いざ、異世界へ
アルの言葉で俺達はすぐに帰る事になり、リーシャの転移魔法で家に帰った。
家に帰ると、ルリィとエルミールさん、リザベルトさんとエルネットさんが出迎えてくれた。
それからアルがルリィに家にいる皆を食堂に集めてと頼み、家にいた全員が食堂に集まった。
皆出かけてなかったらしく、食堂には家に住んでいる皆が集合した。
「それで、どうしたんですかアルさん?」
怜華さんが皆を集めたアルにそう聞く。
「実はだな、オレには長年追い求めていた事があったんだ。今まで手掛かりを見つけても進歩しなかったんだ。でも、シュウのお陰で進展があったんだ!」
アルがそう言うと、皆が拍手をする。
「だが、次の問題が発生した。それは、オレには出来ない事なんだ。シュウにしか出来ない」
アルの言葉を聞いた皆の動きが止まる。
「それって…詳しく説明してもらえませんか?」
すると、真海ちゃんが手を上げてアルにそう言う。
その後、アルの詳しい説明が始まった。
グリニオン帝国にある扉の事、その扉を開けるのに四苦八苦した事。
そして、その扉を開ける事に成功した事。
だが、その扉の先に行けるのは俺だけだという事を説明した。
その結果、
「駄目です」
怜華さんの言葉にアル以外の皆が一斉に頷く。
何だろう、俺ってそんなに1人で出歩いちゃ駄目なの?
俺がそう思っていると、
「そこで皆に提案がある」
アルが皆の事を見ながらそう声を出す。
そして、
「シュウが扉の向こうに行く時に、シュウと一緒に行く事にするのはどうだ?」
アルがそう言う。
だが、皆はアルの言葉にキョトンとしている。
俺もそれで皆がアルの意見に賛成するとは思えない…。
「皆分かっていないようだがこれは凄い重要だぞ」
アルがふっふっふと笑いながら皆の事を見る。
そんなに重要なのだろうか?
俺がそう思っていると、
「シュウが向こうに行く時はシュウともう1人だ。そして、シュウが帰って来るまで待っていれば、その後は家の中で2人っきりになるんだぞ」
アルはそう言う。
その瞬間、皆の表情が変わった!
キョトンとした表情をしていた皆の顔が、アルの言葉を聞いた瞬間に人の目ってこんなに光り輝くのかと思ってしまう程、瞳が輝いている。
「どうする皆?これを逃したらシュウと2人っきりになれる機会なんてなかなか無いぞ」
そして、
「良いでしょう」
怜華さんが落ちた。
怜華さんの言葉に続いて、皆が頷く。
だが、
「私は反対よ」
リーシャだけは首を縦に振らない。
「リーシャはシュウと離れるのがそんなに嫌なのか?」
アルが少しニヤニヤ笑いながら、顔をしかめているリーシャにそう言う。
「当り前でしょ?シュウがいなくなって1ヶ月。そして再会してから数日なのよ」
リーシャがそう言うと、
「まぁな…。リーシャの言いたい事もわかる」
アルがリーシャにそう言う。
すると、
「柊ちゃんはどうしたいの?」
怜華さんが俺にそう聞いてくる。
怜華さんに言われた俺は、俺自身がどうしたいのか考える。
リーシャが離れたくない気持ちもわかるし、俺もリーシャと離れたくない…。
だけど、アルの協力をしたい‥。
「俺は…、扉の向こうに行きたい。リーシャと離れたい訳でも無い…。でも、アルの協力をしたいんだ。アルには助けてもらってばかりだし…」
俺がそう言うと、リーシャが俺の事を見つめてくる。
俺もリーシャの事を見つめ返す。
すると、まるで諦めた様にため息をつくリーシャ。
そして、
「わかったわ。シュウの意見を尊重するわ。でも…」
リーシャは俺にそう言うと、立ち上がって俺の所に来る。
そして、
「無理だけはしないで。それと約束して?無事に戻って来る事と、向こうの世界で女を増やさない事を!」
そう言ってくる。
何故だろう…後半の言葉の方が力強く聞こえたんだけど…。
そんなに心配なのかな?
その後明日から出発する事となり、俺は準備を始める。
準備と言っても、荷物の整理とかなのだが…。
そして皆は食堂で、誰から俺と一緒に行くのかと話し合いが続いている。
たまに聞こえるリーシャの声。
「そんな事駄目!」
「私だってしてもらった事ないのに!」
等々、色々な言葉が聞こえる。
それからはいつも通りに生活をして、皆で眠る事になった。
明日から俺が出掛ける所為か、いつも以上に皆がくっ付いてきた。
そして翌日、俺は皆に挨拶をしてリーシャの転移魔法でグリニオン帝国の家に着いた。
そして、一緒にいるのはリーシャだ。
「良いシュウ?この剣は何かを入れないと効果を発揮しないと私とアルが結論を出したの。下手に使おうとしないでね?それと向こうではシュウはただ1人の異世界の人間なのよ。正体が怪しいシュウは下手な事をしたらどんな目に合うか分からないのよ」
俺が扉を開けると、リーシャが俺の傍に来てそう言ってくる。
「うん。ごめんねリーシャ」
俺がそう言うと、頬を膨らませるリーシャ。
「本当よシュウ。どれだけ私が心配してると思っているの」
「…ごめん」
「でも、シュウを縛り付けたいとは思っていないわ」
俺にそう言ってくれるリーシャ。
「でも、お願いだから無理しないでね」
「うん。もうリーシャを悲しませるような事はしないよ」
俺はそう言って、リーシャの唇に自分の唇をくっ付ける。
「ん…」
リーシャは顔を赤くしながら俺から離れる。
「いってらっしゃい、あなた」
そう言って微笑むリーシャに、俺はドキッとする。
「行ってきます」
俺はリーシャにそう言って扉を通る。
扉を通ると、昨日見た家の中だ。
埃が積もっていて、長年人がここに来た様子は無い。
俺は家の中を歩き、外に繋がっている扉を開けようとして、
「ん?あれ?」
扉が開かなかった…。
少し力ずくで開けると、鈍い音をさせながら扉が開く。
どうやら、ここは山小屋の様だ。
辺りを見ると高度はある程度あり、崖の方に歩いて下を見ると森が広がっている。
異世界でも、変わった所は見られないな。
俺はそう思いながら魔視を発動する。
すると、魔素が確認できた。
「これなら、最悪の場合は魔素を扱う事が出来るな」
俺がそう呟いた瞬間、下の森の方で木々が倒れる。
そして、大きい蜂が見えた!
それと戦っている人の姿も!
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