王
名前を考えるのが難しいです。
目を開けると煌びやかな装飾が目立つ広めの部屋に横たわっていた。
周りにはまだ目覚めてない人たちがいるが、起きている人たちもいる。
「つまり、私たちを魔法という非科学的な方法を用いてあなた達のこの世界に連れて来てこの世界の危機を救って欲しいということで間違い無いのですね」
「あ、あぁ、その認識で間違いない」
「自分勝手すぎじゃないか!あなた達を助けるのに俺たちに死ねってことかよ!」
「……獅子原君、興奮しないで…うるさい」
「だけど秋沙先輩!こいつ等のせいで俺たちが危ない目に合うんですよ!」
「お姉ちゃんも獅子原先輩も落ち着いて。あの、私たちを元の世界に戻してくれる方法はあるんですか?」
「あるにはあるが、今はできないのだ。さっき話した通り、復活する魔神を倒すかもしくは魔神の復活を阻止すれば可能性があるのだが」
「定番な感じですね。テンプレです」
生徒会の人達は先に目を覚ましていたようで、偉そうな人と言い争っている感じだ。
話している感じだと俺たちが帰るためには敵のボスを倒すってことかな。
周りの皆も言い争っている声で目が覚めたようだ。
「どこだここ?」「なにがあったの?」「確かクラスで光に包まれて…」
よく見ると結構な人数いるな、もしかして東桜寺学園高等部全員じゃないのか?
東桜寺学園は全国の天才や秀才が集まっている故、1学年に1クラスしかない。
1クラスに30人前後だから100人いるかいないかだろう。
「あの…、何があったんですか?ここはどこですか?」
名前も知らない女子生徒が声に出す。
それに反応して生徒会のメンバーと偉そうな人、そしてその後ろにいる人たちがこちらを向く。
「私が説明しよう。私はこの国の王、ヴァレッド・サンレアンだ。そして、ここは我が城サンレアン国の王城、大広間。君たちを呼んだのは私だ。君たちを呼んだ理由だがこの先復活するとされる魔神ベリウズザの復活を阻止するか倒してほしいのだ」
サンレアン王がそう言うと、周りの人たちが、
「そんな身勝手ふざけるな!」「家に帰らせて!」「こんなの夢に決まってる…」
と皆騒ぎ始める。当たり前だ、こんな状況で冷静になんてなれない。家に帰りたいわ…。
「皆、落ち着いて。こうなってしまった以上、皆でそれぞれ自分のできることをして協力していきましょう、無理して危険なことをしなくていいわ、生徒会長である私が皆のために交渉するから」
流石、東桜寺先輩だ。この状況下でも冷静に判断し皆を鼓舞している。
「東桜寺先輩…」「東桜寺さん…」「生徒会長…」
騒いでいた周りの人たちが落ち着き静かになっていく。
「帰るために頑張ってみようかな」「俺でも出来ることがあるならやってみるか」
静かだった皆がまた騒ぎだしてきた。ただ先ほどと違い皆少しずつやる気を出し前向きな声を出している。
凄いな、と思いながら先輩を見ると姉さんと何やら話しているようだ。周りがうるさくて聞こえないが…。
「流石怜華、皆やる気を出してる」
「そう言う秋沙も何でそんなに嬉しそうなの?危ない事なのよ」
「私の夢が叶う可能性が高くなるのだから当たり前」
「夢?あぁ、確かに前の世界では叶う可能性が低かったからね、でも約束を忘れないでね」
「わかってる」
読んでくださってありがとうございます。