焦り
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今俺は、エルミールが夕飯にと作っていてくれたスープを飲みながら、エルミールに怒られている…。
その理由は、
「良いですかシュウさん?帰って来ているなら挨拶をして下さい」
「…はい」
俺が黙って料理しているエルミールを眺めていたからだ。
「私はメイドなんです。そして、シュウさんの妻でもあるんです。出迎える喜びを感じたいというのに…」
どうやら、エルミールは俺の事を出迎えたかったらしい。
なのに、俺が黙って見ているだけだから怒ってしまったと…。
「聞いてますかシュウさん?」
「は、はい!聞いてます!」
俺が考えていると、エルミールさんが突然俺にそう聞いてきた。
俺が慌ててそう返事をすると、エルミールは俺の向かい側の椅子から立ち上がり俺の隣に来る。
そして、
「失礼します」
俺の首元に顔を埋めた!
すると、俺の首元に顔を埋めているエルミールが深呼吸をしている!
どうやら、俺の匂いを嗅いだいるようだ…。
本当ならエルミールを引き離したいのだが、はいと言ってしまった故に引き離す事が出来ない…。
「スゥ…私達にとってシュウさんの匂いは違法な薬ですね。依存して止められなくなってしまいます」
エルミールがそう言うと、首にぬるっとした感触が伝わる!?
「エ、エルミール!」
流石に俺もマズいと思い、彼女を引き離そうとすると、
「…離れたら泣きます」
エルミールがそう言って俺の動きを止める…。
その後、首を舐められたり吸われたり噛まれたりした‥。
彼女の愛情表現は少し過激だ。
それから俺は、エルミールが満足するまで彼女専用の飴になっていた。
そうしている内に夜になり、俺とエルミールは夕飯を食べた後、濡らした布で互いの体を拭き合う。
この家には、浴場が無いので仕方がないのだが、やはり温かいお湯に入りたいものだ。
そう思いながら、エルミールの背中を拭いていると、
「シュウさん、私の体はどうですか?」
エルミールがそう聞いてくる。
その言葉に、俺は動かしていた手を止めて、
「綺麗だよ」
彼女にそう言って、背中にキスをする。
俺がキスをした瞬間、エルミールは体をビクッとさせて震え出す。
「お、俺何か悪い事言った?」
俺がエルミールの様子を窺いながらそう聞くと、
「シ、シュウさん。私もう…体が疼いてしまって…」
俺の方を振り返りながらそう言うエルミール。
その表情は目の前に肉を置いた獣のごとく、目をギラギラさせながら息を荒くしている…。
「エルミールさん!前隠して欲しいかな!?」
エルミールの事を注意しようとすると、エルミールが俺の事を押し倒してくる!
そして、俺は可愛い肉食獣に捕食されてしまった…。
同時刻、シュウがエルミールにペロリされている頃、エグモントの屋敷を出発した女性達はフィノイ村に辿り着いていた。
大勢の女性達が突然村に来たという事で、フィノイ村の人々は驚きつつ、彼女達の話を聞いた。
そして、自分達を苦しめていた水の魔法使いが死んだ事に、村の人々は喜んだと同時に不安になる。
それは自分達の村を護っていた魔導具の効果が無くなるのが心配だった。
だがそれは、お店の外が騒がしいと思い外に出てきたヨハナとアウレーテの説明によって、ルネリアが水の魔法使いを継ぐという事で話は纏まった。
最初は戸惑っていた村の者達も、時間が経過していく毎に落ち着いてくる。
そして、ヨハナとアウレーテが協力してルネリアを森の所に連れて行き、魔導具の点検をしていく。
それが終わり、3人が店に帰ろうと歩いていると、村の人達と女性達が話し合っているのを見る。
3人も何だろうと思い、そこに行ってみると、
「ローラント!」
「団長!」
体はボロボロで意識を失っているローラントを2人は見つける。
2人は手を繋いでいたルネリアから手を離して、ローラントの元に駆け寄る。
だが、2人がローラントに近づく前に、2人の前に立ち塞がる女性がいた。
それは、
「「デルハンネさん!?」」
シュウに魔導剣を渡され、皆を纏めていた女性だった。
彼女は元勇騎士団の団員であり、ヨハナやアウレーテの先輩であった。
1年前の魔獣討伐作戦の時に行方不明になり、魔獣に喰われて殉職したかと思われていたのだ。
「ど、どうしてデルハンネさんが…」
驚きながらそう呟くヨハナにデルハンネが自分に起きた事を全て話した。
その言葉を聞いている内に、2人の顔がどんどん暗くなっていく。
それは、先輩であるデルハンネがされた事に関してとローラントが自分達を裏切っていたという事。
…そして、自分達に真実を伝えてくれた彼の事を信じず、酷い態度を取ってしまった事を深く後悔する。
すると、ヨハナがデルハンネが握っている魔導剣に気が付く。
「デルハンネさん、その魔導剣…」
ヨハナがデルハンネの握っている魔導剣を指差しながらそう言うと、
「この剣は、私達を救ってくれた人が渡してくれた物なの」
ヨハネに見やすいように剣を見せながら説明する。
ヨハナはそれを見て、デルハンネが握っている魔導剣がヴァレオ魔導店の剣だという事に気づく。
「その人は…どんな人ですか?」
ヨハナは彼の事を頭に思い浮かべながら、デルハンネに質問する。
「男の人よ、顔は少し怒っていたけど、優しかった。あと右手が無かったわ」
「ッ!?」
デルハンネの言葉を聞いて、ヨハナは体から力が抜けるのを感じる…。
何とか座り込まないでいるが、足は震えていて立っているのもやっとだ。
「そ、その人はどこに…いますか?」
激しい喉の渇きを堪えながら、ヨハナはデルハンネにそう聞く。
すると、ヨハナの質問を聞いたデルハンネは、
「魔法使いの屋敷に残ったよ。でも、私達が出発してから少しして凄い音が鳴ってたわ」
思い出す様にそう言う。
その言葉を聞いたヨハナは、今すぐにでもあの屋敷に走り出そうとする。
だが、ルネリアがヨハナを止める。
「朝になったら行きましょう。夜は危険です」
その言葉を聞いたヨハネは、一度熱に犯された頭を冷静にする。
その後、ヨハナ達は一睡もする事が出来ずに朝を迎えた。
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