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初代勇者を腕に  作者: 雪羅
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侵入

俺がそう思っていると、魔法使いが杖を構える。

そして、


「清らかな生命の水よ、我が手に集いて敵を貫け‥」


再び詠唱を開始する。

それと同時に、俺は魔視を発動して魔素を確認する。

俺は目の前にある魔素を霧散させて準備をしておく。

すると、


「我が名はエグモント、水を操りし者!水冷閃!」


魔法使いの水魔法が俺に放たれる!

そして、一瞬で俺の元に来た瞬間に魔法は魔素が無くなった事で魔法が掻き消える!

その瞬間、


「ぐはぁッ!」


俺はちょっと大きな声を出しながら、後ろに少し跳びながら地面に倒れる。

演技が下手だからバレるかもしれないと今になって思う‥。

すると、


「イヤッ!」


アウレーテさんの悲鳴が聞こえる。

それは俺の事かな?

俺がアウレーテさんの悲鳴の意味を考えていると、


「ふはは!魔法使いである私に逆らうからだ!これで終わりではないぞ!水を使った拷問をしてやる!」


魔法使いが高笑いしながらそう言っている声が聞こえる。

今、気絶しているフリをしているから目を瞑っていて皆の事が見えないが…。


「起きろ、使えない者達め!」


俺が目を瞑って静かにしていると、魔法使いの怒っている声と水が落ちる音が聞こえる。

すると、


「ぶはッ!こ、ここは!」


俺が殴った男の声が聞こえた。

どうやら魔法使いが水を使って強制的に起こしたようだ。

地面の砂が擦れる音がする。

おそらく、地面に倒れていた男が立ち上がったんだろう。

それから同じ音がもう一回する。


「いつの間にやられたんだ…」

「お前もか…。ちくしょう…。帰ったらどうなるか」


男達のそう言う声が聞こえる。

すると、


「お前達の処分は後で決める!もう帰るぞ!今日は2人も手に入れられたんだからな。その男も連れて行くぞ」


魔法使いの声が聞こえる。

良し、計画は成功している。

俺が心の中でガッツポーズをしていると、


「コイツの所為で、帰ったら何されるか分かんねえ…」

「クソ、この野郎!」


男のイラついた声が聞こえた!

これはマズイ!

俺はこれから起きることを察して魔素を圧縮して体を覆う。

すると、魔素が体を覆った瞬間に少し押された様な感覚が伝わる。


「いてぇ!何だコイツの体!金属並みに硬いぞ!」


どうやら、殴られたか蹴られた様だ。

魔素で防いだお陰で、痛みは全く感じないな。

むしろ、攻撃した方が痛みを感じている。

その後、俺の事を攻撃しても意味がないと判断したのか、突然体を襲う浮遊感!

どうやら、どちらかの男に担がれている様だ。

その後、何かに乗って移動を始めた。

馬車なのか分からないが、ユラユラガタガタ揺られながら移動して行く。

俺は横に乱雑に置かれて少し体勢が辛い。

そう思っていると、誰かが俺の左手を握る感触がした。

男達が俺の手を握る事はありえないから、ヨハナさんかアウレーテさんなのだろう。

そうして左手を誰かに握られながら、俺達は水の魔法使いの本拠地に連れて行かれた。

乗り物が止まると、左手の感触が消える。


「女2人と男で牢を分けておけ。その女たちの味は夜に味わう」

「「わかりました」」


その声が聞こえて、1つの足音が遠ざかっていく。


「こっちへ来い」

「大人しく付いて来い」


男達がそう言うと、俺はまた浮遊感に襲われる。

さっきの言葉はヨハナさんとアウレーテさんに言った様だ。

そうして、少しの間歩いて行くと、音が反響する場所に来たようだ。

少し嫌な匂いがする…。

そうして少し歩いて行き、金属の擦れる音がすると俺は地面に投げられて、また金属の擦れる音がして鍵を閉める音がする。

それと同時に別の所でも同じ音がして、2つの足音が遠ざかって聞こえなくなる。

すると、


「どうしよう…このままじゃ私達…」

「気を強く持つの…頑張ろう…」


ヨハナさんとアウレーテさんの声が聞こえる。

2人共涙声で、互いを励まし合っている。

さて、行動するか。

俺はそう思うと、目を開けて体を起き上がらせる。


「「ッ!?」」


ヨハナさんとアウレーテさんの短い悲鳴が聞こえたが、今は気にしないで周りの状況を観察する。

金属で作られた牢屋が4つあり、その中に俺、ヨハナさんとアウレーテさんと入れられている。

牢屋の金属は魔翔剣で斬れるし問題ない。


「あ、貴方。いつから起きてたの?」


すると、ヨハナさんが俺におずおずと質問してくる。


「最初からですよ。魔法使いの攻撃自体当たってませんからね」


俺はヨハナさんにそう言うと魔素を圧縮して魔翔剣を作り、牢屋の南京錠を斬り裂く。

金属の落ちる音がして、俺は牢屋を開くと、


「1人で逃げないよね?」


ヨハナさんが俺にそう聞いてくる。

本当なら連れて行きたいが、何の装備も付けていない2人を連れて行くのは大変だ。


「すみません。少し周りの様子を見てから迎えに来ます」


俺がそう言うと、ヨハナさんとアウレーテさんの表情がショックを受けた様な表情になる。


「だ、大丈夫です!ちゃんと迎えに来ますから!」


俺がそう言うと、


「…信用できない」


ヨハナさんが俺にそう言う‥。

ど、どうしよう…。

俺はヨハナさんをどうやって説得しようか考えていると、


「行って下さい。私は…信じて待ってます」


アウレーテさんが俺の事を真っ直ぐ見てそう言ってくれる。

そして、


「早く行って下さい。ヨハナの事も任せて下さい」


俺にそう言ってくれるアウレーテさん。


「お願いします!」


俺はそう言って歩き出して牢屋部屋?から外に繋がる扉を開ける。

すると、階段がある。

それを物音を立てない様に上っていくと、狭い空間に出た…。

明かりが見える故に、外に繋がっているのだろうか?

そう思いながら明かりの方へ行き、ゆっくりと顔を出してみる。

そこに広がっているのは、大きな空間だった。

そして、そこで掃除をしている薄い衣類を着た女性達が目に映る…。

この人数の目を誤魔化すには…。

俺は周りを見ながら考える。

すると、シャンデリアが天井から吊るされている。

俺は魔翔剣を作って飛ばし、シャンデリアの一部を斬る!

魔翔剣で斬られた部分が落ちてくるのを見ながら、俺は脚に魔素を纏って一瞬で移動できるように準備する。

そして、シャンデリアの一部が落ちた瞬間、音が室内に響く!

その音に反応して、掃除をしていた女性達が落ちた物に注目する。

その一瞬の隙に、俺は2階に駆け上がって身を潜める。

これは…凄く大変だぞ…。

俺はそう思いながら、近くの部屋に身を忍ばせた。


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