番外編 エルミール編 メイド
俺は屋敷の自室で勉強をしていると、扉がノックされる。
「どうぞ~」
俺がそう言ってノートから視線を上げると、
「失礼します。お忙しいところすみません」
ちょうど扉を開けて部屋に入ってきたエルミールがそう言う。
彼女の手には最近彼女がハマっている湯呑みがお盆の上に乗っている。
「大丈夫だよ。今はそんなに難しい所じゃないし、怜華さんに教わったから理解も出来てるからね」
俺がそう言うと、彼女は少し安心した表情をする。
実際はそこまで表情に変化は無いのだが、身に纏っている空気が変わるのは感じ取る事が出来る。
こう思うと、エルミールの感情の変化を感じ取る事が出来る様になったのは良かったと思う。
彼女は表情を変化させないのと同時に、大きな感情を隠そうとする気があったからな。
俺がそう思って一人で頷いていると、
「?どうしましたか?」
エルミールが俺の事を見て、首を傾げてそう聞いてくる。
「ううん。何でもないよ」
俺がそう言うと、エルミールは少し納得していない様子で頷いた。
「それで、どうしたの?」
俺がそう聞くと、
「そうでした。実はシュウさんに聞きたい事がございまして。少しお時間をいただければ幸いです」
エルミールが何故か凄く堅苦しい口調でそう言ってくる。
…エルミールがこうやって話す時は、大体仕事関連の事が多いな。
ティアもそういう感じだし、意外と似てる所があるなぁ。
俺はそう思いつつ、
「俺で良ければいつでもいいですよ。エルミールなら時間もそんなに掛からないと思うし」
そう答えると、俺の言葉を聞いたエルミールの表情がやや暗くなる。
そして、
「すみません。少し時間を掛けないといけないモノでして…」
エルミールがそう言ってくる。
エルミールがそう言うという事は、とても大事な仕事で気を抜いてはいけないという事だろう。
俺はそう思い一度深呼吸をしてから、
「大丈夫だよ。それで、どんな仕事なの?」
そう質問する。
すると、エルミールが何やら紙をメイド服の中から数枚取り出して、俺に差し出してくる。
まだエルミールの服の暖かさが失われていない紙を受け取ると、俺はその紙に目を通す。
そしてそこに書かれていたのは、目も鼻も口も無い人の形をしたモノがメイド服を着ている姿が描かれている…。
もしかしてこれ…、
俺は少し確信をしつつも、
「これって、メイド服の外見の新しい物?」
エルミールにそう質問すると、エルミールは少し表情を柔らかくして、
「その通りです」
そう答えた。
なるほど。
これがメイド服なのはわかったのだが、今のサンレアン王国の城で働いているメイドさん達のメイド服に比べると、やや露出が多い気がする。
今見ているのは腕を覆う布が無い感じで、腕を大胆に露出しているメイド服だ。
…夏とかには良いかもしれない。
暑い日に城に行くと、メイドさん達が辛そうにしている姿を何回か見たからなぁ。
エルミールも、コレットさんやティアの付き添いで城に戻っていた時が暑いと、暑いと愚痴を漏らしていたし…。
俺は1枚目の紙を見ながらそう考え、2枚目を見る。
そこには、もうこれ下着見えてるんじゃ…。
と思わせる様な丈が短いスカート部分が主張されているメイド服が書かれていた…。
「なんですかこれ?」
俺がそう聞くと、
「新しいメイド服の案を持って来たんですが、シュウさんはどれがお好みですか?」
エルミールがそんな事を言ってくる。
「い、いやいや、これどれも露出度が高くないですか?これなんて下着見えてしまうんじゃ…」
俺がそう言って渡された紙の1枚を、エルミールに見えるように前に出す。
すると、
「今のこのメイド服は現国王、ヴァレッド様の手配して下さったメイド服です。ですが、それをシュウさんが王になった時に変えた方が良いと思います。そのために大量生産してもらうので、今から準備をしているのですが…。シュウさんの好みを元に出した案だったんですが?」
エルミールがそう言ってくる。
ここまで露出する服を着せたがる人だと思われている事に、俺は少しショックを受けながら、
「わ、わざわざメイド服を変える必要は無いんじゃない?俺もそこまでメイド服にこだわりがある訳じゃないし」
そうエルミールに伝える。
すると、エルミールが少し不満そうな顔をする。
何でそんなに不満そうなんだ?
俺がそう思っていると、
「シュウさん、貴方はこれからサンレアン王国を導く王となるのです。その様な方が自身の城のメイドの服装に何もないなんて、どうかしていますよ?」
エルミールがそんなとんでもない事を言ってくる…。
ほ、本当にどうしたのだろう?
いつものエルミールだったら、こんな事を言わないはずだ…。
俺がそう思ってエルミールを見ると、彼女の顔がやや赤くなっている事に気づく。
…どうすれば良いのだろうか?
本当なら肌を露出したくないエルミールが、今後こんな露出が激しいメイド服なんて着れるのだろうか?
言いたい気持ちはあるが、彼女は自身の体にコンプレックスを抱いている。
サラッと聞ける事では無い。
俺がそう思っていると、俺はある事を思い出す…。
そうだ、第一あの真面目なエルミールがこんな事を言う事自体がおかしい。
俺はそう思うと、もう考えている事が真実の様な気がしてくる。
いたよな、やたらエルミールに扇情的な下着を着させようとしたり、エルミール限定じゃなくエロイ下着を進める男が…。
俺は彼の顔を思い出して、
「まさかエルミール…。そのメイド服の案、ロミーさんとレミーさんに相談した?」
そう質問をすると、エルミールは驚いた表情をして、
「よく分かりましたね。その通り、ロミーさんとレミーさんに相談をしました」
そう答えてくれる。
よし、ロミーさんのアレを潰しに行くか…。
俺がそう思って立ち上がろうとすると、
「ですが、それはただの相談にすぎません。こんな服を作る事が出来るかという位の相談です」
エルミールが俺にそう言ってくる。
…どうやら、俺の早とちりだった様だ。
今日の所は見逃そう。
俺がそう思って座り直すと、
「…シュウさんが気に掛けて下さっているのは分かりますよ。ですが、安心して下さい。今、私はこの体を疎ましく思っていません。むしろシュウさんに褒めて貰い、愛して下さったこの体を今は誇りに思っています」
エルミールがそんな事を言ってきた。
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