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初代勇者を腕に  作者: 雪羅
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メイユ村

およそ1ヶ月間休まず更新できたのも読んでくださった皆さんのおかげです。

ありがとうございます!

これからも「初代勇者を腕に」をよろしくお願いします!

夜が明け、再び馬車に乗り込んで森を進む。

ただ、昨日と違い魔物が結構出てくる。


『シュウ!右!』

『おう!』


全部リーシャが殺してくれてるけどね…。

全部初級魔法の火弾で済ましている。


「貴方はそんなに高位魔法を使ってMP切れはしないんですか?」

「え、まぁ、そうだよ?」


隣にいるエルミールさんが俺に聞いてくる。


『大丈夫?リーシャ』

『全然余裕よ!』


周りから見れば俺って凄い魔法使いに見えてるんじゃないか?


「何故貴方はそこまで魔法を使えるのに冒険者になったのですか?」


エルミールさんがチラリと俺を見てくる。


「俺はそこまで凄くないですよ」


実際はリーシャが魔法を使ってるからね。


「そこまでの力を使って自分は凄くないと言われても嫌味にしか聞こえませんね」

「あ、いや…そういうわけでは」


たまにそんな会話をしているうちに森を抜けた。

森を抜け、先を見ると建物が少し見える。


「あれは?」

「メイユ村です。あの村を越えればサンレアン王国に着きます」


エルミールさんが説明してくれる。

森を抜けると魔物の姿は無く馬車に揺られるだけだった。

そして、メイユ村に着いた。


「コレット様、少し馬を休めますのでコレット様も休んでください」


エルミールさんが馬車を止めて、扉を開けて中にいるコレットさんに言う。


「わかった」


コレットさんが馬車から出てくる。


「少し歩いてくる」


コレットさんが歩いて行ってしまう。


「貴族様…こんな小さな村にどのようなご用ですか?」


馬の世話をしていたエルミールさんにこの村の人が話しかけている。


「私達はサンレアン王国に行くのですが、今は馬を休ませています。貴方達は気にしないでください」

「わかりました」


村人がそう言ってエルミールさんから離れていく。

そして気がついた。

エルミールさんから離れた村人がいやらしい顔をしているのを。

周囲を見ると、見える村人は男しかいない。

女の人がいない…。

絶対におかしい。

あの村人の笑い方は見覚えがある。

学園で俺に嫌がらせをしようとする時のクラスの奴らと同じだ。

もしかして!


「エルミールさん!俺も村を見てきます!」

「え、えぇ。わかりました」


エルミールさんにそう言って俺はコレットさんの歩いていった方へ歩く。

ここで急ぐのは駄目だ。

まだ確証があるわけでもないし、相手に悟られないためにも…。


『リーシャ、コレットさんの居場所わかる?」

『えぇ、このまま真っ直ぐよ』


リーシャに道案内を頼む。

少し歩いていくと、


『シュウ、コレットさんの後をつけている人が3人いるわ』

『やっぱりか…』


リーシャがそう言ってきた。

この村には悪だくみを考えているのが最低3人はいる。

そう思っていたら、


『シュウ!急いで!コレットさんが危ないわ!』


リーシャがそう言う。

俺は言われ走る!

走っていると、


「いや!離して!」


とコレットさんの声が聞こえる。

あの家の裏か!

声の聞こえた所に走ると、コレットさんが捕まっている!


「へへっ!王女様をこんな簡単に捕まえられるとは思わなかったな」

「これで俺達は一生遊んで暮らせるぞ」

「早く逃げるぞ!」


3人の男達はコレットさんを連れて行こうとする。


「おい…」


俺は自分が思った以上に低い声が出たことに驚く。


「ん?何だテメェは」


3人は俺に気づき警戒しているのがわかる。


「その人は俺の依頼者だ」


俺がそう言うと3人は一瞬呆けた顔をした後、大笑いする。


「おいガキ、殺されたくなかったらそこ退きな」


1人がそう言ってくる。

俺は黙って左手に直剣を出す。

俺の行動で3人もそれぞれ武器を出す。

1人は短剣、2人は剣だ。


『シュウ、私が…』

『今回は俺に任せて欲しい』

『…援護はするわ』


これから俺は人と戦うこともある。

ためらったら殺されるし、俺の大切な人を傷つけされるわけにはいかない。

覚悟を決めなければいけないんだ。

3人が俺を囲う。

俺は、片手で剣を握る。


「死ね~!」


短剣を持っている男が刺そうとしてくる。

俺は直剣で防ぎ、斬りかかる。

それと同時に左右から剣を持っている2人の男が斬りかかってくる。

左の男の剣は直剣で防ぎ鍔迫り合いになり、右から来る男の剣は義手リーシャで掴む。


「な!こいつ素手で剣を止めやがった!」


そういえば、俺から見たらリーシャの銀色の義手だが、周りの人から見たら普通の腕に見えるんだったな。

右腕に力を込めると、男の剣がバラバラに砕けた。


「な、何で俺の剣が!?」


右腕を振ると、斬撃が飛び男を真っ二つにする。

即死だろう。

左の男が仲間が死んだことで怯む。

それを見逃さず、持っている直剣で男の剣を押す。

男が体勢を崩す。

直剣を構え前に突き出す。

男の心臓を狙い、男の体に剣を刺す。


「ぐっ…がぁ」


男は苦痛の顔をしている。

剣から伝わる感触が気持ち悪い。


『シュウ、大丈夫?』

『…大丈夫だよ』


男から剣を引き抜く。

血を流し過ぎたのだろう、男は倒れて動かない。


「あ…あ」


ナイフを持っている男は怯えているのか震えている。


「なんでこんな事をした?」


俺が震えている男に聞くと、男は


「お、俺達は雇われただけだ!」


そう大声で言う。


「誰に?」

「ど、奴隷商人だ」

「そいつらはどこにいる?」

「こ、この村に」

「何人だ?」

「お、俺達合わせて30ぐらいだ」


つまり、俺が見た村人だと思っていた人達は全員グルだ。


「何をしているのですか?」


そう思っていると後ろから声を掛けられる。

後ろを見るとエルミールさんが立っていた。


「エルミールさん、この村は…」

「わかっています」


エルミールさんが俺の言葉を遮る。


「私も襲われました」

「大丈夫でしたか?」

「問題ありません。それよりコレット様です」


エルミールさんはそう言って俺の脇を通り、コレットさんの傍に行く。


「コレット様、大丈夫ですか?」

「大丈夫」


エルミールさんに支えられてコレットさんが立ち上がる。


「貴方」


コレットさんが俺を見て、声を出す。


「はい」

「その…ありがとう」


コレットさんは顔を赤らめて俺に言った。


読んでくださってありがとうございます!

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