圧縮
目の前に出されたお皿を見ると、角煮の様な四角い肉が煮てある様な料理がお皿に乗っていた。
「これ…」
「これな、シュウの隣にいるリーシャが作ったんだぞ」
俺の言葉に被せて、アルがそう言ってくる。
「リーシャが?」
アルの言葉に俺は、隣にいたリーシャを見ると、リーシャはびっくりしているような顔をしている。
そうか、リーシャを呼んだ時にリーシャは後ろにある物を隠そうとしていたのは、これだったのか。
だが、何でリーシャは驚いているのだろう?
「リーシャって料理は苦手って言ってたけど、出来たんだね」
「え…あ、そ、そうなのよ!意外にやってみれば簡単だったわ!」
俺がそう言うと、リーシャは俺にそう言ってくるが、目が泳いでいる。
「とりあえず、食おうぜ」
俺がオロオロしているリーシャを見ていると、アルがそう言ってくる。
3人でテントの前に座る。
「「いただきます」」
「い、いただきます」
俺とアルがお肉を口に運ぶのを見てから、リーシャも肉を口にする。
「美味しい…」
「良い感じじゃねぇか」
俺とアルがそう言うと、リーシャがアルの事を目を見開いて見ている。
どうしたんだろ?
それから、食事を3人で平らげて食事は終了した。
その後、俺は色々と考えていた。
魔素を操って戦う応用方法などがないかと。
リーシャやアルは俺に攻撃能力は要らないと言ってたが、何が起きるかわからない。
リーシャが俺の近くにいない場合も想定して、俺には俺にしかできない攻撃手段を見つけ出さないと。
今出来る事は、魔素を纏う様にして体の強度を上げる事と、空中を走れるぐらいだ。
魔素はこの世界のどこにでも存在するモノ。
空中だろうが、地中だろうが関係はない。
だが、人の体の中には無い。
そこで、少しだけ閃いた。
後は、練習してみてだな。
それと、わからない事があるからリーシャに聞いてみよう。
俺はそう思うと、アルと一緒に鍵を見て色々と調べているリーシャに声を掛ける。
「リーシャ、少し聞きたいんだけど今良い?」
俺がそう言うと、リーシャは鍵から視線を外して俺の顔を見てくる。
「良いわよ。どうしたの?」
「リーシャも魔素が見えるって言ってたよね?」
「えぇ、見えるわ」
「魔素って人の体の中にはないでしょ?それって魔物もなの?」
俺がそう聞くと、
「生き物の体の中に魔素はないわね。魔力はあるけど」
リーシャが俺の質問に答えてくれる。
俺の考えている戦い方は、魔物にも効く可能性があることがわかった。
思い立ったが吉日、早速練習しよう。
まずは、俺に触れている魔素を操る。
これは、さっきのアルとの戦いでだいぶ速く操れる様になった。
そして今度は、リーシャが言ってくれた俺の右腕の形になる様に魔素を固める。
だが、なかなか難しい…。
腕の形にすることはそこまで難しくないが、物を持つという物体に干渉させる事が大変だ。
魔素は元々どこにでも存在して、ほとんどの人が触れられないし見えないモノ。
これが鍵になる。
それから俺は、必死に物を持てるようにするために、魔素を操るが上手くいかずに、眠る事になった。
翌朝3人で食事をした後、アルに戦ってほしいと頼むと、
「別に良いぜ!」
と、言ってくれた。
「あまり、荒らしちゃダメよ」
リーシャから釘を刺されてしまったが…。
また、アルと2人で森を抜けた草原までやって来た。
アルは森の方が魔素が濃く、あっちのほうが良いぞ?と言ってくれたが、普段通りの場所の方が良いと思い、草原まで来てもらった。
俺とアルは互いに向き合う。
「じゃあ、準備できたら言えよぉ~」
アルはそう言ってくれるが、俺はすぐにアルの所へ駆ける!
右腕の形に魔素を固めて、殴りかかるが、アルの変化した剛腕をすり抜けてしまった。
「ぐっ!」
そのせいで、アルに殴られてしまう。
まだ、魔素で人に触れることができない。
「行くぞ、シュウ!」
アルがそう言って、俺の目の前まで一瞬で駆けてくる!
速い!
一瞬で間合いを詰められてしまった。
「オラァ!」
「ぐはっ!!」
魔素の右腕でガードしようとしたが、またもやすり抜けてしまった。
アルの剛腕に殴られて、俺は地面を転がる。
「なにやってんだシュウ?」
地面に倒れている俺の側に、一瞬で来たアルが声を掛けてくる。
「色々と…実験を…ね」
俺は言いながら、立ち上がる。
ただ魔素を操るだけじゃダメなんだ。
魔素で形を作っても、すり抜けてしまう…。
少し集中しないといけないが、試してみよう。
俺はそう思って、魔素を操って右腕の形にするがここまではさっきまでやっていた。
ここから、魔素を更に集めて魔素を圧縮していく。
初めてやるが、魔素を圧縮するのは意外に難しい…。
少しずつ、ゆっくりと…。
ちょっとずつ、圧縮するスピードを速める。
だが、急いでしまい、圧縮した魔素が霧散してしまった。
アルを見ると、俺の準備を待っている様だ。
もう一度やり直す。
魔素を圧縮、しっかりと…。
そうすると、今まで重みを感じ無かった魔素に変化が!
ずっしりとした重みが右腕にある。
これならどうだ?
「いくよ」
「来な!」
アルに一言言って殴りかかる。
アルは剛腕で殴りかかってくる!
瞬間、アルの腕を殴った!
「おぉ?」
アルも困惑している。
この隙に!
俺は更に魔素を圧縮して作った右腕を振るう!
今は、右腕の魔素を維持するので精一杯で、他の部分に魔素を使う事が出来ない。
「なかなかの攻撃だが、まだ甘いな!」
アルが俺の間合いから逃げてしまう。
アルの左腕が変化する。
両腕を変化させたアルが両腕を俺の方へ伸ばすと、腕が伸びた!
伸びた腕が俺を捕まえようとしてきて、俺はその腕を躱していく。
だが、躱し切れずに左腕が掴まれた!
捕まってしまったら最後、アルの両腕が俺の両腕を掴む。
「くっ…」
何とか抜け出そうとするが、アルが簡単に離してくれる事もなく、振り解けない。
「良い打撃だったが、完全な近距離にしか対応出来ないのは、ダメだぞ」
アルが俺にそう言ってくる。
確かに、俺がやってたのはただの重いパンチだ。
これじゃあ、今みたいに距離を離されたら俺には何も出来なくなる…。
次の課題だな…。
そう思った瞬間、腕を縮めたアルの前まで引っ張られてしまい、腹に蹴りを入れられて、俺は地面に倒れた。
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