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初代勇者を腕に  作者: 雪羅
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俺が固まっていると、


「よぉリーシャ!久しぶりだな!」


そう言って目の前の女性はガハハと笑う。


「アルネウス、本当に久しぶりね。ここじゃなんだから中に入れてもらえる?」

「ガハハッ!中に入れてもらったのも出されたのもリーシャの方じゃ…」


女性は冷や汗を流しながら口を閉じる。

とんでもない事を言いそうになっているのをリーシャが見たこともない顔をして止めた。


「…見てたのね」

「あ、はは…。見ていたというか知ってたというか…」

「中に入れてくれるわよね?」

「お、おう」


そう言って女性は部屋に招き入れてくれる。

部屋は前に泊まった時の部屋と変わらない。


「まぁ、座ってくれ」


そう言われてリーシャがベッドに座る。

俺もその隣に座ると、女性は俺とリーシャの対面に座る。


「改めて。久しぶりだなリーシャ!」

「そうね。何年振りかしら?」

「大雑把に200年振りだなぁ」

「もうそんなに経つのね…」

「だなぁ~」


リーシャと女性がそんな事を言うが年数が立ちすぎてないかな?

俺がおかしいのか?

だが、改めて思うとリーシャは362歳だった。

それに200年振りって事は、この女性も最低でも200歳以上という事だろう。

そんな事を思っていると、女性が俺の方を向く。


「初めまして、リーシャの旦那さん。オレはアルネウスって名前だ」

「は、初めまして。シュウって言います」


俺がそう言うとアルネウスさんは俺の事をガン見してくる。


「ほぉ~!リーシャの旦那は若いんだな!こんなおばさんで良いのか!」


アルネウスさんはそう言って豪快に笑う。


「お、おばさん?」

「生きている年数で言えば完全にオレ達はババアだろ!」


アルネウスさんはリーシャに喧嘩を売っているのかな?

そう思うが、俺以外がリーシャの事をリーシャと呼んでいる人はこの人だけだ。

フェリアンさんもリリアーナ様って呼んでいたし。


「ん?あぁ、何しろリーシャっていう呼び方はオレが考えたんだからな!」


アルネウスさんが説明してくれる。


「仲は良いぞ!リーシャは少し頭が固いのがたまに傷だけどな」

「アルネウスはユルユル過ぎるわ…」


リーシャがため息をつく。

どういう関係なのだろうか?


「オレ達の関係か?何て説明すれば良い?」


アルネウスさんがリーシャに向かって聞くと、


「アルネウスが悪い事をしようとしたから私がそれを止めたってところよ」


リーシャがそう言う。


「そうだなぁ~。あの時は若かったなぁ」


アルネウスがしみじみと言う。

今でも2人共十分若いと思うけどなぁ。


「嬉しいこと言ってくれるな~!」


アルネウスさんが俺にそう言ってくる。

ふと気づく、俺は何も言ってないのに何でアルネウスさんに伝わっているんだろう。


「それがオレのスキルだからな」

「スキル…ですか?」

「あぁ、リーシャから聞いてるはずだけど…」

「リーシャから」


俺がリーシャの方を向くとリーシャは、


「前に話したんだけど、全知のスキルよ」


リーシャがそう言う。

全知と言うと、確かリーシャが前に説明してくれた何でも知っているっていうスキルだ。


「正確にはこの世界の全てを知っているってスキルだけどな」

「この世界?」


俺が聞くと、


「シュウや召喚された勇者はこの世界の人間じゃなかっただろ?だから存在自体知らなかったぜ」


アルネウスさんがそう説明してくれる。


「だけど今は俺達がこの世界にいるから知っていると?」

「そういう事だな」


ある意味このスキルも凄い。

リーシャの全能のスキルも凄いが、このスキルも様々な所で役立つだろう。

そんな事考えていると隣にいるリーシャが声を出す。


「それで、この世界を旅するって言って旅に出たアルネウスが何でここに来たの?」


リーシャがそう言うとアルネウスさんの表情が真面目な顔つきになる。


「リーシャ、ヴィリヴァって国を知ってるか?」

「えぇ、古代都市よね。遥か昔に滅んだって文献で読んだ事があるわ。確か魔法よりも魔導具と言う物を使って発展していったって書いてあったわ」

「そのヴィリヴァを見つける事ができたんだ」

「どんなに探しても見つける事ができないって言われてるヴィリヴァを?」

「オレのスキルを使えば簡単だ。だが行くにも手順が必要でな。そのせいで何年も掛かっちまった」


そう言うと、アルネウスさんは首に提げていた物をリーシャに渡す。

受け取った物を見せてもらうとどこかの鍵のようだ、文字の様なものも書いてある。


「この鍵は?」


リーシャがアルネウスさんに問う。


「ヴィリヴァにあった物なんだがその文字読めるか?」


リーシャが鍵を見るが、


「見たこともない文字だわ」


そう言ってアルネウスさんに鍵を返す。


「何で私にそんな事を?アルネウスのスキルなら…。もしかして…」

「その通りだ。オレでも読めないし知らない文字なんだ。つまり、この鍵はオレのスキルでは解読する事ができない。この世界の文字でもない」

「だから私に?」

「リーシャは博学だからな。それに知っているのと経験しているのは違うしよ」


アルネウスさんがそう言うが俺は1つ疑問に思う事がある。

アルネウスさんは俺や勇者の事は知っているんだ。


「そう、この世界に来たシュウや勇者の事はわかるんだ。だから、この鍵は全知のスキルすら凌駕する程の何かがあるんだ」

「その鍵で開けられる扉みたいな物は?」

「それは見つける事ができたんだ。一軒家だったんだけどな。中にも入ったんだが普通の家だったんだ。だが、ある部屋だけ異質だった。部屋のど真ん中にまた扉があったんだ」


部屋の真ん中に扉とは奇妙な光景だ。


「その扉の鍵だったんだが、開けても何もなかった」

「何も?」


リーシャがそう返すとアルネウスさんは、あぁと言う。


「それで、そこに私も一緒に行って調べて欲しいと?」

「その通りだ!頼むリーシャ!」


そう言ってアルネウスさんは頭を下げる。


「頼むって言われても…」


そう言ってリーシャは俺の方を見る。


「手伝ってあげようよリーシャ」


俺がそう言うと、


「シュウがそう言うなら手伝いましょうか」


リーシャがそう言う。


「おぉ!ありがとうなシュウ!」


アルネウスさんはそう言って俺を抱きしめてくる。

い、息が…。

顔全体が柔らかい感触に包まれると、


「シュウに手出さないで!私のシュウなんだから!」


リーシャが大きな声を出して俺に抱き付いてくる。

うぉぉ…。

もはや、体全てが柔らかい感触に包まれる。

それからしばらくして柔らかい感触から解放された。

そして、アルネウスさんは置いてあった荷物を持って、


「初代勇者に初代魔神と人間シュウで変な組み合わせで出発だ!」


そう言った。

んん?

初代勇者=リーシャ

人間シュウ=俺

初代魔神=???

この部屋にいるのは俺とリーシャとアルネウスさん。

つまり、初代魔神がアルネウスさん!?


「ん?そうだぞ?」


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