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初代勇者を腕に  作者: 雪羅
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風通し

俺はフィノイ村から走り、水の魔法使いの屋敷がある森まで来ていた。

そして、森に入って罠とかが無いか魔視を発動しながら森を進む。

そうしていると、あと少しの所で屋敷に着くという所で、魔素の反応が見えた。

それは、赤と青の魔素の反応。

おそらく魔導剣を使っている配下の者だろう。

見張りなのかは分からないが、1人しかいない。

俺は魔素を圧縮して魔拳を作って、気づかれない様に静かに魔素の反応がある方に歩いて行く。

そうして歩いて行くと、昨日魔法使いと一緒にいた男が欠伸をしながらキョロキョロ辺りを見ている。

そして、男が後ろを向いた瞬間、一気に距離を詰めて単純な魔拳で全力で殴る!

男は声も出さないで口から血を吐き出して倒れる。

首に触れて脈を確認して生死を確かめる。

弱弱しくではあるが、まだ生きている。

だが、助けるつもりは無い。

すでにいくつもの命を奪っているのだ。

それが増えるだけ…。

俺は自分にそう言い聞かせて歩き出す。

今の戦いでも、大きな音は出なかった。

屋敷の人間が気づいているとは思わないが、警戒しなければ…。

そう思いながら、屋敷の壁に背中をくっ付けて窓を覗いて中の様子を窺う…。

そして、目の前に広がっている光景は…。

縛られて身動きが取れなくなっている女性達に、無理矢理薬を飲ませている男がいた。

俺はその光景を見て、静かに動く事を止めた。


「魔人化ァァッ!!鋼魔拳!!」


魔素を一気に体に取り込み、鋼魔拳を作り出して屋敷の壁を破壊する!

突然の事で状況が理解できていない男だが、俺の姿を見た瞬間に魔導剣を引き抜く。

だが、男が剣を引き抜いた瞬間に俺は一瞬で男の体に近づき殴り飛ばす!

殴った衝撃で壁を貫いて部屋から消える男。

俺は部屋の女性達を見る。

彼女達は苦しそうに、背中を丸めて頭を地面に付けている。

この薬の効果を知らないからどうする事も出来ない…。

回復薬を渡そうにも数が足りない…。

すると、女性の1人が俺の脚にしがみ付いてくる。


「だ、助けて…下さい」


俺はその言葉を聞いて、しがみ付いている彼女に、


「絶対に、助けます。待ってて下さい」


そう言って、男を吹き飛ばした壁の穴から更に屋敷の奥へと入っていく。

男は両手足がグニャグニャに折れているのを確認して、歩き出す。

すると、


「君が来たんだね」


俺の後ろからローラントさんの声が聞こえる。


「ヴァレオのお爺さんが来たら、殺してやろうと思っていたんだけどな~」


その言葉に、俺は後ろに振り返る。

見るとローラントさんは、ニヤニヤと笑っている。


「何で村の人達を裏切った‥」


俺がそう聞くと、彼はまるで何でそんな事を聞くのかと言う様な表情をしている。

そして、


「あっははは!そんなの俺が良い生活が出来る様にって決まってるだろう!」


さも当然のことを言う様に、堂々とそう言うローラント。

ローラントの言葉を聞いて、俺は怒りで飛び出そうとする体を踏み止める。


「君程の力があれば、ここでも欲望のままに出来るんだぞ!」


俺にそう言ってくるローラント…。


「ヨハナさんや勇騎士団の人達の事を大切だとは思わないのか!」


俺がそう言うと、


「勇騎士団は俺が良い女を探すためだけに作ったモノだ。あれは大切でも何でもない!」


ローラントが俺の言葉に言い返してくる。

その言葉に、俺はこの男と分かり合う事は無いと悟る。

そう思って黙っている俺に、


「今だったらヨハナを好きにしても良いぞ!あの勝気なヨハナを奴隷に出来るんだ!素晴らしいだろう!」


ローラントは名案だと思っているのか、そんな最低な事を俺に言ってくる、

この男はどこまでも…、ヨハナさんを…勇騎士団の人達を…女性を軽視している。


「お前は…俺が倒さないとと思っていた。…けど、俺はお前を殺す事はしない。お前を殺す権利があるのは、屋敷にいる女性やヨハナさん達村の人達だ」


俺がそう言うと、ローラントが魔導剣を抜く。


「エグモント様に盾突いた事を後悔しろ!」


ローラントがそう言った瞬間、俺は魔視を発動してローラントの魔導剣の魔素の反応を見る。

そして、魔素の色が青一色になった瞬間!

水の塊が俺に向かって飛んでくる!

避けたくない、この男の攻撃は真正面から受けてやる。

俺はそう思って、水の塊を避けないで正面から受ける!

少し衝撃で後ろに下がりそうになるが、地面を踏み締めて後ろに下がらないようにする。

すると、魔術の攻撃を受けて平然としている俺の見たローラントが驚いている。


「な、何が起きた…。確かに当たったはずなのに…どうして死んでいない…」


そう言っているローラントに、俺は一歩歩いて近づく。

すると、魔導剣から水と炎の塊が俺に向かって発射される!

その攻撃を全て受け止めながら、俺は歩き続ける。


「クソ!クソ!何で効かないんだ!」


そう言いながら、魔石を補充するローラント。

俺はそれをただ見つめる。

そして、補充を終えたローラントが追加で攻撃をしてくるが、俺はそれをただ平然と受けているだけ。

すると、


「何で効かないんだ!何なんだお前は!」


ローラントが俺に怒鳴ってくる。

どうやら魔石が無くなったようで、ただ剣を構えて俺に怒鳴ってくるだけ…。

そんなローラントの元に一瞬で移動して、鋼魔拳でローラントの握っている魔導剣を破壊する!

剣を破壊されたローラントは、腰が抜けたのか床に尻餅をつく。

そんなローラントを見下す様に俺が立つと、ローラントがガタガタ震えている。

俺がローラントを持ち上げると、


「ま、待ってくれ!分かった!もうこんな事はしない!村からも出て行く!だから、殺さないでくれ!」


涙を流しながら命乞いをしてくる。


「お前は。もう止めてと言っていた人達の言葉を聞いて止めましたか?」


俺がそう言うと、ローラントはただ震えるだけ。


「…殺さないですよ。それは、俺のやる事ではないので」


俺はそう呟いて、屋敷の壁に向かって全力でローラントを投げ飛ばす!

大きな音を立てながら、吹き飛んでいくローラント。

壁も破壊されて、屋敷の風通しがどんどん良くなる。

そう思っていると、頭上から凄まじい量の水が落ちてきた!


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