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初代勇者を腕に  作者: 雪羅
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2人の姫と2人の団長

あれからすぐに、2人で寝ようということになったのだがベッドは1人分しかないので、2人で密着して眠った。

その結果、俺はベッドから落ちていた。

リーシャの寝相が悪いわけではない。

単純に狭かったのだろう。


「リーシャ、朝だよ起きて」

「んぅ~…。シュウ…抱きしめて」


仰向けの状態で寝ているリーシャを起こしたら、両手を広げてハグを要求してきた。

言われた通り抱きしめると、


「すぅ~。…ハァ」


匂いを嗅がれてしまった。


「リーシャ起きよ、ね?」

「は~い…」


リーシャはのそりのそりと起き上がる。

朝日でリーシャの銀髪がキラキラと輝いている。


コンコン


!?

扉から聞こえたノック音で目が覚めたのか、リーシャは慌てて俺に触れる。


「今開けます」


鍵を開けて扉を開くと、エルミールさんが立っていた。


「おはようございます。朝食の準備が出来ましたが、こちらに持って来ますか?それとも食堂に行きますか?」

「おはようございます。食堂に行きます」

「では、案内します」


『幻惑』

リーシャが魔法を使ってくれる。

部屋を出て、エルミールさんの後ろを付いていく。

案内されなくても大丈夫ですよ、なんて言ったらどうなるんだろうかと思いつつ、懐かしく感じる廊下を歩く。

食堂に着いた。

中に入り見てみるとそこにいたのは、ティアにコレットさん、レデリックさんとセレステルさんが座って話し合いをしていた。


『凄い組み合わせだな』

『コレットさんとお姉さんしか知らないわ』

『サンレアン王国騎士団の団長2人だよ』


俺は4人が座っている所から少し離れた所に座る。

すると、


「あれ?貴方!こっちに来て!」


コレットさんがまさかの俺を呼んでいる。


『大丈夫よ。コレットさんとエルミールさん以外にはシュウに見えないようにしてあるから』

『う、うん』


緊張しながら4人の所へ行く。


「コレット様、この方は?」

「私の護衛騎士候補」


それ、保留にしましたよね?


「そういえば、昨夜コレットが帰ってきた時にいましたね。ということは、護衛の依頼を受けてくれた冒険者の方ですね」

「はい、その通りです」


良かった、魔法が効いてるんだ。

俺を知っている3人が俺の事を見ても何ともない。

なんか寂しい気もするが、仕方ない。


「コレット様が護衛騎士を決めるなんて…相当強いんだな、君」

「そんな事ないですよ」


レデリックさんの目が光っている、どんだけ脳筋なんだこの人は…。


「ど…どんな戦い方…なんですか?」

「この人は、火魔法が得意みたい」

「ひ…火魔法…ですか」


セレステルさんは相変わらずビクビクしている。


「この方は炎珠を無詠唱で放ちますよ」


そんな事言いながらエルミールさんがやって来た。


「炎珠って火の高位魔法なはずでは?」

「俺は魔法は詳しくないからわからないですが」

「え…炎珠を無詠唱…私でも無理…です」


また誤解されてる…。


「そういえば、自己紹介がまだでしたね。私はティアリス・サンレアンといいます。コレットの姉です」

「俺はレデリック・ジルベールだ。よろしくな!」

「わ…私はセレステル・レオノール…です。よろしく…お願いします」

「俺は…」


マズい!名前どうしよう!


『とりあえず何でもいいんじゃない?』


リーシャがそう言ってるし大丈夫かな。


「俺は…」

「この方はシュウというらしいです」


エルミールさん!?貴女一度も俺の名前呼ばなかったですよね!

まさかの裏切りに内心混乱していると、


「シュウ!?」


ティアが大きな声を出し、立ち上がった。

コレットさんとエルミールさんがティアの行動に驚いた顔をしている。


「あっ…すみません」


ティアは自分の行動に気がついたのか、おとなしく座った。


「どうしたの?お姉様」

「これは…その」


コレットさんもティアの突然の行動が気になっているようだ。

ティアは少し涙目だ。


「コレット様、ティアリス様がおっしゃったシュウっていう人は勇者召喚の時に巻き込まれて召喚された人なんです」

「それでどうなったの?」

「騎士団団長の俺とセレス、他数名の騎士が護衛してカイエンヌ洞窟へ行き、戦闘訓練をしていたところに魔王と遭遇し、一方的に俺達が押されていたんですが彼のお陰で無事に生還出来ました」

「じゃあ、なんでお姉様がこんなに辛そうなの?」

「彼は魔王の足止めをし、魔王と共にカイエンヌ洞窟の最下層へ落ちてしまいました…」


説明しているレデリックさんも辛そうだ。

すみません、あんなこと頼んでしまって。


「なるほど。巻き込まれたって事はその人は勇者じゃないって事?」

「はい。平民でした…」

「……グス…」


セレステルさんは泣き出してしまった。

この場にいる罪悪感で苦しいんだが…。


「だから、勇者召喚なんかしない方が良かったのに」


コレットさん厳しいな。


「それで、お姉様はなんで泣いてるの?」

「約束したんです」

「約束?」

「無事に帰ってきてくるって約束したんです」


したね。確かにした。


「それでレデリック、カイエンヌ洞窟の攻略はできるの?」

「今すぐには出来ません」

「急ぎなさい、このままじゃお姉様が干からびるから」


コレットさん厳しすぎない?


「ただ、もしかしたら早いうちにできる可能性があります」

「何で?」

「その…一部の勇者様達が恐ろしい程、レベルを上げていまして」


誰だろ?


「ふ~ん。その勇者に会ってみたい」

「では、訓練場に行きましょう。絶対あそこにいますから」

「私も行きます」

「わ…わたしも」


そう言って4人が立つ。

俺は食後のお茶でも…。


「貴方も来るんです」

「えぇ!」


エルミールさんに立たされてしまい、歩かされる。

少し憂鬱だな…。


『私も勇者見たかったからちょうどいいじゃない!』


心の準備ができてないよ…。


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