自己紹介
家を出た俺達はすぐにヴェルーズ冒険者ギルドに向かう。
向かうと言っても、リーシャの転移魔法で一瞬なのだが…。
ヴェルーズに着いた途端、町の皆の視線が刺さる…。
人数が多い事と、俺を除いた皆が美しいのが原因だろう…。
これは…ヤニックにも何か言われるだろうな…。
『いきなり斬りかかられるかもね』
俺がそう思っていると、リーシャがそう言ってくる。
あり得るから困る…。
『そう言えばリーシャは人の姿に戻らなくていいの?』
『今は良いわ。向こうに着いてから戻る事にするわ』
俺とリーシャが話していると、
「なんか皆に見られていますね」
「…いっぱい」
真海ちゃんと秋沙姉がそう話している。
それから俺達は、町の皆の視線の中を通ってギルドの所まで来た。
すると、ザールさん達は外で待っていてくれた様で、俺達のことに気づいている様だ。
あ…ヤニックの顔がなんかもう言い表せない様な顔になっている。
「すみません。お待たせしました」
俺がそう言うと、
「あ、あぁ大丈夫だ。問題はない」
ザールさんがそう答える。
流石のザールさんでも、少し驚いている様だ。
「俺の後ろにいる皆が、今回共に戦う仲間です」
俺がそう言うと、皆が頭を下げる。
それと同時にザールさんも浅く頭を下げる。
「それにしても、俺とヤニックとアルベール。シュウ以外は女だな。しかも確か勇者の人もいる」
ザールさんがそう言う。
「皆凄く強いから安心ですね」
俺がザールさんにそう言った瞬間、
「お、俺の名前はヤニック!ヴェルーズ冒険者ギルドの期待の新人だ!よろしくな!」
ヤニックが皆に向かってそう叫んだ。
皆がヤニックに頭を下げると、
「今夜飯でも行かないか!?」
早速ナンパしている…。
俺とザールさんがヤニックを止めようとすると、
「ごめんなさい。柊ちゃんにしか興味無いから」
怜華さんが即座にヤニックの誘いを断る。
その怜華さんの言葉に皆が頷くと、ヤニックの頭がゆっくりと動き出して、俺の方を向いてくる…ホラーだ。
「おい…シュウ。どういう事だ…」
一体どこから出したんだと聞きたくなる様な声で俺にそう聞いてくる。
「話せば長くなるから、今は良いだろ?」
そんなヤニックに俺がそう言った瞬間!
「凄く重要なんだよ馬鹿野郎!!魔王討伐よりも重要だァ~ッ!!」
加速魔法で一気に俺に詰め寄って、俺の両肩を掴んでガクガク揺らしてくる…。
と言うか、魔王討伐よりも重要なのか?
俺がそう思いながら、目を回し始めていると、
「ここにいる皆、シュウの嫁候補だぞ。オレも含めてな」
アルが平然とそう言った。
すると肩を揺さぶられるのが止まる。
見ると、ヤニックの顔が絶望したような表情になっている…。
ザールさんも驚いている感じだ。
「あっ、ちなみにシュウはもう結婚してるぞ」
アルが更にそう言うと、周りで傍観していた町の皆がヒソヒソと何か話し始めてしまった。
たまに聞こえるケダモノとかは気にしてはいけないのだろう。
「他にも数人家にいるしな」
もう止めてアル!
ヴェルーズに来れなくなっちゃう!
「………」
そしてヤニックは無表情のまま、地面に崩れ落ちた。
その後、俺達は一旦ヴェルーズから出発して、前にザールさんと戦った草原まで来ている。
ちなみに、ヤニックはザールさんに引きずられていた。
それから軽くだが、自己紹介となった。
のだが…。
「魔波の時に知っている人もいるかもしれないが、冒険者のザールだ。よろしく頼む」
「…ヤニック…です。冒険者…です」
「アルベールです。仲間としてよろしくお願いします」
「柊ちゃんの妻、怜華です。よろしくお願いします」
「…秋沙。柊の愛玩犬」
「春乃です。これからよろしくお願いします」
「真海と言います。よろしくです」
「オレはアルネウスだ。よろしくな」
皆が自己紹介をして、最後のアルが自己紹介をし終えると、
「ほれ、リーシャもするんだよ」
俺の右腕になっているリーシャの事を見ながらそう言う。
すると、リーシャが人の姿に戻る。
「リリアーナと言います。シュウの本妻です」
リーシャがそう言って頭を下げる。
すると、ザールさん達は思い出した様な表情をする。
そういえば、たまに人の姿で会ってたな。
俺がそう思っていると、すぐにリーシャが俺の右腕に戻ってしまう。
どうしたのだろう?
その後、作戦会議とまではいかないが話し合いが始まった。
基本的には情報をたくさん持っているアルが色々と話を皆に振り、役割分担を決めているのだ。
移動手段は俺が名乗り出ようとすると、リーシャが転移魔法で移動する事になった。
奇襲をするならその方が1番良いからだ。
そして今は、誰がどの魔王を倒すかという事になった。
「俺は大魔王ガレス。竜焔剣を取り戻す」
「私は魔王ヴィネと戦います。魔波の時に止めを刺せませんでしたから」
「…魔王ハルファス。決着をつける」
「私は魔王イスティムだね。成長した力でボコボコにしちゃうんだから!」
「魔波の時に戦った魔王レラジズですね」
「俺は…師匠と共に…」
「私はヤニックと一緒じゃないといけないので数に入れないで下さいね。それとヤニック?私達はザールの足手まといになるので、魔王とかに拘らずに目の前に現れた敵を倒しましょうね?」
皆がそれぞれ因縁の相手を倒すと言っているが、それじゃあ俺はどうすれば良いのだろう?
俺がそう思っていると、
「シュウとリーシャは、オレと一緒に2代目を担当する。おそらく1番面倒なのはあの野郎だしな」
アルがそう言ってくる。
という事は、俺は獅子原と2代目魔神ルゼバラムという事か。
俺がそう思っていると、
「待てよ、確かもう1人魔王がいたはずだな…あぁコイツだコイツ。魔王レシオンだ。コイツはどうする?」
アルが空を見ながらそう言う。
人数的には精一杯だが…。
俺がそう思っていると、
「じゃあ自分の獲物が倒せた人がやるという事で良いんじゃないですか?」
真海ちゃんが手を上げてそう言う。
「ま、その時はその時の判断だな」
真海ちゃんの言葉を聞いて、アルがそう言う。
結局、行ってからの判断に任せるという事になってしまった…。
そして、話し合いは終わり、遂に奇襲の時がやって来た。
すると、皆が俺の事を見てくる。
「シュウ、皆に一言何か言えば良いんじゃねえか?」
すると、アルが俺にそう言ってくる。
「皆、生きて帰ろう」
そういうの苦手なんだけどな…。
生徒会長をしていた怜華さんの方が絶対に上手い。
俺がそう言うと、皆が頷く。
「リーシャ、準備は大丈夫?」
「大丈夫よシュウ。いつでも行けるわ」
俺はリーシャに確認を取る。
「行こう!!世界を守るために、家族を護るために、大切なモノを護るためにッ!」
俺がそう言った瞬間、
「転移!」
リーシャが魔法を発動して、平和だった景色が変わる。
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