異常な光景
本日、23歳になりました!
20歳になってから、年を重ねるのが早く感じます。苦笑
春乃と真海が皆が先に行った部屋に行くと、そこには異常な光景が広がっている。
大きな部屋には、2つの空間が出来ていた。
1つは、戦った後が全く無い綺麗な部屋のままの空間。
そしてもう1つは、一体何があったのだと言う様な荒れ果てた空間。
片方が綺麗な空間な分、荒れ果てている空間の損傷が目に留まりやすい。
そしてそこには、横たわっている秋沙と秋沙の様子を見ている怜華がいる。
「お姉ちゃん!」
「秋沙先輩!」
春乃と真海が声を出して怜華と秋沙の傍に駆け寄る。
怜華は2人が来て、微笑む。
「2人共。無事で良かったわ」
怜華がそう言うと、
「お姉ちゃん、どうしたの?」
春乃が怜華にそう聞く。
「戦いの影響で気絶しているだけよ。目立った外傷も無いし大丈夫だとは思うけれど、真海ちゃん見て貰える?」
「は、はい!」
怜華が真海にそう言うと、真海が秋沙に回復魔法を使う。
「怜姉ちゃん。魔王は倒したの?」
「一瞬で終わったわ」
春乃の質問に、怜華がそう答えると、春乃は怜華の監禁魔法の力を思い出して苦笑いをする。
「それで、秋沙の援護でもしようと思ったら、秋沙に止められて仕方なく見物してたわ。信じてはいたけど、何が起きるかわからなかったから、柊ちゃんの所に行かなかったの」
怜華がそう言うと、真海の回復魔法の光が無くなる。
「容態はどう?」
「大丈夫ですよ。少し体に疲労やらが溜まり過ぎちゃっただけのようです」
怜華が真海に秋沙の事を聞くと、真海はそう説明する。
「秋沙先輩は部屋の感じを見るに、結構な激闘だったんですか?」
真海が部屋の様子を見て、そう怜華に質問する。
「そうね…。凄まじい戦いだったわ」
怜華がそう言いながら、少し部屋の遠くを見る。
怜華は柊達と分かれた後の事を思い出す。
「柊ちゃん、私達はここで戦うわ。気を付けて」
「怜華さんも」
怜華は歩き出す。
自分と柊の幸せの前に立ち塞がるモノは全て蹴散らす気持ちで…。
すでに自分は罪を犯した。
大事な彼を護り切れなかった…。
だからもう、次は無い。
どんなに恨まれようとも、柊ちゃんがいれば強くなれる。
生きていられる。
だから、目の前に立っている魔王ヴィネをすぐにでも殺して、柊ちゃんの後を追いたい。
怜華が激しい衝突音がする方向を見ると、秋沙と魔王ハルファスが激しい攻防を繰り広げている。
お互いに一歩も引かず、最善の手で相手を殺す攻撃かを見極め、いかに相手の攻撃を躱せるか。
秋沙と魔王ハルファスの頭の中はその戦いの事しかない。
「敵を前にしてよそ見なんて、随分と余裕じゃない」
怜華が秋沙の戦いを見ていると、魔王ヴィネがそう声を掛けてくる。
怜華は魔王ヴィネの方を向き、
「余裕なんかじゃないわ。心配で心配でたまらないもの」
そう言う。
すると、その言葉を聞いたヴィネは、秋沙と魔王ハルファスの戦いを見る。
「確かに心配よね。でも、大丈夫よ。皆まとめて…」
ヴィネはそう言って、一旦言葉を区切る。
そして、
「殺してあげる!根縛!」
怜華に攻撃を仕掛ける。
だが、それは無意味。
何故ならもう、怜華と魔王ヴィネの空間はすでに怜華の支配空間になっているのだ。
城の外から草木の根が怜華に伸びる!
だが怜華に近づいた瞬間、根の動きが止まる。
「なッ!?どうしたの!早く縛り上げなさい!」
ヴィネが命令をするが、根は全く動かない。
「あのうるさい女を縛りなさい」
怜華がそう言った瞬間!
根が一斉にヴィネの体に襲いかかる!
「止めなさい!何で私の魔法が効かないの!」
ヴィネがそう言うと、彼女は剣を取り出して自身に襲いかかってくる根を切り裂いていく。
「この空間は私の支配下よ」
怜華がそう言うと、ヴィネが見ていた景色が真っ黒になる。
「ここに来た瞬間に、貴女の所に魔法の檻を作っておいたわ。しかも幻術で気づかれない様に細工をしてね」
怜華がそう言うと、ヴィネが地面に倒れる!
自身で使った魔法の根に縛られて身動きが取れなくなる。
「そうやって這い蹲っている姿、とてもお似合いよ」
怜華が横たわっているヴィネの目の前に立ち、嘲笑いながらそう言う。
その言葉を聞いた魔王ヴィネが怒りを表情に出す。
「そんな顔してもダメよ。私は貴女を殺して柊ちゃんの所に行かないといけないの」
怜華はそう言って、自身の魂の剣を出現させる。
「聖剣化」
怜華がスキルを発動させると、剣が光り輝く。
「安心して。しっかりと勇者らしく、聖剣で斬り殺してあげる」
怜華がそう言って剣を構えると、
「ここまで圧倒的な力を…。どうやって手に入れられたのよ」
ヴィネが諦めた顔をして、怜華に問いかける。
「……。貴女は大事な人がいなくなった事あるかしら?」
怜華がそう言うと、魔王ヴィネは苦笑しながら、
「私はそういう事は無かったわ。大事な物なんて、作るだけ無駄。いつかは自分の元を離れて行ってしまう」
そう言う。
その声はまるで昔の事を懐かしむような、そんな声だった。
ヴィネの言葉を聞いて、怜華は思う。
この女の過去にも、何かがあったのかもしれない。
でも…。
「最初から諦めている貴女に私は負けるつもりは無いわ。手に入れたいと思うなら、どんな手段を使っても手に入れる。自分の元を離れそうなら…、自分で捕まえるしかないわ」
怜華がそう言うと、ヴィネは笑う。
「哀れだと思わないの?そこまでして引き留めていたいほどなの」
その言葉を聞いた怜華は、
「思わないわ。彼の為なら、私は何でもする。…いえ、むしろ何でも出来る気がする」
そう平然と言う。
怜華の言葉を聞いたヴィネは、
「魔王と勇者としての戦いも負けて、女としての魅力も負けるなんて最悪だわ」
怜華にそう言う。
続けて、
「生まれ変わったら…、貴女みたいになってみるわ。どんな事にも抗ってみせる」
怜華にそう言うと、ヴィネは静かに瞳を閉じる。
「どうぞ」
瞳を閉じたヴィネがそう言うと、怜華が剣を振り上げる。
「貴女がそう思える人が出来たら良いわね、魔王ヴィネ。貴女は変わるわ、どこに行っても。今からね」
怜華はそう言って、剣を振り下ろす。
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