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初代勇者を腕に  作者: 雪羅
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真海はレラジズと交戦しながら、詠唱を開始する。


「命の鼓動よ、天使の息吹となり、傷を癒し続けろ。天聖再生!」


真海が魔法名を叫んだ瞬間、彼女の体を淡い光が覆う。

その瞬間、真海は一気にレラジズに攻撃を仕掛けていく!

他者やレラジズから見たら、真海の今の状態は隙だらけだ。

レラジズも真海の隙を突いて真海に攻撃するが、どんなに攻撃しても真海の攻撃は止まらない。

むしろ勢いは増していく。

レラジズは顔をしかめながらも攻撃をする手を止めることは無い。

どんどん傷ついていく自身の体を見てレラジズは一度距離を取ろうと後方に跳ぶ。

流石の真海もそれには付いて行けずに一度攻撃の手を止める。

今の真海は、どんなに激しく動いても息切れすらしない。

天聖再生、それは回復し続ける回復魔法。

魔力を消費し続けてしまうが、回復し続ける故に攻撃が止まることは無い。

真海は修行の時にやや失敗してしまった。

その影響で真海は中途半端な力しか手に入れていないのだ。

だが、それでも真海は諦めなかった。

少ししか伸びる事ができなかったが、それでどう戦うかを考えた結果、この戦い方を思い付いたのだ。


「負ける…訳にはいかないんですッ!!」


真海はそう言いながらレラジズに猛攻を続ける!

だが、レラジズとて攻撃を受け続ける事はしない。

真海の急所を狙った攻撃は避けるが、後の攻撃は避けようとしないのだが。

レラジズは、今戦っている真海を殺す事しか考えていない。

精神的には、真海の魔法の所為で冷静な判断が出来なくなっている。

ただ本能のまま、欲望のまま、そして今まで戦い抜いてきた経験からレラジズは真海の攻撃を避けたり防ぎながら、真海に攻撃していく。

だが、レラジズの攻撃が真海の肌を斬り裂いても、どんなに殴っても傷を回復してしまう。

レラジズの攻撃は今の真海には無意味なのだ。

ここでレラジズが冷静な判断が出来たら、真海の魔力が無くなるのを待つ方法も考えたのかもしれない。

しかし今のレラジズにそんな事を考える余裕はない。

目の前の真海を速く殺したいのだ。


「ハァァ!!」

「アァァ!!」


真海とレラジズの雄叫びが轟く!

やがて、レラジズがおかしい事に気がつく。

結構な時間戦い続けているのに、真海の魔力が切れる素振りが無いのだ。

そうして戦っていると、やがてレラジズの思考回路が正常に戻ってくる。

そして、真海に蹴りを入れて一回距離を離す。

すると、そんなレラジズを見て真海は顔をしかめる。

殺し損ねてしまった…。

真海はそう思いながら、腰に付けているポーチからルリィ特製回復薬を一気に飲み干す。

そうしていると、


「テメェ、どんな仕掛けだ!」


レラジズが真海に怒号を上げる。

それを聞いた真海は、キョトンとする。

その表情を見たレラジズは更に頭に血が上る。

特に何も考えないで、真海に飛びかかる!

だが真海は冷静に、筋力増強の魔法を自身に使用する。

そろそろ…マズいかも…。

真海はそう思いながら、レラジズの攻撃を食らう!

だが体が傷ついた瞬間、真海の天聖再生で傷は跡形も無く回復する。


「外傷復活!」


真海が魔法をレラジズにゼロ距離で放つ!

あっけなく真海の魔法に当たってしまうレラジズ…。

だが、体から血が出てきても、真海に仕掛ける攻撃の手を緩めたりはしない。

ガンガン真海に攻撃していく。

どんなに回復しても、どんなに体が痛み今にも倒れそうになっても…。

だがその時、レラジズの脚が地面に崩れる!


「なッ!」


脚に力が入らず、地面に倒れ込むレラジズ。


「やっとですか…」


その様子を見て、真海がそう声を出す。


「何しやがった!」


レラジズが地面に倒れながら真海にそう言う。


「血が無くなるのを待ってたんです」


真海は自分の事を見上げながら睨みつけているレラジズにそう言うと、レラジズの脇にしゃがむ。


「血が無くなって、脳などの重要な所に血を送れなくしたんですよ。結構な量、噴き出しましたからね」


真海はそう言って、辺りを見渡す。

そこには、真海とレラジズの血が地面に落ちており、真っ赤になっている。


「でも、やっぱり魔族ですね。人とは違ってしぶといモノです」


真海はそう言ってレラジズの体をチョンチョン突く。


「クソ野郎がぁ!テメェ、良い神経してるぜ」

「褒め言葉として受け取りますよ。乙女が大の男に力で勝てないんですから、頭を使わないと」


真海はそう言うと、悪戯が成功した子供の様に笑う。


「チッ…、俺がこんな無様に負けるなんてな」


レラジズはそう言って、苦笑する。

そして、


「早く殺せ。これ以上生き恥を晒したくねえよ」


真海にそう言う。

レラジズにそう言われた真海は、剣をレラジズの首に当てる。


「チッ…小娘に負けて殺されたなんて他の奴らに知られたら笑いモンだな」


レラジズはそう言って、目を閉じる。


「貴方の事、忘れませんからね」


その声が聞こえた瞬間、レラジズは深い永劫の眠りに着いた。

少しして、真海は動き出す。


「やっぱり魔物と違って、少し罪悪感があるなぁ」


そう言いながら、真海は城内に入る。


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