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初代勇者を腕に  作者: 雪羅
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激闘

眩しい光が当たり、俺は目を覚ます。


「くぅ~…。ふぁ~」


俺は体を伸ばして凝りを解しつつ、欠伸をしながら周りを見渡す…。

見ると、帝都の検問所が見える。


「そういえば、森で夜明けまで魔獣狩りした後ここまで戻って来たんだった…」


俺は眠る前の事を思い出す。

本当なら宿屋に泊まりたかったのだが、深夜に行っても部屋は空いていないだろうと思い、この木の枝で体を休ませていたんだが、いつの間にか寝てしまったようだ。


「カーヤさんと約束したのはお昼過ぎだよな」


俺はそう呟いて、空を見る。

そこには空を飛んでいる魔獣の姿が見える。


「昨日ここで倒した魔獣と同じだな」


俺は空を飛んでいる魔獣を見てそう呟くと、その魔獣達が騒ぎ始める。

何が起きたのだろう。

そう思っていると、その魔獣より大きな魔獣が現れた!

それはまるで、


「ワイバーンみたいだ…」


そう呟いてしまう程、大きな体をしている。

すると、帝都の方が騒がしくなる。

そちらを見ると、検問所にいる兵士の人達が慌てて武器を構え始めている。

どうやら、あの魔獣と戦う準備をしている様だ。

それにしても、魔獣が魔獣を襲っているのを見るのは初めてだ。

俺がそう思っている内に、次々と俺の狩る予定だった魔獣が食われてしまっている。

狩る予定だった魔獣が自分達よりも大きい魔獣に襲いかかるのは、縄張りに侵入してきた敵を倒す為なのだろう。

すると、


「イテッ…」


頭に突然何かが当たって、痛みは無いのに反射的にそう言ってしまう…。

木を下りて頭に当たった物を見てみると、砕けてしまっている死石だ。

そこで考える。

魔獣が魔獣を襲う理由って、縄張り争い以外にも可能性があるかもしれないと…。

考えられる理由は、空腹を満たすためともう1つ。

この死石を見て思った事だが、魔獣が死石を食べると強くなるとしたら…。

俺はそう考えて上を見る。

そこには、最後の1体になった魔獣が縄張りに侵入してきた魔獣の巨大な顎に噛み締められている。

もし、俺の考えが当たっていたら、あの魔獣は結構な強さを誇っている可能性がある。

すると、ワイバーンに向かって火の玉が向かって当たる!

だが、ワイバーンの殻か鱗によって攻撃は大した事が無いように見える。

すると、攻撃をされたワイバーンは咆哮を上げて、兵士達に向かって急降下をする!

ワイバーンの動きを見て、兵士の人達が散開する。

だが、


「うわぁぁッ!!」


どんなに散開しても1人か2人はワイバーンに目を付けられてしまう。

叫び声を上げている兵士の人を噛み殺そうと顎を開く!

俺は慌てて魔素を操って、魔導剣を腰から引き抜きながら襲われそうな兵士の元に駆け寄る!

兵士がワイバーンの顎に捕らわれる寸前の所で、俺はワイバーンの横顔を魔導剣で斬りつける!

だが、


「マジか…」


ワイバーンの甲殻が硬すぎて、魔導剣の刃が通らない…。

仕方なく魔拳で殴りつけると、ワイバーンの首が殴った方向に動く!


「今のうちに距離を取って下さい!」


俺はギリギリで助けた兵士の人にそう言うと、


「す、すまない!」


兵士の人が俺にそう言って走り出す。

俺は周りの兵士の様子を見ながら、目の前にいるワイバーンを警戒する。

すると、殴られた反動を利用して体を回転させて尻尾で薙ぎ払いをしてくる!

俺は魔素を体に纏って防御力を上げると、ワイバーンの尻尾に吹っ飛ばされてしまう!

空中で体勢を整えて地面に着地すると、ワイバーンが俺に向かって突進してくる!


「魔翔剣」


俺は左手に魔導剣、右手に魔翔剣を握って構える。

ワイバーンが口を開けた瞬間、俺は魔導剣を構えて引金を引く!

その瞬間、ワイバーンの開いた口目掛けて火の弾丸を発射する!

いくら頑丈でも口に火を入れられたらキツイだろう!

俺がそう思った瞬間、ワイバーンの口の中に火の弾丸が着弾する!

だが、ワイバーンは怯まない!

俺は冷静に魔翔剣でワイバーンの顔を斬りつける!

すると、


「ガァァァァッ!!」


ワイバーンは咆哮の様な叫び声を上げ、翼を広げて空に飛び立つ!

それを見て、周りにいた兵士の人達が魔石を消費して魔術をワイバーンに叩き込んでいく!

俺の今のうちに体勢を整える。


「それにしても、動きを制限して戦うのは大変だな」


小さな声でそう呟き、俺は魔翔剣の刃を一気に10本作り出して、空中に浮かせる。

そして、左手には魔導剣を握りしめ、次に俺の所に来た時には、一気に斬り裂いてやる。

俺がそう思っていると、


「退避しろ!火炎球が来るぞ!」


後ろから兵士の人に声を掛けられる。


「火炎球?」


俺が呟いた瞬間、ワイバーンの口から炎の塊が俺達に向かって発射された!

あぁ、あれなら俺が魔導剣を使った火の弾丸も意味ないな。

口からもっと凄いの出せるんだもんな…。

俺が冷静にそう思いながら、加速してワイバーンの攻撃から避ける。


「と言うか、上から一方的に攻撃して来るのとか反則でしょ?」


俺はそう呟きながら、空から再度炎の塊を吐き出そうとしているワイバーンを見る。


「仕方がないな。あそこにずっといられたら、上手く攻撃できない」


俺は小さく呟いて、浮かせていた魔翔剣の刃を1本飛ばして、ワイバーンの翼膜を斬り裂く!

すると、翼膜が切れた所為で上手く飛んでいる事が出来なくなり、徐々に地面に近づいてくる。

だが、ワイバーンは飛ぶことが難しいと判断すると、急降下で兵士の人達に突進をする!

兵士の人達が叫び声や怒号を上げながら、ワイバーンに攻撃をしたり逆にワイバーンの攻撃から逃げ出そうとしている。

俺は一気にワイバーンと兵士の人達の間に入って、ワイバーンの体に魔翔剣の刃を叩き付ける!

ワイバーンもただではやられずに、俺の斬撃を受けつつも反撃の攻撃を仕掛けてくる。

そして遂に、ワイバーンが今まで上げてきた咆哮の中で1番の大きな声を出して地面に伏した。

すると、すぐに塵になるワイバーン。

あんな激闘をしていたワイバーンの体も、死んでしまったら一瞬で塵になってしまう。


「…何だろう?変な感じだな」


俺がそう呟くと、周りから雄叫びが響いてきた。


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