情報収集
森から帰り、俺達は解散となった。
討伐の報酬は後日という事らしい。
俺は1人、山小屋に帰ろうか考える。
すると、
「あの…すみません」
俺が1人で考え事をしていると、突然後ろから声を掛けられる。
振り返ると、ヨハナさんと連れ攫われそうだった女性が俺の後ろにいた。
「えっと…無事で良かったですね」
俺がそう言うと、女性が頭を下げて、
「助けて頂き、ありがとうございます」
俺にお礼を言ってくる女性。
「いえ、それよりも少し聞きたい事があるんですけど」
俺がそう言うと、頭を上げる女性。
「な、何ですか?」
「あの時、貴女を攫おうとしていた人達は何か言っていましたか?」
俺がそう聞くと、女性は思い出すような考え込むような表情をする。
そうして少しの間女性の言葉を待っていると、
「そう言えば、もう1人連れて行く人がいると言っていました」
そう言う。
つまり、この人の他にもう1人連れていく人がいたという事か…。
そして魔素の反応を見ると、水の魔石を使用されていた…。
「1つ、2人に聞きたい事があるんですけど…」
俺がそう言うと、2人はキョトン顔になる。
「何ですか?」
「…何を聞きたいの?」
俺にそう聞いてくる2人。
「水の魔石を使う時って、どういう時ですか?」
俺は少し遠回しに聞いてみる。
すると、2人の顔が曇る。
「水の魔石は市場にも出て無いものです。水の魔石を使えると言う事は…水の魔法使い様の従者や関係者って事です」
女性が俺にそう言ってくる。
つまり…あの2人組は水の魔法使いの関係者って事だろう…。
俺はそう考えて、何であの2人組があそこに居たのかを考える。
偶然あそこに居るとは考えられないし、何より連れ攫われそうになった女性が聞いた言葉は計画された事だと確信できる。
となると、巨鬼の討伐を促した人物なのだが…。
俺はそう考えて、
「今回の討伐は、誰が行おうと言ったのかわかりますか?」
2人にそう聞くと、
「そんなのローラントに決まってるでしょ」
「はい。団長でした」
ヨハナさんが当たり前のようにそう言い、女性の方もヨハナさんの言葉に頷く。
やはり、団長であるローラントさんが怪しくなるな…。
そう思っていると、
「ヨハナ!アウレーテ!」
まさかのローラントさんが俺達の元にやって来る。
「ローラント…これから少しは森に行くのを気を付けた方が良いわよ」
「そうだね。団員達に伝えておくよ」
ヨハナさんがローラントさんにそう言う。
流石に知り合いが危ない目にあったという事で、ローラントさんと話している時の顔も真剣な表情をしている。
「それにしても…」
俺がそう思っていると、ローラントさんが俺の事を見てくる。
「君は強いんだね。巨鬼を1人で倒す事が出来るなんて」
ローラントさんがそう言うと、ヨハナさんと女性が俺の事を見てコクコクと頭を振る。
「そんなに凄い事じゃないですよ。俺より強い人を知ってますからね」
俺はそう言い、リーシャやアル、怜華さんのことを思い浮かべる。
「そうなのか…。世の中は広いんだね」
ローラントさんは俺の言葉を聞いて笑う。
それから、ローラントさんは俺達に挨拶をして去っていった。
俺もとりあえず山小屋に帰ろうと思っていたら、
「あ、あの…お礼をしたいので食事でもどうでしょうか?」
女性が俺にそう言ってくれる。
う~ん…、ここでこの人からも色々と情報を聞くのも良いかもしれないな。
俺は少しオドオドしている女性を見てそう考えて、
「じゃあお言葉に甘えて頂きます」
そう言うと、女性が安心した表情をする。
すると、
「ア、アウレーテと貴方の2人なんて不安だから私も一緒に良い?」
ヨハナさんが俺と女性に言ってくる。
そういえば、この女性と自己紹介してないな。
俺はそう思い、
「挨拶が遅れましたね。シュウって言います」
女性にそう言うと、彼女はハッとして、
「こちらこそ遅れてしまいすみません!アウレーテと言います」
頭を下げながら俺にそう言ってくる。
その後、俺達3人はアウレーテさんの家に行き、彼女の料理をごちそうになった。
そこはまた魔石が使用されており、火を点けるのは魔石を使うのが普通らしい。
ルリィ達が料理をする時って、魔法で火を使ってるからな…。
今はアウレーテさんの料理を食べ終わり、食後のお茶を飲みながら話をしている。
「皆、火の魔石を多く使っていますね」
「便利だし、安いんです。火の魔法使い様は、他の魔法使い様と違い、消費者に安く提供してくれるんです」
俺の質問に、アウレーテさんがそう答えてくれる。
アウレーテさんの言葉を聞くと、火の魔法使いの人は良い人なのだろう。
「水の魔法使い様が特別酷いって訳じゃないんですか?」
俺がそう聞くと、2人は俺の方に顔を近づけてくる。
どうやら小声で話さないといけないようだ。
俺も2人に顔を近づける。
近くで見ると2人共、美人だな。
そう思っていると、
「噂では、他の魔法使い様も異常らしいの。水の魔法使い様は性奴隷をここや他の村で飼育して、自分で楽しむ変態。雷の魔法使い様は拷問が好きらしくて、自分の機嫌が悪い時や自分の意に反した人とその家族を拷問する残虐な人らしいの。聞いた話だと趣味は公開拷問と公開処刑って聞いた」
ヨハナさんがそう教えてくれる。
ヨハナさんの言葉を聞いて、アウレーテさんも頷いている。
どうやら、こっちの世界の魔法使いは相当酷い様だ…。
「あ…それともう1つ聞きたいんですけど良いですか?」
俺がそう聞くと、2人が更に顔を近づけてくる。
いや、これは内緒話じゃなくても良いんだが…。
俺はそう思いつつ、
「魔導具を作る最高の職人とかいますか?」
2人に質問すると、2人は俺から顔を離す。
俺も元の位置に座り直すと、
「帝都に、1人心当たりがある」
ヨハナさんが、そう呟く。
帝都?
言葉的には栄えているし、職人も多いのだろう。
俺は1人で納得していると、
「バルナルド・ヴィリヴァの末裔が、帝都で虚言を吐いたって牢獄に入れられているらしいわ」
ヨハナさんが、真剣な表情で俺にそう言った。
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