来訪者
エルフの森から少し離れた所で森の方を確認するとエルネットさんの姿は無かった。
「ふう、ここまで来れば大丈夫だろう」
「そうね」
俺がそう言うと、リーシャが久しぶりに人の姿になる。
「やっと戻れたわ」
「ありがとうリーシャ」
「良いのよ。それより行きましょ?」
リーシャはそう言って俺の手を掴む。
「転移」
リーシャがそう言うと、景色が変わりある建物が目に入る。
「リーシャここって…」
「そう。エルフの村に行く前に寄った宿よ」
「どうしてここに来たの?」
俺がそう言うとリーシャは俺を睨みつけてくる。
だが、怒ってるというより拗ねている感じだ。
「私もシュウの頬突いたり撫でたりしたいわ…」
どうやらヴェルーズに帰る前に昨晩のお仕置きが決行されるらしい…。
「行こっか?」
「うん!」
そう言って宿に入り部屋を取った。
部屋に入るとリーシャがいきなり抱き付いてくる。
「シュウ…シュウ…シュウ」
リーシャは俺の名前を呟きながら俺に抱き付いている。
リーシャから女性特有の甘い匂いがしてクラクラしてくる。
「ごめんねリーシャ…ここ数日はずっと俺の腕になっていてくれていたからこういうこと出来なかったもんね」
「…ううん。私が好きでしてるんだもん…」
「…ありがとう」
そう言うとリーシャは更に抱き付いてくる。
そのせいで、柔らかい2つの山が俺の体に当たりムニュムニュと形を変える。
「…シュウ…、ン……」
リーシャが目を閉じると顔を近づけてきて、俺の口を塞いでくる。
俺もそれに答えるように、リーシャの唇の感触を確認するようにキスをする。
「シュウ…その、今日は」
俺はリーシャが顔を赤らめて言葉にしようとしているのを、もう一度キスをして口を塞ぐ。
多分、それを言うのは俺の役目だと思ったから。
リーシャから唇を離してリーシャの目を見つめる。
「…ハァ…ハァ…。…シュウ…?」
目を潤ませて俺を見つめてくるリーシャ。
俺は緊張しながらリーシャに言う。
「その、リーシャ…。俺…は…リーシャが欲しい…」
俺がそう言うと、リーシャは目を見開きながら涙を流している。
だが、悲しいなどの感情で泣いている訳ではない様だ。
微笑みながら涙を流して、
「うん…うん…あげる。私の全てをあげる!」
そう言ってくれた。
それからはお互いを求め、許した。
甘く優しい時間を過ごして翌日になってしまった。
翌朝、俺は起きると隣から寝息が聞こえる。
これが世に言う朝チュンか…。
そう思いながら、隣で寝ているベッドの中に入って顔も見えないリーシャに声をかける。
「リーシャ、朝だよ。起きて」
そう言って布団を捲ると、そこにいたのは寝息をたてている銀色の剣。
つい笑ってしまう。
その後起きたリーシャが人に戻ると、また裸だった。
リーシャが恥ずかしがって魔法を使われたのは大変だった。
その後、宿を出る。
「シュウ、手握って」
「…うん」
何故か緊張してしまう…。
「転移」
リーシャが魔法を使いヴェルーズの人気の無い道に転移する。
それから2人で冒険者ギルドに行き、中に入る。
いつも通り受付嬢に挨拶をして奥に通される。
奥の部屋をノックすると、中からいつも通りに声が聞こえる。
部屋に入るとフェリアンさんがニコニコ笑っている。
「只今戻りました」
「長旅ご苦労様です」
「要件は何なのフェリアン?」
リーシャがフェリアンさんに質問すると、
「お2人にお客人が来ていたんですよ」
そう言ってくるフェリアンさん。
だが、俺とリーシャが2人で行動しているのを知っているのはこの町の人達ぐらいだろう。
「誰なんですか?」
「私も知らないんですよ。ただ私に2人に会いたいから呼び戻せと言われて」
「怪しいわね…」
リーシャが言う。
俺もそう思う。
「特にリリアーナ様を探していた感じですよ」
「私を?」
余計に怪しく感じる。
リーシャは長いこと洞窟で暮らしていたんだ。
リーシャの事を知っている人があまりいないだろう。
「まぁ良いわ。それでそのお客様はどこにいるの?」
「宿にいるそうですよ。3号室だったはずです」
「わかったわ。行くわよシュウ」
そう言ってリーシャは部屋から出て行く。
俺もリーシャを追いかけて部屋を出ようとしたら、
「シュウさん、エルフの村の件ありがとうございました」
「いえ、あれで良かったかわからないですけど…」
「そうですね。良いか悪いかはこれからわかってきますよ。ですが、妹や姪を救ってくれたそうで」
「妹?姪?」
「リザベルトとエルネットですよ」
まさかの2人はフェリアンさんの家族だったようだ。
「お2人にはお世話になってたんです。当然ですよ」
「そう言っていただけるとありがたいです」
そう言ってフェリアンさんは笑う。
「シュウ~!」
リーシャが俺を呼ぶ声が聞こえる。
「失礼します」
「はい」
そう言って部屋を出る。
受付まで戻るとリーシャが待っていてくれた。
「ごめんリーシャ」
「何か話してたの?」
「うん。エルネットさんとリザベルトさんがフェリアンさんの親族だったみたい」
「そうだったのね~」
リーシャとさっきのことを話しながら冒険者ギルドを出る。
「確か宿にいるって言ったたわよね」
「うん」
話しながら町を歩き、宿屋に辿り着く。
中に入ると、女将さんが俺達に気付く。
「おや!久しぶりだね!今日も泊まりかい?」
「いえ、人と待ち合わせしているんです」
俺がそう言うと、
「そうなのかい。ゆっくりしていきな」
そう言ってまた何かしている。
それから、2階に上がり3号室を見つける。
「行くわよシュウ」
「うん」
リーシャが3号室の扉をノックすると、中から
「ちょっと待ってろ~!」
と、女性の声が聞こえた。
すると、隣にいたリーシャが
「まさか…」
と呟く声が聞こえた。
リーシャの知り合いという事か?
そんな事を思っているうちに扉が開く。
中から出てきたのは金髪に血のように赤い目。
そして、効果音があるならドドンッ!となりそうな圧倒的サイズの胸!
リーシャより大きい。
そんな事を考えているとリーシャが睨んでくる…。
だが、何よりも目を引いたのは彼女の頭から生えている角と背中の方に見える翼だった。
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