姫と東騎士団団長
遅くなって申し訳ありません
あの後、やっと皆が落ち着いたところで話が進んできた。
今は王が政務で席を外した後、王の後ろにいた可愛い女の子と20歳前後の男性が前に出てきて自己紹介をしている。
「私はティアリス・サンレアンと言います。勇者様方、こちらの都合に巻き込んでしまい申し訳ありません。私どもができる限り協力させて頂きますので、今後ともよろしくお願いいたします。私の事はティアリスと呼んでください」
「俺はレデリック・ジルベールだ。この王国の東騎士団団長をしている。俺からも謝罪する。俺たちが不甲斐無いばかりに関係ない君たちを巻き込んでしまって申し訳ない。ティアリス様もおっしゃった通り全力で君たちを守ってみせるから、よろしく。俺の事もレデリックでかまわない。」
ティアリスさんとレデリックさんか…。
というか、ティアリスさんの名前サンレアンってことはつまり、この国のお姫様なんじゃないか?レデリックさんもティアリスさんの事を様付けしてたし。
「私が代表して挨拶します。私は東桜寺怜華といいます。怜華と呼んでください。この皆さんの代表的な存在です。こうなってしまった事に全て納得しているわけではないですが、今はそんな事言っている場合ではないと思います。…ですが、私の友…仲間達をしっかり守ってください。それだけはお願いします」
そう言って先輩は頭を下げる。
「怜華様!頭を上げてください!勇者様が頭を下げることなんてないです!」
ティアリスさんが慌てている。
そうか、俺たちの立場はこの国、もしくはこの世界の勇者…救世主的な扱いなわけだ。しかもその勇者の代表が頭を下げることがどんなに不安になるかなんて簡単な話だ。
「では、勇者様方々にはこれからステータスといって皆さんの能力を確認するんで俺とティアリス様に付いてきてください。行きますよ、ティアリス様」
「は、はい!」
そうしてティアリスさんとレデリックさんに付いて大広間をでると長い廊下にでた。
な、長い!学園の廊下より幅はあるし距離もあるし相変わらずキラキラしている。そして何より学園と違うのは、
「メイドだ…」
やばい、うっかり声に出してしまった。
前を歩いている人が俺を見る、なんでもないですよ、何も言ってませんよ。
そうだよな、城なんだ…メイドさんがいても不思議ではない。
前を歩いている人たちを見ると廊下の豪華さには驚いているようだが、メイドさんには驚いていない。
待てよ、東桜寺先輩の家には家政婦がいたはずだ。それを考えると前を歩いている人たちの家にも家政婦やメイドさんがいるのかもしれない。
長い廊下を歩いていると、また大きな扉が見えてきた。
「ここでステータスを調べます、どうぞ中へ」
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