依頼
話が進んでいきます。
リーシャとイチャイチャして1日を過ごしてた次の日、2人で冒険者ギルドに来ていた。
中に入ると冒険者達がざわざわと騒いでいる。
「どうしたんだろう?」
「何かあったのかしら?」
周りの冒険者を見ながら受付に行く。
受付嬢の人も忙しいのか俺とリーシャに気づかないのか書類と睨めっこしている。
「すみません」
「ん~~~~~」
声をかけてもダメなようだ。
仕方なく受付嬢の肩を叩く。
「ひゃあ!!な、何??」
「すみません。何かあったんですか?皆、慌ただしいから気になって」
「は、はい。実は正体不明の魔物のせいで護衛の依頼が入ったんです。ですが護衛の依頼が難しいのと、正体不明の魔物が危険な魔物の可能性があり、誰が依頼を受けるかで揉めているんです」
正体不明の魔物か。
「何でその正体不明の魔物が危険ってわかるんですか?」
「実はここから少し離れた所にある森で魔物同士の戦闘があったようなんですよ」
「魔物同士で?」
「はい。多分縄張り争いだと思います。片方はオーガなんですけど、オーガが亡骸で発見されたんです。しかも亡骸はボロボロだったそうです」
ん?森でオーガ?オーガはボロボロ?
「そして、森の一部は氷漬けだったそうです。これは相当強力な魔物があの森にいるみたいなんですよ」
森が氷漬けか。
「ちょっとすみません」
「は、はい」
俺とリーシャは受付嬢から少し離れてコソコソと話す。
「ねぇ、リーシャ。さっきの話って…」
「私達ね」
「やっぱりか~」
「まあ、私に任せなさい!」
大丈夫かな?
リーシャはそう言って受付嬢の所に行く。
その後に俺も付いていく。
「ギルド長はこのことは知ってるの?」
「はい。もちろん」
「じゃあ、私達をギルド長に会わせて。どうせあの男のことだから私達は通しても良い事になってるんでしょ?」
「はい、そうです。どうぞ」
そう言われて受付嬢は俺とリーシャを奥に通してくれる。
一昨日と同じように扉をノックする。
「どうぞ」
部屋から声が聞こえて2人で入る。
「おはようございます。今日はどうしましたか?」
「白々しいわね。フェリアン、森での事で話があるのよ」
「正体不明の魔物の話ですか?心当たりがあるんですか?」
「えぇ、だってオーガを倒したのはシュウですもの」
え!?
「ほう、あなたですか」
「い、いや。リーシャも一緒だったんですよ」
「でもあれはシュウが倒したじゃない」
正確にはリーシャと一緒にね!
「なるほど。なかなか逸材ですね」
「そうよ。そこで提案よ。護衛の依頼が入ってるんでしょ?」
「はい。王女様の護衛です」
「それ、シュウが受けるわ」
「ちょっとリーシャ!」
「ふむ。それはリリアーナ様もご同行されますか?」
無視しないで…
「当たり前よ」
「なら安心ですね。では、この王女護衛依頼はリリアーナ様とシュウさんにお願いします」
流石初代勇者、信頼されている。
「で、その王女様は?」
「今日のお昼頃に出発するのでそれまでに準備をしてください。集合場所は町の門前です」
「わかったわ。行きましょシュウ」
「う…うん、失礼します」
そう言ってリーシャとギルド長室を後にする。
受付の所に戻ってくると一昨日見た3人組が言い争っている。
「師匠やりましょうよ!師匠ならどんな魔物だって殺せますよ!」
「駄目だ。俺1人なら依頼を受けるがお前はまだ実力がない」
「ヤニック、何故そんなにこの依頼がやりたいんですか?」
「俺は強くなって偉くなりたいんですよ!」
どうやら依頼の事で揉めているようだ。
「シュウ、お昼までに準備をするわよ」
「うん」
リーシャと一緒にギルドを出ようとすると、
「あぁ!お前!」
ヤニックさんが俺を指さす。
「テメェ新人!女と一緒にギルドにきて生意気な奴だな!」
前にも同じこと言われたな。
面倒くさいなぁ。
「いい加減にしろ」
あ、殴られた。
「し、師匠…」
「ヤニック」
「うっ…はい」
ザールさんに怒られてしぼんでいくヤニック。
「すまんな」
ザールさんが謝って外に出ていく。
それに続いてヤニックさんとアルベールさんも外に出て行ってしまった。
「あの男、シュウの事馬鹿にして!…殺しちゃおうかしら」
リーシャが勇者とは思えない事を言っている。
「駄目だよリーシャ」
「わかってるわ。それより買い物よ」
「買い物?」
「そう、食料や回復薬とか。あと、シュウの防具も買いに行きたいわね」
「俺の?」
「流石に普通の服で護衛の依頼をするのはダメよ。信用問題ね」
なるほど。
護衛するのに護衛する人間が防具をしていないのはおかしいな。
「さ、さっさと買い物しちゃいましょう」
「あ、うん」
そう言ってリーシャと俺はギルドを出た。
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