ドラゴン殺しザールVS大魔王ガレス
柊とルゼバラムが戦っている時、途中から激しい戦いでいつの間にか外に出ていたザールと大魔王ガレスは、城にいた魔族達を巻き込みながら戦っていた。
赤い炎と黒い炎が激しくぶつかり合い、辺りを燃やし尽くす。
2人の戦いで巻き込まれた魔族達は骨も残らず燃え尽きた。
「「オォォォッッ!!!」」
2人は雄叫びを上げながら、ドラゴンの力を宿した大剣を力の限り振るう!
何度も衝突する赤い炎と黒い炎だが、黒い炎の方が僅かにだが赤い炎を押している。
それは使われているドラゴンの素材の力であり、ザールのガレスが握っている竜焔剣を取り戻したいという気持ちの表れである。
竜焔剣よりも高火力を出せる今握っている龍黒剣を使っていても、苦楽を共に経験した竜焔剣を手放したいとは思わない。
「貴様はもう用済みなのだ!」
ガレスがザールにそう言い、竜焔剣を振るう!
「お前に無くても、俺にはある!!」
ガレスの言葉にザールはそう返して、龍黒剣を振るう!
互いの振るった大剣から膨大な炎が噴き出す。
炎がぶつかり合った瞬間、ザールが仕掛ける!
ガレスの元に駆け出し、距離を縮めようとする。
だが、ガレスもそう簡単に自身にザールを近づかせようとは思わない。
「竜炎珠!」
ガレスは自身に向かって来ているザールに竜焔剣を向けて、魔法を放つ!
瞬間、噴き出していた炎が竜の形になり、ザールに迫る!
「喰らい尽くせ!龍焔!!」
ザールがそう叫んで龍黒剣を振るうと、黒い炎がまるでドラゴンの頭の形になってガレスが放った魔法と衝突する!
そして黒い炎で作られたドラゴンの口が開くと、ガレスの放った魔法を吸い込み食らい始めた。
「な…」
それを見たガレスも驚き、驚愕の表情をする。
その隙に、ザールは回復薬を一気に飲み干して魔力を回復させる。
そして、
「黒極呪爆焔ッ!!」
ザールは今しがた回復薬を飲んで回復した魔力を全て使い、自身が出来る最強の技をガレスに繰り出す!
今までの炎とは比べられないほどの凄まじい炎が、先程繰り出したドラゴンの頭を飲み込んでガレスに迫る!
ガレスは慌てて竜焔剣を振るい炎を出すが、その炎すら簡単に飲み込んでしまう!
それを見たガレスは、真っ白な右腕を前に突き出す。
そして、ザールが放った黒い炎が右腕に触れた瞬間、
「消失!!」
ガレスが魔法を放つと、ザールが放った膨大な量の黒い炎が一瞬で消えてしまう。
それを見たザールは、慌てて追加の回復薬を飲み干す。
だが、
「ぐ…うぅ」
ザールの黒い炎の掻き消したガレス本人も苦しみ出す。
ザールがその様子を見ると、ガレスの右腕が無くなっている。
それを見たザールは、今が絶好の攻め時だと感じ一気にガレスに駆け出す!
ガレスもそれに気づき応戦しようとするが、右腕の損失により竜焔剣を上手く掴む事が出来ない。
「オォォォッ!!」
そして、ザールが龍黒剣を振るう!
だが、何とかガレスも竜焔剣の使ってザールの攻撃を防ぐ!
だが、その瞬間!
「ぐあぁッ!!」
激しい大剣の衝突に加えて、互いの大剣から炎が噴き出す!
その炎がガレスを襲う!
見るとザールの龍黒剣から出る炎と、ガレスが握っている竜焔剣の炎の両方がガレスの体を燃やそうとしている。
それを見たザールは、竜焔剣を見る。
そして、確信する。
ガレスはまだ、竜焔剣に認められていないと。
そう思ったザールは、龍黒剣から左手を離してガレスの顔面を殴り飛ばした!
「ッ!」
声が出ない悲鳴を上げてガレスがよろけると、ザールは龍黒剣の背中に背負い、ガレスに何度も殴りかかる!
ザールが大剣で斬りかからないのには意味がある。
1つは、奪われた竜焔剣の時の恨み。
そしてもう1つは、龍黒剣を振るうにはそれなりの力が必要だからだ。
それなら、自身の体で殴り飛ばした方が速い。
ザールはそう考えて、ガレスに殴りかかっている。
「ぐ…ごはッ…」
左右からの本気のパンチ、腹に膝蹴りと何度もザールの攻撃を食らうガレス。
実はガレスは殴り合いなどの経験は無く、今もザールの猛攻に何とか防いでいくのがやっとなのである。
「竜焔剣は…返してもらう!」
ザールはそう言うと、ガレスが握っている竜焔剣に手を伸ばす。
するとそれに気づいたガレスが、無理矢理竜焔剣を振るおうとする!
だが、利き腕である右腕を失っているガレスは上手く竜焔剣を振るえない。
そして、
「もらった!!」
ガレスの握っている竜焔剣に、背負っていた龍黒剣を引き抜き思いっきり竜焔剣にぶつける!
すると、ガレスは簡単に竜焔剣を離してしまう。
そして、ガレスが離した竜焔剣をザールは空中で掴むと、龍黒剣と竜焔剣を持って一度ガレスから距離を取る。
「ハァァァ…」
ザールは一度大きく息を吐き、心を落ち着かせる。
見ると、竜焔剣を取られたガレスは苦しそうな表情をしながら、ザールの事を睨みつけている。
だがその時、ガレスが城の方を向く。
そして、
「…ついに来た」
小さい声でそう呟くと、ザールの事などどうでも良くなったのか一気に城の方に向かって跳ぶ。
そしてガレスとザールが戦った戦場には、片手に一振りずつ大剣を握っているザールがポツンと立っていた。
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