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初代勇者を腕に  作者: 雪羅
222/430

調合

真海ちゃんと分かれてティアやコレットさん、エルミールさんの部屋に行く。

すると、扉をノックしても反応が無い。


「ごめんなさい」


俺は扉にそう言って、少しだけ中を見る。

だが、誰もいない。

城の方に行ってるのだろうか?

俺はそう思いながら、ルリィの様子を見に行く。

無理してなければいいのだが…。

そう思っていると、


「これはここに入れても良いのですか?」

「はい!少量で構いませんよ!」

「ねえ、これって何に使うの?」

「それは薬草を揉むのに使うんです!」

「ルリィさん、これで良いのでしょうか?」

「はい、大丈夫ですよ」


最初はエルミールさん、次にコレットさんでその次がティアのルリィに対しての質問する声が聞こえる。

どうやら、3人はルリィの部屋に来ていたようだ。

俺がルリィの部屋の扉をノックすると、


「「「「どうぞ」」」」


4人の声が返事をする。

俺が扉を開くと、ルリィが薬品を瓶の中に入れていて、その隣にエルミールさんが座っており何やら液体同士を混ぜている。

少し離れた所にティアが座って薬草を選んでいるのか2つに分けている。

そして、ルリィのベッドの上で何やら紙を睨みつけているコレットさん。

床には色々な道具が置かれており、人も多いからか少し窮屈に感じる。


「皆ここにいたんだね」


俺がそう言うと、


「はい。私達にも何かできることは無いかルリィさんに相談したところ、調合を手伝う事になりました」


エルミールさんが答える。


「ただ待っているだけと言うのも嫌ですから」


ティアも薬草から目を離さないでそう言ってくる。


「私も、流石に少しは手伝わないといけないかなと思って、こうして1から勉強中よ」


俺の事をチラリと見ながらコレットさんがそう言う。


「皆様私より頭が良いので、教えた事をすぐに覚えて下さるんですよ」


ルリィが笑顔でそう言うと、


「悪かったわね!すぐに忘れちゃって!」


コレットさんが少し声を大きくしてルリィに言う。


「そ、そういう意味で言ったんじゃないんです!」


コレットさんにそう言われたルリィは慌てた様子でコレットさんにそう言う。

だが、手は止める事はしておらず次々と物を作っていく。

というより、皆が凄すぎる。

普通に話しているのに、手は常に動いており仕事を止める気配は無い。

むしろ更に動きが速くなっていく3人…。


「み、皆無理しないでね」


俺がそう言うと、4人は手を動かしながら返事をする。

そして、俺が部屋を出ようとすると、


「どこ行くのよシュウ」


コレットさんが俺に聞いてくる。


「ん?いや、邪魔しちゃ悪いかなと思って」


俺がそう言うと、コレットさんはため息をついた。


「ダメよ、ここにいなさい」


コレットさんはそう言いながら、自分の体を横に移動させて空間を作ると、そこをポンポン叩く。

どうやら、ここに来いと言っている様だ。

俺は床に置いてある道具や材料を踏まない様に歩いて、コレットさんの元に行く。


「座りなさい」


コレットさんの命令に従って、俺は彼女の隣に座る。

すると、


「ジッとしてるのよ」


コレットさんはそう言って、俺の上に座る。

その瞬間、


「コレット?行儀が悪いですよ」

「コレット様、危険ですので離れて下さい」

「後で私もしたいです」


ティア、エルミールさん、ルリィの順番でそう声がする。

見ると、先程までどんどん物を作っていた3人の手が今は完全に止まっている。

それと同時に、3人の視線が俺とコレットさんに集中する。


「良いじゃないこれくらい。私は頑張ったご褒美が欲しいのよ」


コレットさんがそう言う。

少し視線を下ろすと、彼女の後頭部が見える。

そして、彼女が読んでいる紙の内容も見えてくるのだが…。


「コレットさん?」


彼女が見ていた紙には、びっしりと書かれた薬品の作り方だった…。

これを覚えるのは…大変だったと思う。

俺はそう思うと、途端に彼女が頑張っているんだなと思えてしまい、頭を撫でる。


「ちょっと、髪が乱れるじゃない」


すると、コレットさんに怒られてしまった…。


「ご、ごめんなさい」


俺は謝ってコレットさんの頭から手を離す。

すると、


「後で梳かしてくれるなら…別に良いわよ」


コレットさんがそう言ってくる。

そして、彼女の髪から僅かに出ている耳が赤くなっているのを確認して、嫌がってはいなそうだ。

そう思いながら、もう一度コレットさんの頭に手を置いて撫でる。

そうしていると、


「コレット、凄くだらしない顔になってるわよ」

「コレット様、女性がその様なお顔はしてはいけません」


ティアとエルミールさんがコレットさんにそう言う。


「はぁ~。羨ましいです」


ルリィは目をキラキラさせながらそう言っている。

コレットさんは一体どんな顔をしているんだ?

俺がそう思っていると、


「お姉様、エルミールも…手が止まってるわよ」


コレットさんが2人にそう言う。

彼女の声は、ふにゃふにゃしているというか、甘えている様な蕩けた声をしている。

だが、


「仲睦まじい姿を見せられて集中などできません」

「ティアリス様の言う通りです。私も…色々と撫でて貰いたいです」

「私もです!いっぱい撫でて下さい」


3人はそう言うと、床に置いてある物や材料をテキパキと隅に片付けて、俺とコレットさんの所に来る。

そして、


「「「撫でて下さい」」」


3人が同時に頭を俺に向けてきた。

その後4人の頭を撫でると、皆甘えた様にすり寄ってきて、少し大変だった。

皆可愛いし良い匂いするしで、大変だった。

だが一通り撫でると、皆は一斉に元の作業に戻ったのだ。

良い休憩になったら良いのだが…。

そして、俺が部屋から出ようとすると、


「ご主人様、待って下さい」


ルリィに後ろから声を掛けられ止められる。

後ろを向くと、ルリィが袋を俺に差し出してくる。


「これ、皆様で作ったんです。よろしかったら…持って行ってください」

「…ありがとう皆。大事に使うよ」


俺はそう言って、ルリィから袋を受け取る。


「私達は戦力になりませんから」


ティアがそう言う。


「ティアもコレットさんもエルミールさんもルリィも十分に戦力ですよ。皆がいるから俺は戦う事が出来るんだから。だから、そんな事言わないで下さい」


俺がそう言うと、皆が嬉しそうに笑う。


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