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初代勇者を腕に  作者: 雪羅
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変わった剣

俺は椅子に座ってから少し混乱している頭を、深呼吸をして落ち着かせる。

とりあえず、本を読み進めてみよう。

俺はそう思って本に集中する。


「おそらく貴方がこの本を読んでいる頃、私はすでに死んでいるだろう。何も歓迎できない事を心苦しい。そこで机に上に置いてある剣を譲ろうと思う。この魔導剣は、私が1から作った物だ。バルナルド・ヴィリヴァが作る魔導剣、喉から手が出るほど欲しいと思う。ここに置いておくだけでは錆びてしまう。貰ってはくれないだろうか?その魔導剣は独自に開発した2つの魔術式を刻んだ物だ。いつ本が読まれているか分からないが、この剣を超える物はなかなか無いと思う」


俺はそこまで読み進めて、本から目を離して机に置いてある埃が積もった剣を見る。

改めて見ると、変わった形をしている剣だ。

刀身には何やら文字が刻まれており、柄の部分は面白い形をしている。

俺は腰に下げているポーチから布を取り出して剣を拭いてみる。

すると柄に付いているのはまるで、銃に付いている引金のようだ…。

しかもそれが2つも付いている。

俺は鞘は無いのかな?

と思いながら左手で魔導剣を掴んでみる。

思ったより軽い…。

俺はそう思いながら、柄に付いている引金に指を掛ける。

これ引いても弾とか出ないよね…。

少し不安になりながらも、人差し指に掛かっている引金を引くが、特に何も起きない…。

俺はどういう事だろうと思いながら中指に掛かっている引金を引く。

すると、柄から何かが出てくる!

俺は慌てて右腕の魔拳を作り出して、床に落ちそうになっていた物を空中で掴む。


「あ、危ない…」


俺は冷や汗を流しながらそう呟いて、魔拳で握っている物を見てみる。

すると、何かを入れるためか空洞になっている。

何を入れるんだろうと思うが、よく分からないのでとりあえず元に戻す。


「とりあえず、この剣と本を持って帰ってみるか」


俺はそう言って扉を見る。

扉は俺がここに来た時と同じ状態で、光で先が見えない。

だが変化が無いという事は、元のグリニオン帝国の家に戻る事は出来るだろう。

俺はそう思いながら扉を通った。

今度は痛みも無く普通に通る事が出来た。

すると目の前に涙目になっているリーシャと心配そうな表情をしているアルがいた。


「ただいま?」


俺がそう言うと、2人がいきなり抱き付いてくる!


「シュウ!大丈夫?何も危ない事起きなかった?」

「シュウ!大丈夫か?向こうには何があった?どうだった?」


リーシャとアルが俺にそう言ってくる。

2人共、柔らかいな~…。

俺はそう思った瞬間、気持ちを切り替える。


「大丈夫だったよ。俺よりこれを見てよ」


俺は2人にそう言って離れてもらい、扉の向こうから持って来た本と剣を2人に見せる。

すると、俺の手から2つ共消える!

見ると本はリーシャが、剣はアルが持っている。

は、速いな…。

俺はそう思いながら、本を開いては難しい顔をするリーシャと、剣を見て目をキラキラさせているアルを見て笑う。

それから少しの間、2人は手に持った物を見て何やら考えていた。

少しして2人は互いの持っている物を交換して、更に物を見て調べていた。

そして、


「何書いてるか分からないわ」

「何書いてあるんだこれ?」


リーシャとアルが本を見ながらそう言った。


「これは…」


俺は先程読んだ本の内容をリーシャとアルに説明する。

俺が説明し終えると、リーシャとアルがキョトンとした顔をしている。


「どうしたの?」


俺がそう言うと、


「シ、シュウ?どうしてこの文字が読めるの?」


リーシャがそう聞いてくる。

そういえば、そのことに関しては説明していないな…。

俺はそう思い、異世界に行く時に起きる頭痛の事も話した。


「なるほどなぁ…シュウの文字が読めることに関してはよく分かんねえが、俺達がこの扉を通れないのはわかったぞ」


すると、アルが俺とリーシャにそう言ってくる。


「どういうことなの?」


そして、アルの言葉にリーシャが食いつく。


「シュウの読んだこの本の内容が正しいなら、この扉は魔法を使える人を通さないってことだ。リーシャは魔法を使える。オレは体自体が魔法で出来てるしな。だが、シュウは魔法を使っていない。シュウは魔法使いではなく、魔素使いなんだよ」


アルが俺とリーシャを見ながらそう説明してくれる。


「そんなに違うものなの?」


俺がアルにそう言うと、


「当たり前だ。魔法を使うより魔素を使えるほうが凄いんだからな」

「シュウも知っている事だけれど、魔法と違って魔素は様々な使い方が出来るのも有利なことよ」


アルとリーシャがそう言ってくれる。


「となると、この扉の先にはシュウしか行けないってことか~」


アルがそう言いながら、扉を見つめていると、


「私は反対よ!シュウを1人で行かせる訳にはいかないわ!」


リーシャがアルに詰め寄り、そう声を出す。


「…まぁ、それはわかる」


そして、アルも不安げな表情で俺の事をチラリと見てそう言う…。

俺ってそんなに信用無いかな?

1人で静かに落ち込んでいると、


「別にシュウの事を弱いとか思っている訳じゃないのよ。ただ…、私がシュウの傍にいられないのが嫌なの」


リーシャが俺にそう言ってくる。


「オレも同意見だ。出来る限りシュウの近くにいたい」


アルも俺にそう言ってくれる。

良かった、信頼はされてい…。


「それにシュウ1人にしたら、また女が増えるかもな」


俺が安心した瞬間、アルの言葉に傷つく…。


「それは確実ね。…やはりシュウは1人で行かせる訳にはいかないわ」


そして、アルの言葉に頷くリーシャの言葉に追加で傷つく…。


「でも、この先の世界の事が知りたい…んんぅ~ッ!!」


だが、アルは扉を見ながら唸る。

すると、


「じゃあこうしましょ?この話を家に持ち帰って、皆と話し合いましょ?」


リーシャが唸り続けるアルにそう言う。


「…ッ!そうだな…。一度家に帰ってゆっくりと話し合おうじゃねえか」


リーシャの言葉を聞いたアルは、最初は顔をしかめていたが、何かに気づいたのかハッとしてリーシャの言葉に頷いた。

アルの表情を見て俺は思う。

大変な事になったんじゃないかと…。


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