本
その後、リーシャと2人で仲良く家に帰ったら…。
「柊ちゃん?どこに…行ってたの?」
怜華さんが仁王立ちして出迎えてくれた…。
「ただいま怜華さん。用事があってギルドに行ってたんだ」
俺がそう言うと、怜華さんはチラリと俺の隣にいるリーシャを見る。
そして、怜華さんは俺の傍に顔を寄せると俺の匂いを嗅いでくる。
「あの…流石に恥ずかしいんですけど…」
「クンクン…リーシャさんの匂いはするけど…、それ以外は大丈夫ね」
俺の傍でそう言った怜華さんは、俺から離れる。
すると、
「ん?おぉ!シュウとリーシャ!どこ行ってたんだよ!」
アルが俺とリーシャを見てそう言ってくる。
「ヴェルーズの冒険者ギルドに行ってたんだけど…。どうしたのアル?」
「例の扉の調査について話したい事があるんだよ」
俺の質問にそう答えたアルは、こっちに来いと手を振ってくる。
俺とリーシャと怜華さんはアルの元に行こうとすると、アルが歩き出す。
そのまま家の廊下を歩いて行き、アルの自室に辿り着いた。
アルが部屋を開けると、
「入ってくれ」
部屋に案内される。
俺達がアルの部屋に入ると、アルの部屋は結構散らかっている。
散らかっていると言っても、ゴミとかではなく様々な物が置かれているのだが…。
「ちょっとアル?流石にもう少し整理しなさいよ。足の踏み場が無いじゃない」
リーシャの言う通り、部屋の床はアルが歩いた所くらいしか歩けそうにない…。
「あ~…、その内にな」
アルもそれは自覚している様だが、微妙な返事をする。
「ルリィさんに手伝ってもらうとか出来ないのですか?」
怜華さんがアルにそう聞くと、
「出来れば手伝って貰いたいんだがなぁ~…。扱いに注意しないといけない物もあるんだよ」
アルがそう言う。
「そんな物あるなら、もう少し片付けなさいよ…」
アルの言葉に、リーシャがボソッと呆れたようにそう言う。
「ま、ベッドの上にでも座ってくれ」
アルの言葉に甘えて、皆がアルの部屋のベッドに乗ると、
「キツイわね」
流石に4人が乗るには狭い。
皆で密着する形になってしまう。
「これを見てくれねえか?」
アルはそう言って俺達に一冊の本を渡してくる。
その本は所々破れていたり、字が消えている。
「何の本なの?」
俺がアルにそう聞くと、
「あの扉の事に関してだと思うんだがな?不安だから2人の意見を聞きたいんだ」
アルがそう言ってくる。
「私は話が分からないわ…」
怜華さんが寂しそうな声を出す。
すると、
「レイカはこれを持っててくれ」
アルが怜華さんに何やら宝石の様な物を渡す。
怜華さんはそれを受け取り観察する。
俺が怜華さんを見ていると、
「シュウ、これを見て」
リーシャに声を掛けられて、リーシャが開いている本の中を読んでみる。
すると、そこに描かれているのは、あのグリニオン帝国で見た扉の絵だった。
本に描かれている扉の模様と、例の扉の模様が同じなのだ。
「アル、これどうしたの?」
俺が本から視線を外してそう聞くと、
「シュウ達と別れた後、あの扉に書かれたバルナルド・ヴィリヴァの足跡を辿ったんだ。そうしてたら色々と情報を得る事が出来てな」
アルが何やら作業をしながらそう言う。
「文字は読める文字が無いわね…。この世界の文字ではないって事?それとも文献に記されていないだけなのかしら?」
リーシャがそう呟きながらゆっくりとページを開いていく。
すると、
「あっ!これって!」
リーシャがページを開いた瞬間に声を出す。
そのページを見てみると、何やらいくつか魔法陣が書かれている。
「どうしたリーシャ?」
アルも突然声を出したリーシャが気になって話しかける。
するとリーシャは、開いている本をアルに見えるように傾ける。
傾けて見やすくなった本を覗いたアルは少しして、
「おいおい…」
そう声を出した。
だか、どういう事か分からない俺と怜華さんは互いの顔を見る。
「つまり、あの扉の先にあるのは…」
アルが何やら興奮した様子で呟く。
「あの…盛り上がっているのに悪いんだけど、どういう事なの?」
俺がおそるおそるそう聞くと、
「ここの魔法陣を見て」
リーシャが指差しながらそう言う。
俺と怜華さんはリーシャが指差している魔法陣を見るが、理解は出来ない。
「その魔法陣がどうしたのかしら?」
怜華さんがそう言うと、
「この魔法陣、転移魔法の魔法陣なの」
リーシャがそう答える。
その言葉を聞いて俺は、
「つまり、あの扉を…しっかりとした手順か何かで開けると、どこかに転移させられるって事?」
疑問に思った事をそう聞く。
「その通りよ。あの扉の先には、まだ私達が知らないモノが広がっているかもしれないの!」
俺の言葉を聞いたリーシャが興奮した様子でそう言ってくる。
「こうしちゃいられねえ!今すぐあそこに行って謎を解くぞ!」
アルはそう言って立ち上がる!
わ…ベッドが揺れる…。
「えぇ!私達が知らないモノが未だにあるなんて!」
リーシャもそう言って立ち上がると、2人は部屋を出て行ってしまった…。
アルの部屋に残された俺と怜華さんは2人の興奮した姿に少しの間呆然としていたが、俺の頬に怜華さんの手が添えられて意識が怜華さんに集中する。
「…柊ちゃん」
怜華さんはそう呟いて目を瞑り、顔を俺に寄せてくる。
俺も目を瞑って怜華さんに顔を近づけると、唇に柔らかいモノが当たる。
少しして、互いに顔を離す。
「柊ちゃんとキス…ふふっ」
怜華さんは顔をやや赤くして微笑みながらそう呟く。
その表情にドキッとする。
今度は俺が怜華さんにキスをしようと怜華さんの頬に手を伸ばした瞬間!
「シュウ!早く…行くわ…よ‥。何をしているのかしら?」
リーシャが戻ってきて俺と怜華さんの事を見ると、少し怒りながら俺にそう聞いてくる…。
「リ、リーシャ…」
俺がそう呟くと、リーシャが床に置いてある物を避けながら俺の目の前に来る…。
そして少し腰を曲げると、
「私にもシて」
俺にそう言ってくる。
リーシャの顔は俺の目の前にあり、すぐに出来る。
俺はリーシャの唇にそっと自身の唇を触れさせる。
少しして、リーシャから離れようとすると、リーシャの腕が俺の顔を掴んで延長させられる…。
その様子を見ていた怜華さんが、次は私とでも言う様にワクワクしていると、
「オレの部屋で何してんだ!?」
アルの絶叫と共に引き離された。
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