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初代勇者を腕に  作者: 雪羅
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番外編 ヨハナ編 気持ち

俺は今、ヨハナさんと部屋で2人っきりの状態だ。


「「………………」」


互いに何も話さない状態が、すでに5分くらい経過している…。

いや、話題なら色々とあるのだが、何故か今日はそういう普通?の会話はしてはいけない雰囲気なのだ。

俺の思い過ごしの可能性もあるが、ヨハナさんの雰囲気がいつもとは違う。

何だろう?

俺がそう思ってヨハナさんの事を見ていると、ヨハナさんの目がキョロキョロと泳いでいる。

まるで、焦っている様な慌てている様な感じがしてくる。

それに顔も少し赤くなっているし、汗も掻いている様に見える。

手は強く握られており、痛そうだ。

すると、


「あの、シュウ?」


ヨハナさんが俺に声を掛けてきた。


「はい、どうしたんですかヨハナさん?いつもの元気さが無い様に見えるんですけど」


俺が遠回しにいつもと様子が違う事を指摘すると、


「その、この間のルネリアの事なんだけど…」


ヨハナさんが言い難そうにそう言ってきた。

この間のルネリアの事……あっ。


「お風呂の時の事ですか?」


俺が前の事を思い出してそう言うと、俺の言葉を聞いたヨハナさんが顔を更に赤くして、


「あ、あの時は気が動転してたから言えなかったけど!ルネリアと一緒にお風呂に入るのは禁止よッッ!!」


そう言ってきた。


「そ、それは俺も入らないようにはしてますよ。でも、たまに凄く甘えてきている目で見つめられると、正直断れなくて…」


俺がそう言うと、


「そ、その…。どれくらい一緒に入ってるの?」


ヨハナさんが俺にそう聞いてきた。

これは、少し変な感じだがお説教をされているのだろうか?

俺はそう考えつつ、


「数回くらいですよ。誘われる事は結構多いんですけど、なんとか説得しています」


ヨハナさんの質問にしっかりと答える。

すると、俺の答えを聞いたヨハナさんがジッと俺のことを見てくる…。

嘘を吐いていると思われているのだろうか?

俺がそう思っていると、ヨハナさんが俺からいきなり視線を外す。

そのヨハナさんの顔を見ると、少し怒っている様な表情だった。


「だ、大丈夫ですよ!ルネリアとお風呂に入るときはちゃんと目隠しをしたり、他の皆の誰かと一緒に入っていますから!」


俺がそう言うと、ヨハナさんの顔が更に不機嫌な表情に変化する。

な、何に機嫌が悪くなっているのか分からない…。

どうすればいいんだ?

俺がそう思って慌てていると、ヨハナさんが俺の方に向き直って、


「シュウ、最近ルネリアと凄く仲が良いわよね?」


俺にそう聞いてきた。

唐突にどうしたのだろうか?

俺はそう思いつつ、


「最近、少しだけですけど魔法の練習に付き合っていますからね。それに元々ルネリアは人懐っこい所がありますし」


そう答えると、


「アウレーテとも、お茶を一緒に飲んでるわ」


ヨハナさんが更にそう言ってくる。

なんか、ヨハナさんの雰囲気がおかしく感じる。


「アウレーテさん、最近お茶の研究を始めたって聞いたんで、どんな感じか質問したら飲んでみて欲しいってお願いされちゃって」


俺がヨハナさんの質問にそう答える。

何だろう、浮気を問い詰められている様な気がする。

でも、ヨハナさんは嫉妬をして俺に怒ってくる様な事はしない気がする。

俺がヨハナさんの事を見ながらそう考えていると、


「カーヤさんの事、凄く異性として意識してる様に感じるわ。彼女が薄着だと、ジッと見つめた後、慌てて顔を背けてる…」


ヨハナさんが更に尋問の様な言葉を続けてくる。

ヨハナさんがこんな事を言ってくるのは珍しい。

いつもなら、ルネリアの事を気に掛けてはいるがアウレーテさんやカーヤさんの事まではここまで聞いてこない。

俺がそう思っていると、


「何で、私とはあまり一緒にいてくれないの?」


ヨハナさんが少し寂しそうな表情で俺にそう言ってきた。


「…え?」


いつものヨハナさんだったら言わないであろう言葉に、一瞬何を言われたのか理解できなかった。

だが、すぐに俺はヨハナさんに言われた事を認識して、


「そ、そうですね…。すみません。…たまにはどこか出掛けたりしますか?」


そう聞いてみる。

すると、


「…うん」


ヨハナさんが静かにそう返事をしてくれた。

さて、ヨハナさんとお出かけが決まったのだが、一体どこかに行こうか?

改めて考えると、俺ってヨハナさんの事そんなに知らないな。

魔導剣が好きなのは知っているが、それ以上の事はほとんど知らない。

いや、優しいなどの性格面は分かっているのだが、好みと言うか趣味などが分からない。

俺はそう思い、


「こう思うと俺、ヨハナさんの好きな物とか知らないんですよね。それも含めて、どこか落ち着いた所に出かけません?」


ヨハナさんにそう聞くと、


「じゃあ、シュウのこの部屋にいたい…わ」


ヨハナさんがそう言ってくる。

確かにここは落ち着いた空間だと思うが、ヨハナさんが気にいる物とかは何一つ置いていない。

俺はそう思い、ヨハナさんの興味を引く物はない事を伝えようとすると、


「家が一番落ち着くと、私は思うわ。本当なら貴方の世界の自室に行きたいと思ったんだけど、あそこは人通りが激しいから落ち着けないと思うし…」


ヨハナさんがそう言ってくる。

確かに、俺の元の世界での自室は異世界へと通じる扉があるせいで人の出入りが多い。

落ち着けるかと聞かれたら、首を振るだろう。


「でも、この部屋ならシュウに用事がある人しか来ないでしょ?」


俺が扉をもう少し移動できないかと考えていたら、ヨハナさんがそう聞いてくる。


「そうですね。確かにあっちの俺の部屋に比べたら、こっちの部屋の方が良いと思います。でも、本当にこの部屋で良いんですか?正直、この部屋にヨハナさんの興味を引く物は無いですよ」


俺がそう伝えると、ヨハナさんは少し顔を赤らめて俺の事を指差し、


「シュウの事、色々教えなさいよ。それと、シュウにも私の事教えてあげるから」


そう言ってきた。

ヨハナさんのそんな表情と言葉に、一瞬呆然としてしまう。

いつもルネリアの事を過保護に護って、俺とルネリアが近すぎると離れなさいと怒ってきていたヨハナさんからは、考えられない様子だった。


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