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初代勇者を腕に  作者: 雪羅
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別れ

レデリックさんとの模擬戦をした翌日、俺は城門にいた。


「もう少しいれば良いのに…」

「コレット様、我儘はダメですよ」

「妹がお世話になりました」


俺は依頼が終わり冒険者ギルドに報告しなければいけないのでヴェルーズに帰るのだ。

ティアとコレットさんにエルミールさんが見送りに来てくれた。


「いえ、俺の方こそお世話になりました」

「今度また来ても良いからね」


コレットさんも少しは俺に柔らかくなったかな。

最初会った時が凄かったからな。


「私は特に言う事はありませんね」

「それはそれで酷いですよね!?」


エルミールさんの毒舌?にも慣れてきた。

この人もある程度信頼してる人にしかこうやって話さない。


「気をつけてくださいね」


ティアは相変わらず優しい。

もっともっと強くなってこの国を守れるようにしようと思えてくる。


「では、失礼します」


俺はそう言って城から出る。

後ろから気をつけてね~と言われ、後ろを振り返り手を振る。

コレットさんがブンブン手を振り、ティアは胸の前で小さく手を振っている。

エルミールさんは直立不動だ…。


『シュウ、寂しい?」

『大丈夫だよ。俺にはリーシャがいる』

『そうよね。…ふふ』


それから城下町を歩きサンレアン王国を出て、少しした所の茂みに入りリーシャが魔法を使う。


『転移』


一瞬で周りの景色が変わり、ここはヴェルーズの近くの森に転移したようだ。

リーシャも人に戻っており、2人並んでヴェルーズを目指す。

途中、魔物に出くわした時はリーシャには見守ってもらい俺だけで殺すことにした。


「そう言えばシュウ、今ステータスどのくらいなの?」


リーシャに言われ、そう言えば見てないなと思いステータスカードを取り出して見てみる。


<ステータス>

名前:シュウ・ハヤマ

Lv:23

職業:勇者に愛されし者

年齢:17

MP:460

スキル:火魔法Ⅱ


「おぉ!レベル上がってるよリーシャ!」

「シュウも頑張って魔物倒してたからね」


少しでも強くなっているとわかると、嬉しくなってしまう。

ってあれ?職業が冒険者じゃないな?


「ねえリーシャ、この職業なんだけど…」

「何?見せて?」


リーシャに聞くと、リーシャは俺の持っているステータスカードを見る。


「勇者に愛されし者…ね」


リーシャは俺のステータスカードを見て呟く。

何か考えているのか難しい顔をしている。


「もしかして…これ…じゃない?」


何やらぶつぶつとリーシャが独り言を言っている。


「どうしたのリーシャ?何かマズい?」

「え、えぇ…大丈夫よ、何も問題ないわ」


そう言ってリーシャは歩き出す。

俺も追いつくように小走りでリーシャの隣に行き歩く。


「もし……なら…以外の…ということ?」


所々聞き取れないな…。

そうしているうちに、森を抜ける事が出来た。

森を抜け草原を歩き、遂にヴェルーズに帰ってきた。

町の門の所でまた身分証明をしてから町に入り、冒険者ギルドを目指す。

町は俺達が依頼を受けて出て行ってからも何もなかったようで、町の人々に変わりはなさそうだ。

そして、冒険者ギルドに着いた。

扉を開けて中に入る。

今日はあの3人組はいないようだ。


「すみません、依頼の件でギルド長に話したい事があるんですが」

「はい、大丈夫ですよ!どうぞ!」


いつもの受付嬢ではなく、今日の人は元気というかハキハキしている人だ。

奥へ通され扉をノックすると、


「はぁ~…い」


と気の抜けた、というよりため息のまま返事をした様な声が聞こえる。

扉を開けると何やら重苦しい様子のフェリアンさんが座っている。


「どうしたんですか?」

「はぁ~…いえ、少し面倒なことになってしまって…」

「フェリアンがそこまで悩む事なの?」


リーシャもフェリアンさんの様子が気になってフェリアンさんに聞いている。


「リリアーナさんは知っているはずです。ディデリクというエルフを」

「えぇ、確かエルフの森の中にあるエルフの村の長をしていた男でしょ?」

「はい、彼が…死にました」

「ッ!…エルフはほとんど寿命がないはずよね?…つまり、殺されたの?」

「はい…死体は持ち去られたということです」


リーシャも驚いている顔をしている。

俺にはよく分からないが。


「でも、エルフは最も強い者を長にするはず…。相手は相当な実力者ということ?」

「えぇ、間違いなくそうでしょう」

「それで、何であなたがそんなに落ち込んでるのよ。あなたはエルフの考え方が嫌いで村を出た身でしょ?」

「そうなんですが、村の者が手紙を持って来たんですよ」

「それにはなんて?」

「長いので要約すると、長になれって言われました」

「なるほど。だから、落ち込んでいるのね」

「はい」


俺にもわかるように話して欲しいな…。

わかるのは、フェリアンさんがエルフの村の村長になれって言われたという事だけだ。


「あぁ、すみません。私的な話をしてしまいました。んん!それで王女様の護衛の依頼は大丈夫でしたか?」


フェリアンさんは話を切り替えて、俺の方を向いて聞いてくる。


「はい。依頼は完了しました」

「それは良かったです。依頼中に何かありましたか?」

「奴隷商人が村を襲っていました。後、王女様の事を狙っている様子でした」

「ふむ、サンレアン王国は奴隷制度は禁止しているので、極刑ですね、問題は何故王女様の事を狙っていたかです。が、おおよその予想出来るんですけどね」


そう言ってフェリアンさんは頭を掻いている。


「どういうことですか?」

「まず、奴隷制度があるのはヴァランス帝国だけなんですよ」


あっ…。


「そういう事です。王女様はヴァランス帝国に嫁ぎに行った。が、サンレアン王国が勇者召喚をしてその話は無くなった。ヴァランス帝国の王ならこう考えたでしょう。サンレアン王国の王女がヴァランス帝国を出たのは様々な人々が見たのだ、王女が道中に何かあってもヴァランス帝国は疑われない。ならば…と」


聞けば聞くほどヴァランス帝国に良いイメージが無いな。


「これは推測ですが、さっきのディデリクの話もヴァランス帝国が絡んでいると思いますね」


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