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初代勇者を腕に  作者: 雪羅
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番外編 コレット編 姉妹

俺がコレットの言葉に苦笑していると、


「だってシュウってば、私に会った時に私の事は知らないし、しかも面倒そうな顔してたわッ!」


コレットが少し不機嫌にそう言ってくる。

俺はその言葉を聞いて、


「面倒って言うより、あの時は色々と事情があってサンレアン王国に行くのを躊躇ってたんだよ!」


慌てて誤解を解こうとする。

更に俺は続けて、


「それにあの時のコレット、凄い焦ってたから俺に高圧的だったよ?」


そう言う。

すると、


「そ、それは本当に焦ってたし、まだシュウの事知らなかったからぶっきらぼうな態度だったのは認めるわ」


コレットがプイッと顔を逸らしてそう言ってくる。

怒った訳では無く、単純にその事は話したくないという事だろう。

俺がそう思っていると、部屋に置かれている扉が開く。

流石に突然の事に驚くが、いつもの光景だからすぐに気にしなくなる。

それよりも、誰が来たのだろう?

俺がそう思っていると、


「あ、ここにいたのコレット?」


コレットの姉のティアが、俺の前でコンビニのデザートを完食しているコレットを見つけて声を掛ける。


「うん。どうしたの姉様?」


コレットがティアの言葉にそう返して聞くと、


「珍しくコレットの姿が見えなかったから少し探してたのよ。シュウさんと一緒にいたのね」


ティアがそう言って微笑む。

だが、それもテーブルに置かれている空になった容器を見つけるまでだ…。

テーブルの上に置かれているデザートの空容器を見つけると、ティアの微笑みが引き攣るのが分かる。

それに気づいたコレットも、


「あ…」


これから何が起きるのか理解して、小さな声を出す。

その瞬間、


「コレット!甘い物は1日一回と言ってるでしょッ!!それに片付けをしっかりとしなさいッ!!」


ティアがやや怒った様子でコレットにそう言う。

声こそ大きいが、別に本気で怒っている訳では無い。

コレットがたまに隠れて甘い物を食べている時とか、何か行儀の悪い事をした時にティアは声を大きくする。

何でも、ヴァレッド様はティアを含めて娘に甘い所為でコレットも甘えてしまい、ティシール様は元々冒険者をしていた所為か、普段の食事の時は豪快らしい。

その結果ティアは自分がしっかりとしないと!

と考えて、メイドさん達や執事さん達に色々と教わったらしい。

その反対にコレットはこのままでも‥となり、ティアによく怒られている。

コレットの言い分は、


「キチンとやる時にやっているから良いでしょ!」


に対しティアの反論は、


「普段からしていないと、いつか失敗してしまうの!」


という、それぞれの性格が表れている言葉だ。

俺がそう思いつつ、ティアとコレットの姉妹の争いを眺める。

微笑ましいな…。

秋沙と春乃だったら、こういう微笑ましい言い合いにはならない…。

俺がそう思っていると、


「シュウさんも言って下さい!」

「シュウも姉様に言って!」


2人が俺の方に振り向いてそう言ってくる。

と、途中から話を聞いていない…。

俺は心の中で慌てながら、


「ま、まぁまぁ2人共。落ち着いて落ち着いて」


興奮している2人に声を掛ける。

俺がそう声を掛けると、2人はフーッフーッと威嚇し合う様に互いを見つめる…。

こう思うと、ティアがここまで声をがしたリ感情を表に出すのってコレットにだけだな。

普段は大人しいというか、王女の風格を身に纏っていて落ち着いている感じだ。

逆にコレットも、ティアに対してだけは我儘を言っている様に感じる。

言い争いはするけど、やはり2人は互いに一番を信頼をしているのだろう。

喧嘩するほど仲が良いみたいな?

俺がそう思っている内に、2人は大きな声を出し続けてしまった所為で息が荒くなっている。

それから少し互いに言い合うものの、疲れてしまったのか声は小さくなっていって遂に何も言わなくなってしまった。

疲れた様子で俺のベッドに倒れる二人を見て、


「2人は昔からそんな感じだったの?」


俺がそう質問する。

すると、


「そ、そうで…」

「違うわよ」


ティアが声を出すのと同時にコレットがティアの言葉を遮る様に答えた。


「ちょ、ちょっとコレット!?」


珍しく慌てているティアを見ていると、


「大丈夫よ姉様。シュウの事だからそうだったんだ~くらいにしか思わないわ」


コレットがティアにそう言う。

どういう意味だろう?

俺がそう思っていると、


「簡単に言うと、姉様も昔は私みたいに勝手にやってた時があったのよ」


コレットが俺にそう教えてくれる。

その言葉と同時に、ティアが悶絶し始める…。


「姉様も人の目が届かない所でやんちゃしてたの。今の姿を見てたら誰もそう思わなかったと思うけどね」


コレットの言葉を聞いて俺は、そうなんだ~、ティアにもそんな時があったんだ~とコレットが予想していた様な感想を心の中で思う。

すると、


「ち、違うんですよシュウさん!やんちゃと言っても、子供の悪戯程度ですからね!」


ティアは恥ずかしそうに顔を真っ赤に染めて、俺の前に来てそう言ってくる。

そう言えば、ティアやコレットの子供の頃の話とか聞いた事なかったな。

俺はそう思い、あわあわしているティアの後ろでニマニマ笑っているコレットに、


「もっと2人の子供の頃の話、聞きたいな」


そう言う。

その後、コレットとティアによる互いの恥ずかしい暴露大会が開催された。

ティアがコレットの話をすると、コレットがその事にこうだったと反論して、コレットがティアの話をすると、ティアがそうでは無かったと反論する。

そうした互いの記憶に眠っている過去を話して、矛盾に指摘していると時間はあっという間に過ぎてしまった。

その結果、ティアの昔の恥ずかしい話を知る事は出来たし、コレットの意外な真面目な所も知る事が出来た。

良い思い出になったなと、俺がそう思っていると、


「シュウの事も色々聞かないとね?」

「そうです!私達ばっかり恥ずかしい思い出を打ち明けては不公平です!」


2人が俺にそう言ってくる…。

抵抗するのは2人に悪いという事で、俺はそれを受け入れて話し始めた。

俺の様々な情報を…。

そこへ怜華さんや秋沙達が合流して、俺だけの暴露大会と情報共有が始まったのは凄く恥ずかしかった。

…怜華さんが母さんから情報を仕入れていたのは知らなかった…。

おかげで本当の意味で全てを知られてしまったよ、俺の恥ずかしい話…。


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