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初代勇者を腕に  作者: 雪羅
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討伐

ヨハナさんの後ろを歩きながら、俺は辺りを警戒する。

森に入ってから夜になってしまって、周りを見るとヨハナさんと同じように魔導剣に炎を纏わせて松明の代わりにしている人達が見える。

俺は魔視を発動して、辺りを見渡す。

すると、魔導剣の面白い魔素の動きが見えた。

柄の部分は魔素が赤くなって火魔法を使っているのが分かる。

だが、それ魔素は刀身に炎が宿っていると、柄の部分の赤い色をした魔素がどんどん薄くなっていく。

おそらく、あれが魔石の限界と言う事だろう。

あの魔素の色が普通に戻ってしまったら、魔石を消費したことになるんだな…。

俺がそう思っていると、


「…どう思う?」

「え?」


前を歩いていたヨハナさんが、周りを警戒しながら声を駆けてくる。


「…これだけの人数なら、誰も犠牲にならないで巨鬼を倒せると思う?」

「そうですね。しっかりと連携が出来れば大丈夫だと思いますよ」


俺がそう言うと、ヨハナさんが止まる。


「…前回の討伐の時も、連携は出来てたよ。でも1人いなくなっちゃった…」


その言葉に、俺は後悔する。

無神経な事を言ってしまった…。


「すみません。無神経な事を言いました」


俺がそう言った瞬間、右側の方から叫び声とバシュッという音と共に火の玉が夜空に飛んだ。


「あっちか!」

「速く行くぞ!」


周りの人達もそう言いながら走り出す!

ヨハナさんも走り出す。

ここで目立つのは得策では無い…。

だけど、目の前の人達を救えなかったら皆を護る事すら出来ない…。

俺のやる事は決まっている。

目の前の人達を護る事だ!

俺はそう思い、魔素を操って脚に纏わせると、一気に加速する!

先に走り出していたヨハナさんと他の人たちを追い越して、一気に森の中を突き進む!

すると、見えた!

前回に遭遇した魔獣、巨鬼の姿を捉える。

俺はヴァレオさんのお店から借りた魔導剣を鞘から引き抜き、引金に指を掛けておく。

そう言えば、この魔導剣は引金を引くとどんな効果があるんだ?

俺はヴァレオさんに肝心な事を聞くことを忘れてしまった…。

そう思いながら、俺は意を決して引金を引く!

すると、炎が魔導剣の刀身を覆う。

どうやら、他の人達と同じようだな…。

俺はそう思うと、走ったまま剣を構える。

そうすると、巨鬼の方も近づいてくる俺に気づいて咆哮する!

その咆哮を聞いて、周りの人達が身を引く!

その瞬間、俺は魔素を操って炎の火力を上げる!

周りの人達の魔導剣よりも、遥かに上回った炎を纏った魔導剣が巨鬼の体を傷つける!

だが、傷口が浅い!

俺は勢いに乗って更に攻撃を繰り出そうとするが、巨鬼の振るった腕を避けるために一度距離を取る。

わずかに斬られた程度じゃどうにも出来ないか…。

俺がそう思っていると、


「貴方!連携を無視しないで!」


少し巨鬼から身を引いていた女の人が俺にそう言ってくる。

だが、俺は連携を知らないんだよな…。

俺がそう思っていると、巨鬼が咆哮する。


「ひっ…」


俺に注意してきた女性が、巨鬼の咆哮にひるんでいる。

すると、恐怖で動けなくなっている女性に攻撃しようとする巨鬼!

仕方ない…。


「…魔人化」


俺はそう呟いて魔素を体に浸透させると、一気に加速して巨鬼の体に突進して吹き飛ばす!


「早く逃げて下さい!」


俺が後ろにいる女性に大きな声でそう言うと、女性は何とか立ち上がってフラフラと俺が走って来た方向に歩いて行く。

すると、巨鬼が女性が逃げた事で巨鬼の獲物が俺に移る。


「さてと…」


俺は1人でそう呟き、魔導剣を抜く。

それと同時に魔導剣に魔素を纏わせて、魔翔剣を作り出す。

これなら、剣で倒したという事が出来るな…。

俺はそう思って、一気に巨鬼に攻撃を仕掛ける!

それからは速かった。

巨鬼の攻撃は単純であり、これでも様々な者達と戦ってきた俺にしてみれば問題は無かった。

どちらかと言えば大変だったのは、周りの人達の目を騙す為に色々工夫する方が大変だった…。

すでに巨鬼は塵になって、後に残ったのは大きい死石だけ。

そうしていると、


「…貴方、そんなに強かったの?」


いつの間にか追い付いていたヨハナさんが、驚いた様子で俺の事を見ている。


「う、腕には自身があるんですよ!片腕ですけど…」


俺がそう言って笑うと、ヨハナさんや他の人が固まっている。

すると、


「まさか君がこんなに強いと思わなかったよ。これで俺達の生活は安泰だ」


ローラントさんが俺の元に来て、そう声を掛けてくれる。


「は、はぁ。ありがとうございます?」


俺がそう言うと、ローラントさんは辺りにいる皆に指示を出していく。

その瞬間、俺は魔素の異常な動きを感知する。

森の奥を魔視を発動して見ると、青色の魔素が見えた。

青色…水。

俺は走り出すと、


「ちょっと!勝手にどこに行くの!」


ヨハナさんが俺に声を掛けてくる。

だが、彼女の言葉を無視して俺は森の奥に走って行くと、人影が見えた!

何かを運んでいる様で、2人の人影が暴れている1人の人影を押さえ付けようとしている。


「そこで何をしてるんだ!」


俺が走りながら声を出すと、2人の人影が俺に気づいて何かを使おうとしている!


「魔拳!」


俺は魔素を圧縮して右腕を作り、応戦しようとする!

だが、


片方の人影がもう1人の人影を止めるようにすると、大人しく更に森の奥に走って行ってしまう。

追いかけたいが、今は何かされていた人を助けるのを優先するべきだ。

そう思い、


「大丈夫ですか?」


地面に倒れ込んでいる人の元に行くと、


「や、止めて…」


聞いた事のある女性の声だ。

俺は魔導剣を抜いて引金を引くと、剣の刀身を炎が覆う。

真っ暗な森に光が点くと、女性の姿が見える。

その女性は、巨鬼と戦っている時に俺に怒ってきた女性だった。


「安心して下さい。俺は貴女に危害を加えるつもりは無いです」


俺がそう言うと、女性は改めて俺の事を見て少しづつ落ち着いてくる。

すると、


「何してるの!…って、アウレーテさん!」


ヨハナさんが俺の後を追って来ていた様で、俺と女性の所に来る。

どうやら知り合いのようだ。

女性もヨハナさんが来た事で本当の意味で落ち着いてようだ。

その後、他の団員の人達も集まって来て、いつ襲われるか分からないという事で周囲を警戒しながら村に帰る事になった。


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