喰らう
ガレスの出した氷槍がシュウの魔法返しの影響で軌道が変わり、ガレスに向かって落ちていく。
だが、ガレスはそれを左腕で殴りつけて破壊する!
これはなかなか大変かもしれない…。
俺がそう思っていると、ガレスが破壊した氷がどんどん落ちてきて城の床に穴を開けていく!
「シュウ!外に出るぞ!」
アルにそう言われて、俺は城の壁を魔拳で破壊して外に飛び出す!
俺に続いてアルも外に出る!
怜華さんや秋沙姉、春乃は無事だろうか…。
崩れる城を見ながら俺がそう思っていると、
「凄まじい力だ…。この力さえあれば人間を…人類を滅ぼす事が出来る」
ガレスがそう独り言を話している。
「人類を…滅ぼすってどういう事だ」
俺がガレスにそう聞くと、ガレスは俺の事を見てニヤリと笑い、
「今俺の体がどうなっているかわかるか?」
俺にそう聞いてくる。
「変な感じに見えるが、詳しくは知らない」
俺がそう言った瞬間、
「ハァッ!!」
ガレスに斬りかかる怜華さん!
どうやら崩れている城から逃げる事ができたようで良かった。
そして、
「下がれ!炎斬!!」
ザールさんも合流して、ガレスに向かって権を振るう!
ザールさんの放った炎の斬撃がガレスに当たる前に怜華さんがガレスから離れる。
炎の斬撃が当たっても、ガレスは特にどうすることもなく立っているだけだ…。
俺がガレスの様子を窺っていると、
「柊ちゃん!大丈夫?怪我してない?」
怜華さんが俺の元に来てそう聞いてくる。
「大丈夫ですよ。怜華さんも無事で良かったです」
俺は怜華さんにそう言って彼女を見ると、怜華さんの握っている剣が光り輝いている。
すると怜華さんが俺の視線に気が付いて、
「これは聖剣化っていうスキルを使ったのよ」
俺にそう説明してくれる。
「でもおかしいわ。聖剣化で斬った魔族は激しい痛みで動けなくなるのに…」
怜華さんはそう言ってガレスの方を見る。
すると、
「その聖剣、確かに魔族に攻撃すれば激痛で動けなくなるだろう」
ガレスが俺と怜華さんを見ながらそう言ってくる。
「では貴方は魔族ではないという事ですか?」
怜華さんがそう言った瞬間、ガレスが高笑いをする。
その様子を見て皆が固まっていると、ガレスが落ち着いてくる。
そして、
「今の俺はただの魔族でも、魔王でも無い」
そう言い切った。
すると、
「まさかとは思ったがお前、食らったな…」
アルがガレスにそう言うと、ガレスは笑って、
「正解だ」
そう言った。
「どういう事かしら?」
怜華さんがそう呟いた瞬間、
「簡単な事だ。今まで殺した者や死にかけている者の血を舐めて俺の体に取り込んだ。ルゼバラム様を取り込んだ時に宿主であった男の体を取り込んだおかげで、聖剣の力もほとんど意味がない」
ガレスがそう説明する。
つまり、あいつの体は今まで生贄として殺された人達を取り込んで出来た体という事なのだろう。
そして、2代目魔神のルゼバラムを取り込んだ時に獅子原の体を取り込んだ所為で聖剣への耐性も出来てしまったという事だろう…。
死んでも厄介者だとは…。
俺がそう思っていると、
「シュウ、私達で一気に畳み掛けるわよ!」
リーシャがそう言い、
「待って下さいリーシャさん。皆で一斉に攻撃した方が良いのではないですか?」
リーシャの言葉に、怜華さんがそう提案する。
「ダメだ。大型の魔物とかならそれでも構わないが、大きさがオレ達と同じくらいだと仲間の攻撃に当たっちまう」
アルがそう言いながら、俺達の元に来る。
「シュウ、リーシャ、全力で戦って来い。オレ達はシュウ達がヤバくなったら援護するんだ。交互に戦って行くぞ。ザール!お前はあのチャラチャラした男を連れて少し遠距離からの援護に専念しろ!勇者でもないお前達がいると、こっちも本気を出す事が出来ねぇ!」
アルが俺達に指示をしてくれる。
「悔しいが、足手まといにはなりたくないな!了解した!」
ザールさんはアルの指示に従って大剣を背負うと、走り出す。
「行くわよシュウ。今までの戦いより遥かに厳しいわ。気を抜かないでね」
リーシャが俺にそう言ってくる。
「うん。大丈夫だよ」
俺はリーシャの言葉に短くそう返すと、
「行くぜッ!!」
アルが先にガレスに向かって攻撃を仕掛ける!
「炎珠」
ガレスがアルに魔法を放つが、
「んなモン効くか!!」
まさかのガレスの火魔法を殴りつけて魔法を破壊すると、ガレスの顔面を殴る!
「シュウ!私達も!」
リーシャの言葉に、俺も魔素を脚に集中させて地面を蹴る!
後ろで破壊音をさせながら一気にガレスの懐に入ると、
「猛極爆焔!!」
リーシャが魔法を放つ!
ゼロ距離でのリーシャの魔法を食らったガレスは、
「ぐ…ゥゥゥ」
うめき声を出す。
だが、その程度で済んでしまっている…。
「双魔法剣・緋焔拳ッ!」
俺はガレスの様子を見て、ガレスに放たれている紅蓮の炎を操って腕に巻き付ける!
そして、
「吹っ飛べェェェッ!!」
ガレスの体を力一杯全力で殴りつける!!
「オラァァァッ!」
それと同時にアルがガレスの顔面を蹴り飛ばす!
俺達の攻撃により、ガレスの体が吹き飛ぶ。
体を燃やしながら地面を転がるガレス。
だが、全然足りて無い…。
「ごめんリーシャ!アル!」
俺はそう言って起き上がろうとするガレスに一気に加速して近づき、魔素を圧縮させ始める。
「ん…体が…動かない…」
ガレスも何が起きているのかわかっておらず、ただ固まっているだけだ。
俺は左腕に魔素を圧縮させて纏う。
そして、
「魔震ッ!!」
圧縮した魔素の塊を殴りつける!
その瞬間、体に伝わる激しい衝撃!
「ガァァァッッ!!!!」
あまりの衝撃に、今まで余裕そうだったガレスも叫び声を上げる。
「…ュウ!!」
リーシャの焦っている様な声が聞こえたが、魔震による轟音と衝撃で上手く聞こえない。
やがて衝撃が止むと、砂ぼこりなどで周りの景色が見えない…。
「シュウ!シュウ!大丈夫なの!?」
いつの間にか人の姿に戻っているリーシャが俺にそう聞いてくる。
「ごほっ…。大丈‥夫だよ」
魔人化している時の防御力で、俺自身は吹き飛ばされなくて済んだ。
体に衝撃を浴びて、内蔵が傷ついたのか吐血はしてしまったが…。
「ッ!?天聖治癒!」
リーシャが俺に回復魔法を使ってくれる。
すると、
「ハァ…今の魔法は…よく分からないが…欲しいな」
上半身の衣類が吹き飛んで上半身が裸になり、少しフラフラのガレスが俺の事を見ながらそう言う。
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