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初代勇者を腕に  作者: 雪羅
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ボール

あの後、リーシャは森に戻って行き俺とアルはまた俺と模擬戦をしている。

今度、先輩達と会う時は胸を張って会えるように強くならないと。

だが、何度アルと戦っても遠距離攻撃する方法が思いつかない。

結局、今日はそのまま近接攻撃するしか出来ず、アルに遠距離攻撃をされて一方的にボコボコにされた。

アルと2人でリーシャが待っているテントの所へ戻る。


「ただいま」

「今、帰ったぞ~」


俺、アルの順番でリーシャに声を掛ける。

すると、リーシャがこちらに振り返って、


「おかえりなさい」


と微笑みながら言ってくる。

それから、今回は3人で夕食の準備をして食べる。

皆、食べ終わり今はそれぞれ自由に過ごしている。

と言っても、アルは相変わらず鍵を調べている様だ。

そして、俺はリーシャにいくつか質問している。


「遠距離攻撃をする時に、リーシャならどうしてる?」


俺は今後の攻撃方法を増やすために考えているが、なかなか難しい…。

元々、火魔法しか使えなかったから、他の魔法などの適切な攻撃方法や使い方を知らない。

参考にするには、様々な魔法を使えるリーシャに聞いた方が得策だろう。


「風魔法をよく使うわね。他にも遠距離に使える魔法はあるけれど、風魔法が一番使いやすいのよ」

「風魔法か…。ありがとう、参考にするよ」


俺はリーシャにそう言って、魔素を操る。

だが、風を起こす事は出来ず、変化はない。

どうすればいいのか…。

試しに魔素を圧縮してボールを作る。

そして木に投げてみるが、木に当たる前にボールは霧散して消えてしまう。

俺が触れてないといけないのか?

いや、前に空中を歩く練習の時に俺はこの辺の魔素を操っていると、リーシャが言っていた。

それに、魔法は使用者から離れている。

俺がもっと集中すればできるかも…。

それから俺は、ボールを作っては投げていたが、全て木に当たる前に消えてしまった。

だが、大きな収穫もあった。

俺が投げたボールは、消えるまでの間なら空中で自由に動かせる。

この発見は大きい。

後は、消えないようにするだけ…。

それから、何回も練習するが結局成功することは無く、眠りに着いた。

朝、いつもの様に朝食を食べてから、アルと2人で森から離れる。

すると、今日は珍しく魔物の姿があった。

ユニコーンの様な角が生えている馬が3頭草原の草を食べていたが、俺とアルに気付いて鳴き声を上げる。


「ありゃ、一角馬いっかくまだな」

「一角馬?」

「あいつの肉は硬くてマズいからなぁ~。酒のつまみにすらならねぇし」


アルはそう言って、ため息をつく。

アルは毎晩、お酒を飲んでいる。

アルが飲むのに、リーシャは一滴も飲まない。

年齢的には問題がないのだが。

俺がそう思っていると、一角馬はこちらに向かって走ってくる。


「シュウ、油断するなよ」

「何で?」

「あいつらは、ほれ」


アルが指さした1頭を見ると、角が光っている。

瞬間、角が伸びて俺の方へ向かってくる!

魔素を操って纏う。

伸びてきた角が、俺の腹に当たり衝撃が腹に伝わる。


「角が伸びた…。ん?」


俺に攻撃してきた馬が小さくなっている。

どんな体の構造してるんだ?


「シュウ、あれ狩って来い」

「わかった!」


アルに言われて、俺は駆け出す!

3頭の一角馬が俺に向かって高速に角を伸ばしてくる!

俺は走りながら角を避ける!

だが、一角馬が伸びた角を横に振るい、俺の脇腹に衝撃があり、俺は横に飛ばされる。

飛ばされながら足に集中して空中で止まり、そのまま空を走り出す!

俺は魔素を圧縮して右腕を作り、一角馬を殴る!

瞬間、殴った馬の頭が弾ける!

返り血を浴びるが今は、気にしていられない。

残り2頭!

ふと、頭にある案が思い浮かぶ。

俺はとりあえず、2頭の内の1頭を即粉砕する!

そして、残った一角馬を捕まえる。

暴れているが角が伸びている状態で、体が小さくなっているから捕まえられた。

俺は魔素を操って濃い魔素を作り出して、一角馬の体に入れていく。

通常の何倍にも濃くした魔素を強制的に、生物に入れるとどうなるか…。

魔素を入れてから1分程で、一角馬は大人しくなっていき、体が赤黒く変色していく。

すると、一角馬の目、鼻、口、耳から血が溢れ出てきて、一角馬は地に倒れた。


「残酷な事してしまった…」


ここまで酷くなるとは思えず、後悔する。


「シュウ、流石にえげつないぞ…」


後からやって来たアルが顔を引き攣らせている。


「ここまで酷い事になるとは思わなくて…」

「仕方ねぇ。コイツは埋めてやろう」

「…うん」


それから俺とアルは穴を掘り、3頭の一角馬を埋葬した。


「シュウがやったのは、濃度が高い魔素を強制的に入れたんだよな?」

「そうだよ」

「そりゃそうなるわな」

「なんか拷問しているみたいな感じになった」

「拷問魔法はあるが、あれに比べたら優しいもんだな。拷問魔法は最後までは殺す事が出来ない中途半端な魔法だが、シュウのやったアレは最後の最後まで苦しめてから殺すやつだからなぁ」


本物を超えてしまう程だったのか…。

あれを戦闘に使うのは止めよう。

それから、俺は1回布を取りにテントに戻り一角馬と返り血を拭い、アルの元に戻った。

アルと戦っている内に、魔素の操り方も慣れてきて、近接戦闘ならアルとも良い勝負といった感じだ。

だが、やはり距離を離されると、確実に負ける。

そうしている内に、一旦休憩することになり、俺は魔素のボールを作り出して、空中に浮かべる。


「シュウ、今更なんだが…」

「どうしたの?」

「シュウの攻撃はほとんどの人が見えないんだぞ。それを活かす攻撃にすれば良いんじゃないか?」


見えない攻撃…。

浮いている魔素ボールを眺める。

ボールを操り、俺の周りをクルクルと回す。

そして、どんどん魔素が薄くなり消えていく。

ん?消えるのは確実だけど、消えるまでにある程度の時間があれば良いんじゃないか?

それまでに攻撃を当てられれば…。

俺はもう一度ボールを作り出す。


「…5……15……30…」


およそ37秒。

作り出してから消えるまでの時間を確認してから、更に1つのボールを作り出す。

遅れてもう1つ、ボールを作る。

2つのボールを維持するのが辛いが、これは練習をしていけば大丈夫だろう。

すると、最初に作ったボールが消えていき、次に作ったボールが消える。

次々と作っていけるようになれば、これでイケるんじゃないか?


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