買い物、王女
ギルドを出て、少し歩くと道具屋を見つけた。
リーシャと一緒に入り、色々買っていく。
回復薬にMP回復薬の回復薬品。
野宿のために布と食糧。
道具屋で色々と買い物し終え、次に防具屋に行くことになった。
「シュウは、私と戦うからあまり重装備じゃなくても良いわね」
「どういう装備が良いの?」
「ん~、胸当てと関節部分を護る物が良いわね」
「結構軽装備だね」
そんな事を話しているうちに防具屋に着いたようだ。
「いらっしゃい!」
中に入ると若い女の人がいた。
赤髪の短髪だ。
頬に傷跡がある。
「胸当てと関節部分の防具を探しているのだけどあるかしら?」
「胸当てならあるけど関節部分の防具は、うちにはないね~….俺の姉貴がやってる店ならあるかもしれないんだがなぁ」
「じゃあ、胸当てだけで大丈夫よ」
「おう。見ていってくれや」
そう言われてリーシャと並べられている防具を見ていく。
俺にはどれが良いのかわからないな。
「シュウ、これとかどう?」
「ん?」
リーシャが指さすのは黒色の胸当てだ。
「これは?」
「黒曜亀っていう亀の魔物の甲羅を削った防具よ。硬さの割に軽いから今のシュウには良いと思うの」
なるほど。
軽い方がいいな。
「すみません!これってつけても良いですか?」
「壊さないなら全然構わないよ!」
お姉さんに言うと許可してもらえた。
胸当てを取ってみると、思っていたより軽い。
肌触りは意外にすべすべしていて気持ちいい。
胸当てをつけてみると、しっくりとする。
これで頑丈なら大丈夫だろう。
これにしよう。
「リーシャ、これにするよ」
「良かったわ」
お姉さんの所に行き、会計を済ませてもらう。
「あっ!少し待ってて!」
そう言ってリーシャが何かを探しに行ってしまった。
「関節部分の防具がなくて悪いね。そうだ!紹介状書いてやるから姉貴の店に行った時に渡せば、良いのをお前さんに売ってくれるさ!」
「良いんですか?」
「俺たちは双子だからな!片方の店で売れなかったらもう片方の店で売るし。姉貴の方が店がデカくて品揃えも良いんだ」
そう言いながらお姉さんは手紙を書いている。
「これも追加しちゃいましょう」
お姉さんが手紙を書いている間にリーシャが戻ってきた。
リーシャの持っている物は、茶色い布。
「リーシャ、それは?」
「魔法耐性があるローブよ。胸当ては物理攻撃に適しているけど魔法を防ぐには適していないの。胸当てをつけてこれを羽織れば大丈夫よ」
「でも動きにくいんじゃない?」
「この護衛の依頼では魔法での遠距離攻撃の方が良いわ。だから今回はシュウはあんまり動かないかも」
護衛する人から離れないようにするからだろうな。
「おし!書けた」
お姉さんが声を出す。
「ごめんなさい、これも追加で買うわ」
「あいよ!じゃあ、48000ラティーだよ」
お姉さんがそう言いリーシャがお金を出す。
絶対に依頼を受けてリーシャに返そう。
これじゃあ、ダメ人間だよ。
「毎度ありがとう。そういえば、姉貴の店教えてなかったな!グリニオン帝国に店を出してるからな!姉貴の名前はジスレーヌだ。ちなみに私はジスレットだ。今後とも俺達双子の店を御贔屓に!」
ジスレットさんに胸当てとローブ、それに紹介状を渡される。
「ありがとうございます。行った時に寄らせてもらいます」
そう言いジスレットさんのお店を出る。
もう少しで集合の時間だ。
「シュウ、こっちに来て」
リーシャに引っ張られて人がいない細い道へ。
「ここで防具とローブをつけちゃって」
「うん、わかった」
リーシャに言われて、今来ている服の上に胸当てをつけその上にローブを羽織る。
「誰も見ていない今のうちに私もシュウの腕になっちゃうから」
言いながらリーシャが俺の手を掴む。
リーシャを右腕にしてさっきの道に戻り集合場所の町の門前まで歩く。
『人前では私は話せないからこれで会話するわね』
『うん。でもこれって良いのかな?』
『何が?』
『リーシャも一緒に行くから、この護衛の依頼が受けられたんだからリーシャは姿を現さなくても良いのかな』
『一緒に行っているのだから大丈夫よ』
『なら良いけど』
リーシャと会話しているうちに目的の町の門前に着いてしまった。
『まだ、相手は来てないみたいだね』
『そうね。少し待ちましょ』
それから十数分後、馬車がこちらにやって来た。
馬車を操っているのは無表情のメイドだ。
目つきが鋭い。
「貴方が護衛をしてくださる方ですか?」
「はい。シュウと言います」
「そうですか。よろしくお願いします」
メイドさんと挨拶を交わすと馬車の中から、
「女の冒険者じゃないの!?」
と怒号が聞こえてきた。
突然の怒鳴り声に体がビクッてしてしまった。
メイドさんが、
「仕方ありませんよコレット様」
と、馬車の外から中の人に言う。
「はぁ~!」
大きなため息が聞こえる。
そして、馬車の扉が開き中から女の子が出てきた。
『ん?どこかで見たような気が…』
『シュウ、この世界に来てからそんなに経ってないわよね』
『うん、たぶん気のせいだね』
リーシャと会話していると、
「貴方!」
「は、はい!」
女の子が俺を指さしながら大きな声をだす。
女の子の顔が怖い。
「私を誰だと思っているの!?」
知りません。
「すみません。知りません」
俺がそう言うと女の子の顔が更に険しくなっていく。
「コレット様。こんな凡人がコレット様の事を知らないのは当たり前です」
このメイドさん棘があるな。
『私の夫に…。こんな奴らの国滅ぼしちゃおうかしら』
『リーシャ!勇者としてその発言はどうなの?』
『勇者の前に私はシュウの妻だもの、夫が馬鹿にされたら怒るのは当たり前よ』
リーシャが怒りながらそう言う。
プロポーズしてないのに良いのかな?
リーシャの発言にそう思っていると、
「いい凡人!よく聞きなさい!」
女の子が俺の前に来て声を出す。
ちょっと声が大きいな。
「私はコレット・サンレアン!サンレアン王国の第二王女よ!!」
胸を張って言った。
え?
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