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初代勇者を腕に  作者: 雪羅
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番外編 カーヤ編 淫魔の体質

…俺は今、とても大変な状況に追い詰められている。

何故かと言うと、


「……………………」


元の世界の俺の部屋に、カーヤさんが来ているからだ。

屋敷の部屋なら週に一回くらい来ているのだが、こちらの部屋に来るのはとても珍しい。

それと、何故何も喋らないで俺の事をジーッと見つめてくるのだろう?

俺も流石に、最初カーヤさんが来た時は普通に会話をしていたのだが、カーヤさんの反応がどんどん減っていって話しかけられなくなってしまった…。

今はお互いに、見つめ合ったまま沈黙している。

…それにしても、カーヤさんと目が合うのはマズいな。

ドキドキが止まらないぞ…。

カーヤさんは催淫しているつもりはないのだろうが、俺の方はなかなか辛い。

何が辛いかと言うと、催淫に対抗するために左手で太ももを本気で抓っているのだ。

流石に痛覚半減スキルがあっても、これは痛い。

カーヤさんと目を合わさなければ少しだけ楽になるのだが、すでに数十分も見つめ合っている状態で視線を外すのも失礼かと思って、彼女から目を離せない。

すると、


「何故、貴方には催淫が効かないのでしょう?」


カーヤさんがいきなりそう聞いてきた。


「いや、効いていますよ。何とか我慢している感じです」


俺がカーヤさんの言葉にそう返すと、カーヤさんは不思議そうな顔をして俺の事を更に見つめてくる…。

見つめられ過ぎて、穴が開きそうだ。

俺がそんな事を考えていると、突然服に手を掛ける!?

それだけは阻止しないといけない!

俺はすぐにそう思い、


「ちょ、ちょっとカーヤさん!服を着崩すのは駄目ですってば!」


カーヤさんを止めようと声を掛ける。

すると、俺の言葉を聞いたカーヤさんが動きを止めて、


「…本当に催淫されているのですか?他の人達なら、もうすでに服を脱ぎだしたり周りの異性に襲い掛かるくらいは催淫されているはずなんですけど」


俺にそう言ってくる。

…気持ちは凄く分かるのだが、俺はこれでも皆の事を愛しているから、そんな事はしない様に抑制しているのだ。

と言うよりも、何でカーヤさんはここまで俺が催淫の効果が薄い事を気にしているのだろう?

俺がそう思っていると、


「キャ~~ッ!露出狂ォォッ!!!」


突然外から悲鳴が聞こえてきた…。


「まさか!?」


俺は嫌な状況を想像して慌てて部屋の窓から外を見ると、そこには少し露出度が高い服をしている女性とそんな女性にジリジリと近寄っている全裸の男性の後ろ姿が見えた!

カーヤさんの催淫が外まで影響している!?

俺が最悪な事態に驚いている内に、全裸の男性が女性のすぐ近くまで来ている!


「カーヤさん!服を着て下さい!外で色々とマズい事が!?」


俺はカーヤさんにそう言って近寄り、着崩している服を少し強制的に直す!

カーヤさんも服を直そうとしていたのだが、外の状況を知らないからなのか動きが少し遅かったから、俺が手を貸してしまった。

すると、


「こちらの世界の人は催淫に掛かりやすい様ですね。私達の世界なら、すぐにでも宿屋に行くと思いますけど」


カーヤさんが平然とそんな事を言っている…。


「と、とりあえずカーヤさん。俺の事を催淫するのは良いですけど、全く知らない赤の他人を催淫するのは止めて下さい」


俺がそうお願いすると、


「では、屋敷へ戻りましょう。私の催淫は度合いにもよりますが、服を着崩した程度なら屋敷の敷地内で収まりますね」


カーヤさんがそう提案してくる。

俺はカーヤさんの提案を受け入れて、


「すぐ行きましょう!」


部屋の真ん中に佇んでいる扉を開けてカーヤさんと一緒に中に入る。

扉を通ると、いつもの屋敷の一室。

だが不思議だ、カーヤさんと一緒にいるだけで何か違う部屋に感じてしまう。

恐るべき淫魔の催淫効果…。

俺はカーヤさんの催淫効果に驚きつつ、


「俺の部屋行きましょうか?それとも食堂とかにします?」


カーヤさんにそう声を掛けると、彼女は少し俺から身を引いて、


「部屋に連れ込むつもりですね」


俺の事をジッと見つめながらそう言ってくる。

流石に俺の部屋には行くのは身の危険を感じるのかな?

俺はそう思い、


「じゃあ食堂に行きましょうか。今日は確か、ルリィ達も用事が無くて屋敷にいるって聞きましたし」


カーヤさんにそう言う。

すると、俺の事を見つめていたカーヤさんの目がジトォーッとした、不満そうな気持ちが溢れている目に変わる…。

しょ、食堂は嫌なのかな?

俺がそう思っていると、


「……私の部屋に行きましょう」


カーヤさんがそう提案をしてきて、部屋の扉を開けて廊下に出る。

…俺の部屋が嫌だったのかな?

俺はそう思ってカーヤさんの後に付いていく。

そうしてカーヤさんの部屋に着くと、


「少し待っていて下さい。部屋を片付けますので。……別に凄く散らかっている訳では無いですよ?」


俺にそう言って部屋の中に入っていく。

別にカーヤさんの部屋が散らかっているとは思っていなかったのだが、何故か言い訳みたいな事を言われてしまった。

元々カーヤさんは家事は出来る方なので、部屋の片付けもしてある方だとは思っている。

今片付けしているのは、俺に見られたくない物が見える場所に置かれているのか確認して、あった場合は隠しているのだろう。

俺だって着替えの下着とかは皆の目には入らない様に隠している。

他にも色々とあるのだが…。

つまり、カーヤさんもそういう事だろう。

我が家でそういうのを気にしないのは、アルと秋沙だろう。

あの2人は恥ずかしがる事の方が少ない。

あと、ヨハナさんはたまに薄着の時があって見えてしまう事がある。

慌てて視線を逸らすのだが、もしヨハナさんに一瞬でも見ていたと知られてしまったら怒られる。

俺がそんなことを考えていると、


「お待たせしました。どうぞ」


カーヤさんが扉を開けて、中に促してくれる。


「お邪魔します」


俺がそう言ってカーヤさんの部屋に入ると、そこには質素な光景が広がっている…。

家具は机と椅子とベッド、それと服を入れるための棚だけ。

机の上には何も置かれていなく、ベッドの上にも布団が敷かれているだけ。

他の皆の部屋に比べると、女性らしさと言うか可愛らしい物とかそういう物がない。


「な、何もないですね。私物とか置かないんですか?」


俺がそう聞くと、カーヤさんは頷いて、


「はい。あまり物を増やさないのです。家を追い出されてしまう時に、不便ですから」


そう言った…。


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