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初代勇者を腕に  作者: 雪羅
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追憶 クリスマス

このお話は過去の話ですが本編とは関係ありません。

夢を見ている。

とても懐かしい光景だ。

これは高1の時、先輩に誘われて先輩の家に行ったクリスマスの時だ。

あの日は家でのんびりしていたら姉さんと春乃がどこかに出掛けてしまって、夕方だったが俺はコンビニに行こうとして玄関を開けたら、先輩がいたのだ。


「柊ちゃん、メリークリスマス!」

「先輩、どうしたんですか?」

「メリークリスマス!」

「先輩?」

「メリークリスマス」


先輩が怖い…。

これって言い返さないといけないのかな…。


「め、メリークリスマス…」

「やっと返してくれた」

「すみません。恥ずかしくって」

「挨拶はちゃんと返してね」


メリークリスマスって挨拶、クリスマスにしか使わないでしょ…。


「そう言えば、先輩はどうしたんですか?姉さんと春乃はいませんよ」

「知ってるわ…。だから来たんだもの」

「ん?」


先輩が何かを呟くが俺にはよく聞こえなかった。


「柊ちゃん、これから出かけるの?」

「コンビニに行こうとしてました」

「コンビニに?」

「特に用がある訳じゃないんですけどね」

「じゃあ、私の家に来ない?」

「先輩の家にですか?」

「そうよ、柊ちゃんとクリスマスパーティーがしたいわ」

「良いですよ」

「本当!じゃあ、すぐ行きましょう!」


そう言って先輩は俺の手を握って歩き出す。

初恋の人と手を繋ぐのは緊張する…。

それから先輩と2人で先輩の家まで手を繋いでいた。

そして、先輩の家に着いたのだが相変わらず大きい家だ。


「ただいま」

「お邪魔します」


そう言って2人で家に入ると、


「おかえりなさいませ、怜華お嬢様」


家事手伝いの人が出迎えてくれた。


「準備はできてますか?」

「勿論です」

「ありがとうございます」


先輩がお手伝いさんと話している。

準備ってクリスマスの?


「電話は?」

「済ませてありますよ」


電話??家族にかな?

そう思っていると、


「柊ちゃん、私は部屋に行って来るから先にリビングルームに行ってて」

「はい」


先輩はそう言って階段を上がって行く。


「では、こちらへ」

「あ、はい」


お手伝いさんに案内されて広いリビングルームに案内された。

そこには大きいテーブルに椅子が2つ。

テーブルの上にはホールケーキに様々な料理が並んでいる。


「凄いですね」

「頑張ったんですよ。ではお嬢様が来ますので待っていてください」

「わかりました」


そう言ってお手伝いさんはリビングルームから出て行ってしまった。

俺はとりあえず、2つあるうちの1つの椅子に座る。

少しすると、リビングルームの扉が開き先輩が入って来た。

黒い服にズボン姿の先輩はとても綺麗だ。

私服姿の先輩が見れただけで今日は良い日だ。


「柊ちゃん、まだ夜ではないけどご飯にしましょう!」

「え?まぁ良いですけど」


俺がそう言うと先輩はテキパキと取り皿に料理を乗せてくれる。


「この料理、私も作ったの」

「先輩が作ったんですか?」

「えぇ、あとこのケーキも」

「凄いですね。このケーキ普通にお店に売ってるのと変わりませんよ」

「ありがとう。さ、食べてみて」


そう言って先輩は俺に先輩が綺麗に乗せてくれたお皿を渡される。


「ありがとうございます。じゃあ、いただきます」


そう言って俺は、綺麗に切られたチキンを食べる。

スパイスが効いていてとても美味しい。


「美味しいですよ」

「ありがとう。これも食べてみて。あーん」

「へ?」


まさかの先輩は俺に向かってフォークを向けてくる。

その先にはローストビーフ。


「せ、先輩?自分で食べられますよ」

「あ~ん」

「先輩?」

「あ~~ん!」

「あの、先輩…恥ずかしいので…」

「柊ちゃん?あ~んしなさい」


先輩の目が鋭くなる。

これは少し怒っている時だ。


「あ、あ~…んぐ」


口を開けた瞬間、先輩が口に肉を入れてくる。


「美味しい?」

「はい。美味しいです」


ふと気がついた、俺の手からお皿もフォークも無くなっているのを。


「はい柊ちゃん。あ~ん」


もしかしてずっとこうなの!?

その後も先輩のあ~ん攻撃は止まず、お腹が一杯になるまで続いた。


「ご馳走様でした」

「お粗末様」

「今度、お礼しますね」

「楽しみにしてるね」

「はい!」


時計を見ると、もう夜の8時になりかけていた。


「じゃあ先輩、俺そろそろ帰りますよ。長居するのも悪いですし…」

「大丈夫よ、柊ちゃんのお母様に連絡はしたから」


一体いつの間に…。


「先輩のご家族は?」

「今日は仕事で帰って来ないのよ」

「そうだったんですか」

「えぇ、だから柊ちゃんは今日はうちにお泊りよ」

「な、何でそうなるんですか!?」

「柊ちゃんのお母様に許可してもらっているもの」


母さん…。


「お嬢様、お風呂の準備が出来ました」


お手伝いさんが入ってきてそう言ってくる。


「ありがとう。柊ちゃんお風呂入りましょう?」

「え?い、一緒にですか!?」

「当然よ。さ、行きましょう」


そう言われて先輩は俺を引きずる。

その後、先輩に必死に交渉してお風呂は別々になった。

その時の、


「また今度ね」


と言う呟きが聞こえたが気にしないでおこう。

その後は先輩の部屋に案内されて色々な話をした。

先輩がアルバムとかを持って来て昔の先輩の事を聞いたり、逆に俺の昔の事を聞かれたりと楽しい時間を過ごした。

気がついたら俺と先輩は寝てしまったらしく、2人で同じベッドで寝ていたのに気がついたのは翌朝だった。

隣に寝ていた先輩を起こすと、寝起きの先輩は普段よりぽんわりしていたが、それもすぐに終わり2人でお手伝いさんが作ってくれた朝食を食べた。


「お世話になりました」

「また来てね柊ちゃん」

「はい、お邪魔しました」


俺はそう言って先輩の家を後にした。

自宅に帰ると、目を真っ赤にした姉さんと春乃が待っていて、


「「なにこれ!!!」」


と言って渡された携帯電話には、先輩が寝ている俺に抱き付いている自撮りの画像だった。

俺の頬にキスしているのもある。

あはは…、先輩ったらお茶目さんなんだから。


「「説明を」」

「…わかりました」


完全に怒っている2人には逆らえない…。


読んでくださってありがとうございます!

今回は東桜寺怜華のお話でしたがお正月に葉山秋沙&春乃との話を書こうか悩んでいるところなので感想などで「書いて」の一言でもありましたら執筆するので、よろしくお願いします。

メリークリスマス♪

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