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初代勇者を腕に  作者: 雪羅
223/430

いってきます

ブックマーク者数が600人になりました!

ブックマークして下さった皆様、本当にありがとうございます!

これからもよろしくお願いします。

4人にお礼を言ってから部屋を後にすると、何やら良い匂いがしてくる。

あれ?でも誰が料理を作ってるんだ?

皆には会ったし、リザベルトさんとエルネットさんは森に何かを取りに出かけたはずだったが…。

俺はそう思いながら、厨房に向かうと、


「どう?母上?」

「良い感じよ。そのまま煮詰めていて」

「はい」


森に出掛けていたリザベルトさんとエルネットさんが料理を作っている。


「どうしたんですか?」


俺がそう言いながら、厨房に入ると、


「あらシュウ君。ただいま」

「…ただいま」


2人がそう挨拶をしてくる。


「おかえりなさい。森に行ってたんじゃ?」


俺がそう聞くと。


「必要な物を取ってすぐに帰って来たのよ」


リザベルトさんがそう答えてくれる。


「そうだったんですか。それで今は何を作ってるんですか?」


俺が近づいてそう聞くと、目の前にスッと出される小皿。

その中には少しだけ汁が入っている。


「味見…して」


エルネットがそう言って更に俺に小皿を近づけてくる。


「じゃあ失礼して」


俺はそう言ってエルネットさんから小皿を受け取ろうとすると、小皿が離れる。


「…ん」


エルネットさんがもう一度俺に小皿を差し出してくる。

今度は、俺の口元にだ。

俺が口を開くと、そっと小皿が唇に当たり、中に入っている汁が口に入ってくる。

甘い煮汁だ。


「美味しいです」


俺がそう言うと、エルネットさんは微笑みながら調理に戻る。

すると、


「シュウ君は辛いのと甘いの、どちらが好きかしら?」


リザベルトさんが調理しながら俺にそう聞いてくる。


「辛いのも好きですし食べますけど、甘い食べ物の方が好きかもしれません」


俺がそう言うと、


「じゃあ、少し甘めの味付けにしないとね」


リザベルトさんがそう言って、調味料を作っている料理に少し加える。


「そういえば、2人は何を作ってるんですか?」


俺がそう聞くと、エルネットさんがチラリと俺の事を見て、


「お弁当」


そう呟いた。


「こらこらお弁当じゃないでしょ。携帯食料よシュウ君」


エルネットさんの言葉に、リザベルトさんがツッコミをして訂正する。


「これから…大変なんだもの…。しっかりと準備はしないといけないわ」


俺にそう言ってくるリザベルトさんの声が少し涙声だ…。

見ると、リザベルトさんの肩が少し震えている。


「…シュウ」


エルネットさんも、調理の手を止めて俺の事を見てくる。

その目は不安気で、悲しそうだ。


「リザベルトさん、エルネットさん。ちょっと来てください」


俺はそう言いながら、2人から少しだけ距離を取る。

すると、2人は火を止めたりして調理を一時止める。

そうして2人は俺の元に来てくれる。

そして俺は、2人の事を抱きしめる。


「シ、シュウ君!」

「…シュウ」


リザベルトさんは凄く驚いている様で、エルネットさんは落ち着いている様な反応をしているが、目がオロオロしている…。


「皆で無事に戻ってきますから」


俺が2人にそう言うと、抱きしめ返してくる2人。


「待ってるからね。もう私を…未亡人にしないでね」

「シュウなら大丈夫。私も大丈夫だから、心配しないで」


俺にそう言ってくる2人。


「母上、言い方が少しいやらしいです」

「エルネットこそ、イイ女風な事言っちゃって」


そして何故か俺の腕の中で喧嘩を始めてしまう2人。

ど、どうしてこうなった…。


「母上、母上はすでに子持ちの母なのです。ここは私に任せると言うのはどうでしょう?」

「何を言ってるのエルネット?年上の余裕と気品に勝てる娘がいるとでも?」

「あ、あの2人共、喧嘩しちゃ駄目ですよ」


俺が2人にそう言うと、リザベルトさんとエルネットさんが同時に、


「「どっちが好み?」」


俺にそう聞いてくる。

マズイ、これ言わないといけない感じだ…。

でも、俺からしたら2人共魅力的だと思うんだけど…。

俺はそう思いながら、少し目線を下げる。

俺の答えを待っている様で、2人の視線が俺と絡み合う。


「年上?」

「同い年?」


俺にそう聞いてくる2人…。


『シュウは私の事好きなんだから、年上好きでしょ?』


俺にそう聞いてくるリーシャ…。

と言うか待て。

俺はリザベルトさんとエルネットさんの年齢を知らないぞ?

これは使えるんじゃないか?

俺はそう思い、


「そう言えばリザベルトさんとエルネットさんの年齢っていくつなんですか?」


女性に質問してはいけないと思われる問いをする。

すると、


「「……」」


俺の事をジトッとした目で見てくる2人…。

何だろう…、こういう雰囲気になれば大丈夫だと思ったのに、いざなってみるととても怖い…。


「シュウ君には、女性と会話する時の礼儀を知ってもらわないといけないようね…ね?エルネット?」

「賛成。シュウは少し女心を気にしないといけない」


その後、俺はリザベルトさんとエルネットさんのお説教兼教育が始まってしまった。


「分かったシュウ君?女性に年齢の事を聞くのは失礼なのよ」

「…はい」

「反省している様だから、お説教は終わり」


エルネットさんの言葉で2人は俺から少し離れる。

実は2人共、お説教をしている時も俺から離れようとはしなかったのだ。


「なんか、しんみりとした空気じゃなくなっちゃったわね」

「うん。台無し」

「あはは。すみません」


俺が笑いながらそう言うと、


「「ちゃんと、帰ってきて」」


2人が声を揃えてそう言う。

リザベルトさんを…、エルネットさんを…、これ以上寂しい思いはさせないようにしないと。

俺はそう思いながら、


「任せて下さい」


自信満々でそう言い切った。

それから2人はすぐに調理を再開して俺にお弁当?と渡してくれた。

と言っても、皆で食べれるようにと量が多い。

俺は2人にお礼を言って、玄関に行くと、


「柊ちゃん遅いわよ」


皆が待っていた。

アルもいつの間にか帰ってきている。


「すみません」


俺が謝ると、怜華さんが笑って、


「大丈夫よ。これから大変だもの。少しくらいゆっくりしても良いわよ」


そう言ってくれる。


そうして、皆が外に出る。

そして、戦いに行く俺達は後ろを向くと、家で待っている皆が立ち止まっている。

そして、


「「「「「「「行ってきます」」」」」」」


俺達がそう言い、


「「「「「「気を付けて、いってらっしゃい」」」」」」


少し不安そうな皆が、そう返してくれた。


読んで下さってありがとうございます!

ブックマークして下さった方、ありがとうございます!

評価や感想、ブックマークをして下さると嬉しいです。

誤字脱字がありましたら、感想などで教えて下さい。

よろしくお願いします。

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