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初代勇者を腕に  作者: 雪羅
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伝言

新しい話に突入します!

アルの言葉を聞いて、俺は思い出す。

グリニオン帝国にあるあの異質の扉を…。

部屋の真ん中に佇んでいる不気味な扉、その先に続いているのはどこなのだろう…。

すると、皆がその話に興味を持ちアルに質問している。

アルもあの扉の事を嬉しそうに話している。

その後、朝食を食べている間はアルの例の扉の話やこれまで行った様々な場所の話をしていた。

皆もその話に凄く興味を持ち、朝食が終わった後も話は続いている。

皆あまり勝手に行動する事が出来ない人が多い。

それ故に、今まで旅をしてきたアルの話が面白いのだろう。

俺はそう思いながら、出掛ける準備をする。


「シュウ、どこに行くの?」


すると、リーシャが俺に声を掛けてくる。


「冒険者ギルドに行こうと思って。ザールさん達に挨拶しないといけないからね」

「私も行く」


俺がリーシャの質問に答えると、リーシャがそう言って俺の左腕に自身の腕を絡ませて来る。


「もう離れないって言ったでしょ?それに、皆アルの話に夢中だから今のうちに行きましょ」


リーシャはそう言って歩き出す。

俺も一緒に歩き出し、家を出る。


「…転移」


家を出た瞬間、リーシャが転移魔法を使って一瞬でヴェルーズ冒険者ギルドまで着く事が出来た。


「どうしたのリーシャ?いきなり魔法を使って?」

「早く行きたいかなと思って…。駄目だった?」


リーシャが俺のそう聞いてくる。


「そんな事ないよ!ありがとうリーシャ」


俺がリーシャにお礼を言うと、リーシャが俺の左腕から離れる。


「さ、行きましょシュウ」


リーシャにそう言われて、俺は冒険者ギルドの扉を開ける。

そして目の前に広がるのは…。


「イ・ヤ・ダ~!!」

「このまま連行しますわ。もう準備は出来てるんですもの。良いですわよね?冒険者ザール?」

「…どうぞ」


縄でグルグルに縛られて拘束されているヤニックが、サンレアン王国とは違う鎧を着けている騎士の人達によって運ばれている。

アンリーヌ様はほくほく顔だ…。

すると、


「ヤダ~!あッッ!!シュウ!シュウじゃねえか!」


ヤニックが、俺に気づいてそう声を掛けてくる。


「すみません。少し良いですか?」


俺はヤニックを担いでいる騎士の人にそう声を掛けると、騎士の人はアンリーヌ様の方を見る。


「…許しますわ」


アンリーヌ様は最初は俺の事を嫌そうな顔で見てきていたが、俺の事を思い出したのかハッとして騎士にそう言う。

すると、騎士の人がヤニックを地面に下ろす。

俺は膝を折って、うつぶせになっているヤニックの側にしゃがむと、


「シュウ!生きてたんだな!心配したじゃねえか!」


ヤニックが、俺にそう言ってくる。


「ごめん。ヤニックも無事で良かった」

「俺様を誰だと思ってるんだ!魔王を倒したヤニックだぜ!」


俺の言葉にヤニックは自信満々にそう言う。


「それとアルベールさんはいますか?」


俺がそう言うと、


「生きていて良かったです。と言っても、貴方は死なないと信じてましたけどね。それで、どうしましたシュウさん?」


ヤニックの額から光の玉の状態で出てくるアルベールさん。


「実は俺がいなくなった後色々ありまして、アキベカさんに会ったんです」


俺がそう言うと、


「……それは本当ですか?」


アルベールさんが少し低い声でそう聞いてくる。


「はい。少ししか話していませんが、伝言を預かっています。…其方は其方の生き方をしろ、と言っていました」


俺がそう言うと、


「あぁ…その口調と言葉、確かに彼の言葉です」


アルベールさんが先程とは違う優しい声でそう言う。


「ありがとうございますシュウさん」

「いえ、俺もたまたま会っただけですから」

「…会った所とか、詳しくは聞きませんよ」


アルベールさんはそう言うと、ヤニックの額に戻って行く。


「おいシュウ~…。助けてくれ~」


俺とアルベールさんの会話が終わると、ヤニックが俺に助けを求めてくる。

俺はうつ伏せになっているヤニックの肩に手を置いて、


「結婚おめでとう」


そう言う。

その瞬間、ヤニックの顔が絶望に染まる。


「嫌だ~!助けてくれよ!」


俺にぐいぐい近づいてくるヤニック。


「ヤニック、結婚は良い事だぞ。幸せだし…」

「それはシュウがいい女と結婚したからだろ!あの女を見ろ!結婚したら最後だ!」


俺の言葉を最後まで聞かないでヤニックがそう叫ぶ。

俺はギルドのの出入り口で待っているアンリーヌ様を見る。

堂々としており、流石は王族だ…。

すると、


「もう充分ですか?」


騎士の人が俺にそう聞いてくる。


「…はい。呼び止めてしまい、すみませんでした」

「いえ。…では失礼します」

「ヤダ~!」


ヤニックはどんなに暴れようと体を動かしても、縛られている所為でどうする事も出来ない。

そして、騎士の人に担がれたまま出て行ってしまった…。

外から聞こえるヤニックの雄叫び…。

俺が苦笑いをしていると、


「無事だったか」


後ろから声を掛けられる。

振り返るとそこには、ザールさんが立っていた。


「すみません。帰るのが遅れてしまって…」


俺がそう言うと、


「いや、君が無事なら良かった」


ザールさんが少し笑ってそう言ってくれる。

その後、俺は冒険者ギルドの皆に帰ってきた事を祝われた。

その時にザールさんにこれからの事を聞かれたが、今はギルドの依頼を受けながらやる事があると説明する。

それを聞いたザールさんは、今度一緒に依頼を受けようと言ってくれた。

俺はその言葉によろしくお願いしますと言って、冒険者ギルドを後にした。

今はサンレアン王国に帰るために歩いている。


「シュウ、さっき話してたやる事ってアルの話?」


すると、リーシャが俺にそう聞いてくる。


「うん。リーシャも気になってるでしょ?」

「そうね。あの扉の先に何があるのか気になるわ」


俺の質問に、リーシャがそう答える。


「俺も気になるよ。あの扉の先、それにあの扉が何であそこにあったのかとかね」


俺がそう言うと、


「じゃあ、本格的に行動しないといけないわね。アルも喜ぶわ」


リーシャがそう言って微笑む。

これからまた、忙しくなるかもしれないな…。

俺がこれからの事を考えて、ワクワクしながらそう思った。


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