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初代勇者を腕に  作者: 雪羅
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あの後秋沙を何とか落ち着かせて、何をしていたのか聞いてみる。

そして俺の質問に返ってきた言葉は、


「…柊に着けさせて貰う首輪を選んでいた。やはり、黒のシンプルの物が良い。いつでも着けていられるから。でも、少し大きくて派手なのも良いと思ってしまう。柊の所有物になった気分になれて興奮する」


とんでもない言葉だった。

どうやら俺がいなくなってから、1人でずっとこんな感じで過ごしていたようだ。

その後、落ち着いた秋沙と俺は夕食を食べた後、ゆっくりと過ごしながら眠りについた。

2人でベッドに入る時に、秋沙が服を脱いだりと色々と大変ではあったが、何とかなった。

そして翌日には、秋沙を抱いて家に帰る事になった。

家に帰ると、ルリィやエルミールが出迎えてくれる。

皆がゆっくりとしていってと言ってくれたのだが、ヴェロニアさんとカーヤさんとの約束があるから、これからすぐに出る事を伝える。

すると、ルリィが慌てて走って行ってしまった。

どうしたんだろう?

そう思っていると、ルリィが荷物を持って俺の傍に来る。


「今回はルリィなの?」

「はい!よろしくお願いします!」


俺がルリィにそう聞くと、ルリィは嬉しそうに返事をする。

だが、俺に顔を近づけるとクンクンと鼻を鳴らして俺の体の匂いを嗅いでくる。

そして、


「ご主人様、アキサ様以外の女性の匂いがします。それと…何でしょうか?濃厚な甘い匂いもします…」


俺にそう言ってきた。

その言葉を聞いて、一斉に皆が俺の体に顔をくっ付けてくる!?

そして、


「お仕置きよシュウ?」


俺に優しく微笑んでいるが目は笑っていないリーシャの言葉によって、俺は正座をさせられている…。

そして、正座している俺の周りを皆が囲んでいる…。

皆の顔を見る事が出来ずに床のジッと見ていると、


「シュウ?どうしてシュウの体から女の匂いがするの?」


リーシャが俺にそう聞いてくる…。

俺はリーシャの言葉を聞いて考える。

考えられる理由は2つ。

1つは簡単な話で、ヴェロニアさんが泊まっていた宿屋の部屋にいたからという理由だ。

そしてもう1つは、カーヤさんに押し倒されたというか…近づいてしまった時だ。

あの時、カーヤさんの催淫で甘い匂いがしたが、もしそれが俺の体に本当に付いてしまっていたのなら、正直に話す事は当たり前として、どうやって皆に言うかだ…。


「その…」

「柊ちゃん?浮気?どこの女?連れて来て?生きているの事自体が拷問だと思わせるほど、苦しませるから…」


俺が話そうとすると、怜華さんが下を向いていた俺の顔を両手でそっと掴んで上を向かせる。

そして俺の目の前には、真顔で視線だけで人を殺せそうな目をした怜華さんがいらっしゃる‥。

怜華さんは、ゆっくりと俺の目を見てくる…。

怜華さんの匂いに普段ならばドキドキしているが、今は怜華さんのドロドロと濁った殺意しか感じない瞳に、心臓がバクバクしている。

ここで言葉を間違えば、怜華さんが向こうの世界に行った時に大変な事をしてしまうかもしれない…。

俺はゆっくりと深呼吸をして、口を開いて話そうとした瞬間、


「もが‥」


口の中に怜華さんの指が突っ込まれてしまう…。

舌の上を何度も指が這いずられる…。


「良い柊ちゃん?私の味をしっかりと覚えて?」


怜華さんはそう言いながら、頬の裏や歯茎にも指を這いずらせる…。

すると、何故か他の皆が怜華さんの後ろに立って人差し指を立てている…。

まるで…、今行われている事に対する順番待ちをしているかのように感じる…。

その後、俺は皆の指を口に入れられて味を覚えろと言われて大変だった…。

しかも以外に1人1人で指の長さや感触が違い、味とまではいかないが覚えてしまったかもしれない。

嫁の指の味を覚える旦那…、ただの変態にしか聞こえないが…。

そして皆には、不用意に女性に近づくなと言われた。

それに関しては俺も特に文句は無い。

皆を悲しませないためにも、それは重要だと思う。

だが、もしまた俺から女性の匂いがしたら、今度は指を舐めさせるだけでは済まないと言われてしまった…。

これ以上に何が起きるか分からないが、気を付けないともっと大変だったことは分かる…。

皆の表情が怪しくも、笑顔だった事がそれを物語る…。

その後俺が皆に解放された時にはお昼頃になっていたが、それからルリィと一緒にリーシャの転移魔法でグリニオン帝国に着いていた。

グリニオン帝国の家に転移した瞬間ルリィが一言、


「懐かしいですね」


そう呟いた。

そうだな、ルリィと出会ったのもこのグリニオン帝国だったもんな。

俺が過去の事を思い出していると、


「ご主人様、早く行かないといけないんでは?」


ルリィが首を傾げながら俺にそう言ってくる。

そうだな、今は向こうの世界での約束を守らないとな…。

ルリィとの時間はまた帰って来てからしっかりとしよう。


「ごめんねルリィ。行ってくる」


俺がルリィにそう言うと、彼女は笑顔で、


「行ってらっしゃいませ。おかえりを待っています」


そう言ってくれた。

俺は急いで2階に駆け上がり、扉を通って山小屋の扉からこちらの世界に移動する。

世界を繋ぐ例の扉を閉めて、俺は山小屋を飛び出す。

それからは、魔素を操って一気に加速をして空を走る!

それから俺は帝都まで行き人に見つからない様に下りて宿屋に急ぐ。

宿屋に到着して、ヴェロニアさんの部屋に行きノックをすると、


「どうぞ~」


中からヴェロニアさんの声が聞こえる。

俺が扉を開けるとそこには、顔をしかめているヴェロニアさんとカーヤさんが俺の事をジッと見ている…。


「すみません。遅れました」


俺が謝ると、


「…それではお2人とも。これからの事をお話します」


カーヤさんが何も反応しないで、話し始めてしまう…。

正直、無視されるのが結構辛い。

まだ怒られた方が、気持ち的に安心するのだが…。

俺はそう思いながら床に座る。

それからカーヤさんの話を聞いて、弟さんの情報や働かされているであろう婦館の内部構造を教えてもらった。

だが、そこまで話しているうちにある事に気が付く。

それは、どうやって婦館の中に怪しまれずに入る事が出来るかと言う事だ。

俺がそう思っていると、カーヤさんがチラリと俺の事を見て、


「中に入るために、私が貴方とヴェロニアさんを催淫したという事にして、中に潜入してもらいます」


そう言ったのだ…。


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