初代魔神アルネウス
「与えられたスキル?」
「あぁ、この世界の神にな」
俺が質問するとアルはそう言ってきた。
「でも、アルはそれで良かったの?」
「良かったって?」
俺がそう言うと、アルは俺の方を向いて聞いてくる。
「魔法が使えるのに、それを捨てる事にして…。俺の魔法は普通で珍しくもない魔法だったから後悔はしてないよ。でも、アルの使えてた魔法は珍しいって言ってたから」
「オレは戦える力はこの力だったからな。戦う時、魔法は二の次だったからな」
アルはそう言って、手を前に出す。
すると、さっきまでの様にアルの手が真っ黒で大きくなる。
「魔神の復活と人間では言われてるが、魔神は復活はしない。死んだらそれまでだ。魔神って何だか知らないだろ?」
アルが俺に聞いてくる。
確かに、俺は魔神に関しては何も知らない。
「何も知らない…」
俺がそう呟くと、
「魔神っていうのは、簡単に説明しちまうと、魔力の塊みたいなものなんだ」
アルが説明してくれる。
「魔力の塊?」
「あぁ、膨大な魔力を1つにまとめて、魔族に伝わる古代の禁術でその魔力自体に意識を目覚めさせるんだ」
「だから、魔力の塊なんだ」
俺がそう言うと、アルはあぁ…と言う。
「魔力の塊だからこそこんな風に体を変える事も出来るんだ」
「体を変えるって言うけど、アルは女の子の姿をしてるけど、性別とかはどうなってるの?魔力に性別とかはないだろうし」
「お…女の子…」
「アル?」
「い、いや!性別だったよな!魔神の性別は魔神を創り出した大魔王の性別と同じになるんだ」
俺が質問すると、アルは何やら慌てて説明してくれる。
大魔王の性別と同じか。
「話を戻すが、オレが自我を持ったのが魔神として魔力に意識が出来た時なんだ。だから、オレは色々な事を知らなくてな。大魔王に色々教えてもらった結果、オレは偏見の塊みたいな思考しかしてなかったんだ。で、それからリーシャに半殺しにされて、更生して良い事をしてたら、レクシシュ…神に次の神になりませんかって勧誘されたんだよ。で、神界に行ってみればリーシャがいてよ。2人で頑張ろうとしたんだが、神様の仕事って地味すぎるんだよな。座って紙にハンコ押したりするだけなんだぜ。2人で見習いをやめてよ。その時、オレとリーシャは同じ全能のスキルだったんだ。でも、オレにはこれ以上の力はいらない、それよりも色々な事を知る事が出来る全知のスキルの方が良い!って言ったら、意外にもあっさりと与えてくれたんだ」
「そうだったんだ」
アルにも、リーシャにも、誰にだって様々な事があったんだな。
それから、2人でまた模擬戦をしたが上手く魔素を操ってたりするのはまだまだ時間が必要だ。
だが、今の問題は…。
「どうしよっかこの荒地?」
そう、2人で戦った草原は見る影も無く、草は無くなり地面はボコボコだ。
「あ~…、リーシャに頼むしか無いなこりゃあ」
仕方なく、2人で森に入りテントを張った湖の所まで戻ると、リーシャが何やらやっている。
「ただいまリーシャ」
俺がリーシャに声を掛けると、リーシャはビクッと反応する。
「お、おかえりなさい2人共」
リーシャは、振り返って俺達を見てくる。
「何やってたのリーシャ?」
俺は気になってリーシャの後ろにある物を見ようとすると、
「な、なんでもないのよシュウ!そ、それよりもどうしたの!」
リーシャが慌てた様子で、俺に見られないように後ろにある物を隠す様に俺の前に出てくる。
「いやな~、オレとシュウが暴れた場所を整えて欲しいんだよ」
アルがリーシャに説明してくれる。
だがリーシャは、
「そ、そうなの」
と後ろを気にしている。
凄く気になる。
そんなリーシャの様子を見たアルが、リーシャに近づくと小声で話しかけている。
「後は…に任せ…。上手く……やるから」
「悔し…けど、お願……」
2人の話し声が少しだけ聞こえるが、俺にはさっぱりだ。
「じゃぁシュウ、案内して欲しいわ」
そう思っていると、リーシャが俺を強制的に振り返されて、リーシャが俺の背中を押してくる。
「う、うん」
結局、リーシャが何をやっていたのか分からないまま、リーシャをアルと2人で荒らしてしまった場所に案内する。
目的の場所に着くと、リーシャが呆れている。
「どうしたら、ここまで荒らす事が出来るの?」
「どちらかというと、アルが俺をぶっ飛ばして俺が突っ込んだ穴とかなんだけどね」
「大穴開けるほど地面に叩き付けられて、そんなに元気って事はある程度の力なら、シュウは耐えられる様になったのね。凄いじゃないシュウ」
「まだまだ全然だよ」
リーシャに褒められて、嬉しくなる。
もっと頑張らないと。
それから、リーシャが魔法を使って俺達が荒らした土地を元に戻していく。
相変わらずリーシャの魔法は凄い。
俺は、リーシャの事を集中して見ると、リーシャの周りの魔素は深緑の様な色をしていた。
風魔法は緑色だったが、今使っている魔法は風系統の魔法ではない。
魔素の色は、色が違えば完全に魔法の種類も違うようだ。
すると、リーシャが土地を戻して終わったようで帰ってきた。
「どうしたのシュウ?」
リーシャが俺の顔を見て、聞いてくる。
「いや、魔素の色を見てたんだ」
「そうだったのね、どうだった?」
「綺麗な深緑だったんだけど、さっきの魔法は何魔法なの?」
「自然魔法よ」
「自然魔法?どんな魔法なの?」
俺が質問すると、リーシャが座る。
俺もリーシャの対面に座る。
リーシャが地面に手を置くと、そこから木が生えてくる。
「これが自然魔法。草木を生やす事が出来る魔法よ」
「この魔法、どういう時に使うの?」
「この魔法は、今回みたいに土地を荒らしたり、砂漠化したりしている所に自然を増やす時とかに私は使ってるわ。この魔法を使える人と会った事がないから、詳しくはわからないの」
「そういうことか。リーシャにも把握できない魔法とかあるんだね」
「あるわよ。結構いっぱい」
それから、2人でのんびりと話をしていたが、いい加減帰らないとアルにも悪いねっていうことになり、リーシャと手を繋いで森に入る。
テントへ戻ると、美味しそうな匂いがする。
「お!帰ってきたな。火の番はしておいたぞ」
アルが俺とリーシャを見て、そう言う。
火の番?
そう思っていると、
「飯にしようぜ!」
アルがそう言って、俺の目の前に皿を出してきた。
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