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初代勇者を腕に  作者: 雪羅
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貴族の依頼

あの後、怜華さんも俺の体に吸い付いてきたり、秋沙姉が服を脱ぎだしたり、怜華さんの行動を見て春乃と真海ちゃんが突撃して来たり、ルリィがあわあわしだしたりと騒がしくなったが、何とか皆落ち着いた。

今は皆で食堂にいる。

と言っても、家にいる人数が少ないからか皆俺にくっ付いてきて少し苦しい。

その時に、ルリィが俺に新しく作った回復薬を渡してくれた。

丁度無くなったという事で、ありがたく受け取り魔導袋に入れる。

その後、向こうの調子を聞かれたりして、色々と話をした。

その結果、


「話し合いをします」


怜華さんが怒ってしまった…。

そして、皆の表情も良い方ではない…。

ヨハナさん達の事は少し隠しておくべきだったかな?

いや、皆に隠し事はしたくない。

その後、皆との話し合いがあるまで自由行動になり、俺は皆の許可を貰ってヴェルーズの冒険者ギルドに向かった。

ヴェルーズに着くと、フィノイ村との違いを改めて感じさせられた。

フィノイ村と違ってヴェルーズは、人々が楽しそうに話しをしていたり子供も走り回って遊んでいる。

その光景を見ながら歩き、冒険者ギルドに着くと中から大人達の笑い声が聞こえてくる。

向こうの世界だと皆表情が硬く、笑顔なんてほとんど見た事なかったなぁ。

そう思いながら、俺は冒険者ギルドの扉を開けて中に入る。

皆、談笑したり軽い食事をしたりしている。

俺はその中からザールさん達を探していると、


「あれ?シュウじゃねえか!」


突然後ろから声を掛けられて振り返ると、ヤニックが手を振りながら俺に近づいて来ている。


「ここに来たって事は、師匠に用があるんだろう?今ギルド長と話してるから行った方が良いぜ」


ヤニックが俺にそう言ってくる。

な、何だろう?

フィノイ村でのことを経験してからか、今まで内心アホだと思っていたヤニックが凄く良い人に見えてくる…。


「ありがとう。行ってくる」


俺はヤニックに礼を言って、ギルド長室に向かう。

受付嬢から許可を貰い、俺はギルドの奥の部屋の扉をノックする。

すると、


「どうぞ」


中からフェリアンさんの声が聞こえ、


「失礼します」


挨拶をしながら扉を開けて中に入る。

すると、フェリアンさんとザールさんが向かい合って話している様だ。

2人が俺に気が付くと、


「来てくれたか…」


ザールさんが安心したような表情をしてそう言う。


「突然すみません。ザールさんから手紙が来たので、ここに来たんですけど…。邪魔なら後でもう一度伺いますよ?」


俺がそう言うと、


「いえいえ、ザールさんの手紙の内容は私からの依頼でしたので、シュウさんにも関係ある話をしていたんですよ」


フェリアンさんがそう言ってくれる。

つまり、フェリアンさんがザールさんに依頼したのか。

そして、ザールさんがその依頼を手伝って欲しいって俺に手紙を出したという事か。


「そ、そうだったんですか。…それで依頼の内容と言うのは?」


俺がそう言うと、ザールさんが、


「エルフの森に生えているある薬草を取りに行って欲しいんだ」


そう言った。


「だが、エルフの森と言ってもすぐそこにある森ではない」


更に続けてザールさんがそう言い、その言葉を聞いて俺は他にもエルフの森があるんだなと思い、


「それは、どこのエルフの森なんですか?」


そう聞いてみる。

すると、


「ここから獣人の国、ロンアルビを抜けた樹海にあります」


フェリアンさんが答えてくれる。

その言葉を聞いて、意外と遠出になりそうだなと思う。

すると、


「実は他にも集める物があってな。エルフの森に生えている薬草はシュウに任せたいと思ったんだ」


ザールさんが俺にそう言ってくる。

ザールさんの言葉に、期待に応えたいと考える。

だが、今は向こうの世界の事に関してもやらないといけない事がある。

俺が悩んでいると、


「エルフの森に生えている薬草は、シュウさんにしか任せられないんです」


フェリアンさんにそう言われる。


「どうしてなんですか?」


俺がフェリアンさんに質問すると、


「リザベルトやエルネットと一緒に行って欲しいからです」


フェリアンさんの言葉を聞いて、俺は察する。

エルフの人達は他種族とは関わりを持たない種族である。

なら、ザールさんが行った所で追い返されてしまうな…。

だから俺に話が来たという事か。

俺は話の本質を理解して、納得する。

これは俺がやるしか無い様だな。

そう思った所で、俺は1つ気になる事がある。


「そう言えば、どうしてエルフの森の薬草が必要なんですか?」


俺がそう聞くと、


「ある貴族の依頼ですね。ご子息が病で余命幾ばくもないらしいです。なるべく早く取って来て欲しいらしいですね」


フェリアンさんが依頼の書類であろう紙を見ている。

そうなると、向こうの世界の事は後回しにした方が良いな…。


「わかりました。その依頼、手伝わせて下さい」


俺がそう言うとフェリアンさんとザールさんが安心したような表情をする。

それから俺は、急いでサンレアンの家に帰って支度をする。

慌てて帰ってきた俺に皆が呆然としていたが、俺が事情を話すと支度を手伝ってくれた。

そうしている内に、リーシャとアルが帰って来た。

俺はリーシャに転移魔法で移動する事が出来ないか聞いてみると、笑顔で頷いてくれた。

後はリザベルトさんかエルネットさんなのだが、2人はどこに行ったんだろう?

俺がそう思っていると、アルがスキルを使って2人の居場所を調べて教えてくれた。

アルのスキルのお陰で2人の居場所が分かった俺は、2人の所に急ぐ!

目的地は、サンレアン王国で双子の兄妹が経営している服屋さん。

俺は城下町を走って服屋さんが見えてくる。

すると、丁度リザベルトさんとエルネットさんがお店から出てくる。

俺は2人に声を掛けて、ギルドでの依頼を説明して付いて来て欲しいと伝えると、


「それなら、エルネットを連れて行って」


リザベルトさんがエルネットさんの背中を押して、俺にそう言ってくる。


「…行きたい」


そして、エルネットさんも小さな声でそう言ってくれるので、エルネットさんとリーシャと一緒に旅?に出る事になった。


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