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初代勇者を腕に  作者: 雪羅
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模擬戦

評価してくださった方ありがとうございます!

あれから訓練場にいた騎士の人や勇者を退避させて俺とレデリックさんが訓練場にいる。


「準備は良いかい?」

「出来ればしたくないんですけど…」


レデリックさんの事を少し知っているが故に、本気を出しづらい…。


『シュウ、模擬戦でも本気で戦わなきゃ相手に失礼よ』


リーシャに言われ、気づく。

そうだよな…。

それはレデリックさんに失礼だ。

それに、レデリックさんと戦う事で戦闘の勉強になる。

そう考えていると、訓練場にエルミールさんが入ってきた。


「ではこれより、サンレアン王国東騎士団団長レデリック・ジルベールと冒険者のシュウの模擬戦を始めます」


エルミールさんが審判なようだ。


「どちらかが死…いえ、倒れたら終了とします」


今、エルミールさんが不穏な事を言った気がする…。

エルミールさんは模擬戦の注意事項を言って訓練場から出て行ってしまった。

エルミールさんが行ってしまった方を見ると、ティアにコレットさん、セレステルさん、先輩達や学園の生徒、騎士の人達も俺とレデリックさんの模擬戦を見ている。

こんなに見られるのか…やりにくいな。


『シュウ、始まったら私が魔法を使うから手を上にして欲しいわ』

『わかった』


リーシャもやる気満々なんだが、レデリックさん大丈夫かな…。


「始め!!」


エルミールさんの声が聞こえた。

レデリックさんがハルバードを出して走ってくる。

俺もリーシャに言われた通り右手を上げる。


『炎珠』


リーシャが魔法を使った瞬間、熱が肌に当たる。

熱い…何が起きてるんだ?

そう思い腕の先を見ると、前に使っていた火弾よりも何倍もある炎の塊があった。


『なにこれ?』

『高位魔法、炎珠よ。シュウ、それ投げて』


リーシャに言われた通り、俺はレデリックさんに投げようと見ると、レデリックさんは驚いているようで足が止まっている。

だが、戦闘中というのを思い出したのか、ハルバードを構え直す。

俺はレデリックさんに向けて、炎の塊を投げる。

塊はゆっくりとレデリックさんに向かっていき、全てを燃やし尽くそうとする。


『これ死んだりしないよね?』

『ギリギリ大丈夫よ』


ギリギリって…。

だが、そんな事を思っている余裕はなくなった。


「破ァァッ!!!」


レデリックさんはリーシャの魔法を自身の爆裂魔法で、相殺した。

そのまま走ってくる。

俺も直剣を出し、応戦する。


ガキィン!


金属が激しくぶつかる音がし、とてつもない力が俺を押す!


「ぐ」

「今の魔法は凄まじいな。だが、剣技はまだまだのようだ!」


激しい攻撃が俺を襲う!


『シュウ、一旦離れて!』


リーシャに言われるが俺はレデリックさんの攻撃を防ぐのが精一杯だ。


「甘い!」


剣を弾かれ、俺は手を広げた状態になってしまった!


「破ッ!」


レデリックさんが俺の腹に手を当て魔法を使ってくる。

腹に思いっきり殴られたような激しい衝撃が走る!


「がはっ!」


『シュウ!』


激痛が体を蝕み、地面に片膝をつく。


「なかなか根性があるな、今の魔法は弾け飛ぶ手前まで強くしたのに」

「…はぁはぁ」


この人は俺を殺す気なのか?

そう思ってしまう程、激しい痛みが続いている。


『私のシュウに…』

『リーシャ…落ち着いて』


リーシャが低い声を出す。


『シュウ、立てる?』

『大丈夫だ』


そう言って俺は全身の痛みに耐えながら立つ。


「ほう、あの威力を食らって立てるか。君、凄いな」


レデリックさんは感心しているのか俺を褒めている。


『シュウ、魔法を使うわ』


リーシャがそう言う。

俺はレデリックに右手を出す。


「また、魔法か?吹き飛ばしてあげるさ」


レデリックさんがハルバードを構える。


『終わらせるわ。終炎しゅうえん


リーシャがそう言うと、右手から青い炎が出る。

それが、ゆっくりと放たれる。

とてもゆっくりとレデリックさんに近付く。

ゆっくり、とてもゆっくりと。


「初めて見る魔法だ。何だこれは」


レデリックさんは見た事ない魔法を使われて困惑している。

だが、ハルバードを構え魔法を打ち消そうとする。

ハルバードが炎に届く範囲に入った瞬間、


「破ァァッ!」


ハルバードを突き刺し魔法を使う。

炎が弾け消える。


「大した魔法ではな…いな?」


レデリックさんが余裕そうに言った瞬間、青い炎が復活している。

2つに増えているが…。

どういうことだ?


「何だこれは?破ッ!」


レデリックさんが2つの炎を消し飛ばすが次は、4つに増えている。


「なんなんだこれは…」


更に増えていく青い炎を消し飛ばしていくレデリックさんだが、炎は消されれば消される程数が増えていく。

数が数えられなくなる程の炎がレデリックさんに近づいていく。


『リーシャ、何この魔法?』

『対象を燃やし尽くすまで消えない炎。全てを無に帰す増える炎よ』

『それってレデリックさん死ぬんじゃ…』

『私は殺す気よ』

『ダメだよ!?あれを消す方法は?』

『降参すれば許して上げなくもないわ』


リーシャも怒っているようで、レデリックさんを殺す気だったとは…。


「降参してください。その炎は貴方が燃え死ぬか降参するまで消えませんよ!」


俺は今も炎を消そうとしているレデリックさんに叫ぶ。

そう言うと、レデリックさんは、


「参った!だから消してくれ!暑くて辛いんだ!」


と叫び返してきた。


『リーシャ?』

『仕方ないわね』


レデリックさんの降参を聞いてリーシャが炎を消してくれる。

すると、レデリックさんはその場に座り込んでしまった。

俺はレデリックの元に歩いていき、


「大丈夫ですか?」


そう声を掛ける。


「五分五分だと思っていたんだがなぁ…」


レデリックさんは悔しそうに言ってくる。


「俺はレデリックさんの勝ちだと思います」


俺がそう言うと、レデリックさんは


「何でだ?俺が降参したんじゃないか」


と、理解できなそうにしている。


「最初に攻撃を受けたのは俺じゃないですか。本当の戦闘なら俺は死んでましたよ」


俺はそう思う。

レデリックさんは手加減したと言っていた。

なら手加減してなかったら俺は木っ端微塵だったろう。

やはり、リーシャは強いが、その分俺が足手まといだ…。

しっかり戦えるようにしないといけないな。

俺がそんな事を考えていると、


「なら、引き分けだな!また君とはいつの日か決着を付けたいよ」


そう言ってレデリックさんは笑っている。

その後、エルミールさんに治療室に連れて行かれたり、レデリックさんがティアとコレットさんに怒られたりと騒がしかったが、楽しい1日を過ごせたと思っている。

リーシャがまだ、怒っているが…。


読んでくださってありがとうございます!

ブックマークありがとうございます!

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