魔法陣
難しい…
先輩と別れた後、自分のクラスに入り席に着くと獅子原が俺のほうに来る。
周りのクラスメイトも獅子原の動きが気になるようだ。チラ見程度に見てくる。
「何で君みたいなクズと怜華さんがあんなに仲良いのかな?知ってるよね、俺と怜華さんが恋人同士なのは。なら、2人の仲を邪魔するようなことは普通ならしないよね?だから君は成績も最低で一般常識もないクズなんだよ」
「獅子原君と東桜寺先輩の仲を邪魔するつもりはないよ。今後は気をつけるよ」
「そうしてもらえるかな。俺は出来れば君みたいなクズと話したくもないんだよ」
そう言って獅子原は自分の席に戻っていく。
クラスの人たちも笑っている人もいれば、まるで興味ない感じの人もいる。
確かに俺は獅子原達に比べればテストの点も赤点ギリギリだよ…。
だから、学校の平均点を下げているのも理解しているし、そこについては本当に悪いと思っている。
そこまで言わないで欲しいけど…。
珍しくクラスで話した気がする。面倒だったけど。
ってそんな事考えている暇ないんだ!予習しないと!
……………………ナニコレワケワカンナイ。
放課後
今日もいつも通りだったな~。授業に追いつくので精一杯だった。
クラスメイトは授業についていっているらしく余裕そうだ。
帰って復習しないとなと思いながら帰り支度をしていると、
「獅子原君、なんか足元光ってるよ?」
「え?なんだこれ?」
と獅子原とあれは、確か金堂さんがなにやら騒いでいる。
そうこうしているうちに、周りの人たちも異変に気付き始めた。
「おい、俺たちも足元になんか出てきてるぞ!」「やばくないかこれ!?」「これどこの文字だろ?翻訳できないし…」
クラスの皆の足元の光っているのはゲームで見たことある魔法陣みたいだ。
これってRPGとかで有名な異世界転移してお主が勇者だ!的なやつでしょ!
確かにこの学園の生徒なら異世界で勇者とかあり得る。
皆頑張ってね~、平凡な俺の足元には何もない。
当たり前だ、俺には勇者なんて到底無理だ。
心配があるとすれば、俺以外のクラスメイト全員が異世界に呼ばれているとなると先輩や姉さん、春乃もこうなっている可能性がある。
3人が異世界でも無事でいられたらいいけど…。
心配だけど、俺にはどうしようもない…、自分の無力さが情けない。
「おい、光が強くなってるぞ!」
ついに、転移が始まるんだろう…。
皆を見ていると、
「んん!?」
皆の魔法陣が溶け合ってクラスの床一面に大きな1つの魔法陣になり皆の足元で強く光っている。
…俺の足元でも……。
止めて!俺なんかが異世界に行ったらすぐ死んじゃうから!あぁ~、凄い光ってる!
そして目の前が真っ白になった後、頭に辞書で殴られたような鈍いが激しい痛みを感じて俺は意識を手放した。
戦闘とかはまだないです