「これってどういうことなんだろう?」「何がなんだかわかんない」
「では、もう1つして頂きたい事があります。手を胸に当ててください」
1人で不安になっていると、ティアリスさんが更に声を出す。
まだ、何かあるんだろうか?そう思いながら言われた通り、胸に右手を当てる。
「集中して手を胸に当てていると熱くなってきますので、そうしたら何かを引き抜く感覚で手を放してください」
ティアリスさんの言う通り、当てている手に意識を集中すると手が熱くなってきた。
確か引き抜く感覚って言ってたよな、そう思いながら手を丸めると何かを掴む感触がある。引き抜く事を意識してゆっくりと胸に当てていた手を放すと、手に剣が収まっていた。
どういうこと?どこから剣が出てきたの?
そんな事を考えていると、
「うわっ!なんだこれ!」「お、重いよ」
他の人達も俺と同じように手に様々な剣があった。
大きいものから小さいもの、直剣や刀みたいなものまで色々だ。
「出ましたね。それは勇者様方自身の剣です。私達は魂の剣と呼んでいます。魂の剣は同じものはありません。似ている形や能力であっても全く同じものは存在しません。それは勇者様方の魂を形にしたものですから」
魂の剣…。カッコいい名前なんだが、俺のはどう見ても普通の直剣なんだけど…。
周りを見ると強そうな大剣の人とかいるけど、あんなの見せられると俺のが弱そうに見えてくる…。
「レデリックさんの魂の剣が見てみたいです!」
獅子原がレデリックさんに声をかけると、周りにいた人たちも見たいと声を出す。
「俺のか?良いぜ!」
そう言うと、まるで瞬間移動したみたいにレデリックさんの手にはハルバードが握られていた。
「慣れればすぐに魂の剣は出すことができる!練習あるのみだな。ちなみに俺の魔法は爆裂魔法しかないが、なかなか強いんだぜ!」
レデリックさんはそう言っているが、団長ということはなかなかというより凄い強いんだろう。
「レデリックはとても強いんですよ。なにしろ赤き英雄って呼ばれるくらいですから」
ティアリスさんが面白そうに言っている。
赤き英雄?レデリックさんは髪の毛が青色だから青き英雄じゃないのか?
俺がそんな事を思っていると、
「何で赤なんですか?」
と春乃がティアリスさんに質問するとレデリックさんが気まずそうに、
「敵を爆裂魔法で倒したら、爆発して飛び散った相手の返り血とか内臓で真っ赤になるんだよ」
と言った。
レデリックさんとは戦いたくないと全員がそう思っただろう。
ありがとうございました