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初代勇者を腕に  作者: 雪羅
263/430

魔法使い

注意

今回の話から、読まれる方からしたらムカムカ、イライラする場面が多々あると思います。

心の準備をしてから読んで下さると、ありがたいです。

ヨハナさんの言葉を聞いて、俺は固まる。

バルナルド・ヴィリヴァ、俺がこっちの世界に来るために使っている扉の製作者。

その末裔という事は、あの扉の事も知っているかもしれない。

となると、俺が向かうべきところは帝都という事か。

俺がそう思っていると、


「もうこんな夜が更けてる。アウレーテさん、今夜泊まっても良いですか?」


ヨハナさんが外を見てアウレーテさんにそう言う。

俺はこれから戻るのはな…、野宿でもするか…。

そう考えていると、


「あの…シュウさんも泊まっていきますか?」


アウレーテさんが俺にそう聞いてきた…。


「ま、待ってアウレーテさん!この人も泊めるのは流石に…」

「でも、また襲われるかもしれないから、せめて今日の夜は見張りも兼ねて泊まっていって欲しいの…。部屋も空きがあるし…」


ヨハナさんがアウレーテさんの意見に反対しようとすると、更にアウレーテさんが意見を言って、ヨハナさんを黙らせた…。

結局今夜はアウレーテさんの家に泊まる事になり、今俺は通された部屋のベッドに横になっている。

これからする事は決まった。

帝都に行ってバルナルド・ヴィリヴァの末裔に会う。

出来れば扉を見て貰いたいが、牢獄に入れられてしまっているならそれは難しいだろう。

それに、水の魔法使いの事も気になる。

雷の魔法使いの事も気にはなるが、これ以上聞くと怪しまれてしまうだろうしな…。

帝都に行ってからまた情報集めをしないといけないな…。

俺はそう思いながら、睡魔に負けて意識を手放した。

翌朝、俺は良い匂いに釣られて目を覚ます。

部屋を出ると、料理をしているアウレーテさん。

この光景だけ見れば、平和な日常なんだがな…。

現実は水の魔法使いに怯えて生活している様なものだろうからな。

そう思っていると、


「あっ、おはようございます」


アウレーテさんが俺に気づいて挨拶をしてくれる。


「おはようございます。何か手伝う事ありますか?」


俺がアウレーテさんにそう聞いた瞬間、


「大変よ!」


扉が思いっきり開いて、外からヨハナさんが飛び込んでくる!

俺とアウレーテさんは突然現れたヨハナさんを見たまま固まる。

だが、


「え、えっとヨハナ?どうしたの?」


俺より先に回復したアウレーテさんが、急いできたのか息切れしているヨハナさんの元に行きそう聞く。

すると、


「大変なの!魔法使い様が来たの!早く外に出ないと!」


ヨハナさんはそう言って、アウレーテさんと俺の手を掴んで俺達を外に連れ出す!

それから少し村の中を走り抜けて、村の中央を通る道に行く!

すると、俺が目の前に広がるのは少し広い道の両端に村の人達が衣類の汚れなど気にしない様に、正座で座っている。


「…これって…」


俺はあまりの光景に言葉が出せずにいると、


「ほら座って!」


ヨハナさんの手によって強引に地面に正座させられる。


「どういう事なんですか?」


俺は声を抑えて隣に座っているヨハナさんに問いかける。


「…決まってるでしょ。魔法使い様が来たら、こうやって出迎えないといけないの」


小声で俺にそう言ってくるヨハナさん。

こんな…商品みたいな扱いが許されるのか…。

俺は静かに怒りを感じる…。

地面を見つめて左手を握りしめていると、周りの人達が少しざわつき始める。

頭を上げて大通りを見ると、少し遠い所から人が見えてくる。

人数は4人だが、1人は四つん這いで動いている様に見える。

そして、4人の人達がこちらに歩いてくると、村の人達が頭を下げて土下座をしていく。

その様子を見ていると4人が歩みを止めて、頭を下げている女性に近づく。


「あれは何をしてるんですか?」


俺が小声でヨハナさんにそう声を掛けると、


「…奴隷の品定め。…今日連れて行く奴隷を選んでるの」


ヨハナさんが顔色を悪くしながら説明してくれる。

すると、


「大丈夫かい?」


向こうの人達に気づかれない様にローラントさんがやって来る。


「ローラント…」


ヨハナさんもローラントさんが来た事に少しだけ安心している様だ…。

ローラントさんはゆっくりと移動して、座っているヨハナさんとアウレーテさんの間に座る。


「今回は…何人連れて行くんだろうね…」


彼はそう言いながら、村に人達を見ながらゆっくりとこちらにやってきている。

そうしていると、周りの人達が震えている。

あぁ‥これはバルナルド・ヴィリヴァの末裔を探すのは後だ。

やるべき事は、この村と魔法使いの状況をどうにかしないと…。

そうしている内に、魔法使いたちの姿が見えてきた。

村の人達を見ているのが魔法使いだな。

左手で杖を持ち、下卑た笑みで村の女性を見ている。

そして、右手には鎖が握られており、鎖のその先は四つん這いで移動している男性の首輪に繋がれている。

格好は貴族の様に立派な服を着ているが、体系が太めの所為で不格好さが際立っている…。

そして、彼の一歩後ろを歩いている2人はフードを被っており、顔は見えない。

だが、魔導剣を腰に下げているのは確認できる。

護衛とかなのだろう…。

俺はそうして魔法使い達を観察していると、ヨハナさんやアウレーテさん、ローラントさんが頭を下げてる。

俺も変に疑われない様に頭を下げる。

どうすれば村の皆を救う事が出来るだろうか…。

俺は頭を下げながら考える。

まず、魔法使いをどうするかだが、これは今の所保留しよう。

改善の余地があればその方が良い。

もし改善の余地が無かったら…、その時は俺がやるしかない…。

だが魔法使いがいなくなったらこの村が危険になるんじゃないか?

俺がそう考えていると、


「中々好い女がいるではないか」


俺のすぐ傍で、そんな声が聞こえた。

隣を見ると、魔法使いはヨハナさんとアウレーテさんの事を見て笑っている…。

魔法使いに目を付けられたヨハナさんとアウレーテさんは表情を暗くして、ただ震えているだけ…。


「2人、立て」


魔法使いはヨハナさんとアウレーテさんにそう言う。

すると、ゆっくりと立ち上がる2人。


「今日はこの2人にするか。げっへっへ」


どうすれば良い…。

このまま2人が連れて行かれるのを座って見てる訳にはいかない。

そこで俺は思いついた。

2人と一緒に俺も連れていって貰えればいいんじゃないかと。


読んで下さってありがとうございます!

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誤字脱字がありましたら、感想などで教えて下さい。

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